S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ

文字の大きさ
72 / 162
第1部 第7章 ライバル -最高の盾-

第72話 これならおれたちの最高が作れるよ!

しおりを挟む
「よし……よし! 成功だ! ありがとう、アリシア!」

「まさかこんな方法で、本当に新素材が合成できるとは思わなかったが……」

 アイディアが思い浮かんでからすぐ、おれは新素材の合成実験に着手した。

 手始めに、ミュータスリザードが生み出した新素材を、ウルフベアのマロンに食べさせたのだ。

 新素材は食べ物ではないので、マロンも嫌そうにしていたが、味付けを濃くした餌に混ぜ込み、アリシアが配膳することでなんとか食べてくれた。

 結果、翌日生成された新素材は、ミュータスリザード素材ともウルフベア素材とも違う性質を持っていたのである。

「しかしショウ、合成が可能なのはいいが、盾に最適な組み合わせはどう探す?」

「それは考えてきてる。候補としては、この辺りを試したいんだ」

 おれは昨夜のうちに書いておいた組み合わせ表をアリシアに見せる。

「かなり多いぞ。しかもまだ捕まえていない魔物までいるじゃないか。もう残り一ヶ月を切っているのだぞ?」

「ダメなら元の新素材で挑めばいいさ。けど、まだ性能を上げられる余地が見つかったのに、なにもせずにはいられないよ」

「それは、そうだな。やれるだけのことは、やってみるか!」

「ああ、これを試すには君の助けが絶対に必要だ。新素材を食べさせるには、それだけの信頼関係を築く必要があるみたいだし」

「それは任せて欲しいが、私だけでは手が足りない。特に魔物の捕獲がな。ショウ、言ったからには付き合ってもらうぞ? 覚悟はできているか?」

「もちろんさ。どんな魔物だろうと、必ず捕まえて仲良くなってやる!」

 そこにノエルがとことこと歩いてくる。

「こうしてアリシアは、ショウと洞窟デートに行く口実を得たのでした。アリシアが胸の深いところに秘めた想いは、急に熱くなってときめきの鼓動を――」

「こ、こら、ノエル! 急にやってきて演劇の語り部風に嘘を語るなぁ!」

 言いながら通り過ぎようとしたノエルを、アリシアが真っ赤な顔で引っ捕らえる。

「きゃ~、捕まっちゃった~♪」

「ば、ばあやが推してるからって、わ、私はそういうつもりはないんだ。横恋慕なんて、私には、とても……」

「まあまあ、ショウが貴族になってくれれば、縦とか横とか気にしなくて良くなるんでしょ? 素直になったほうがいいと思うけどなぁ~♪」

「むぅ、私はいつも素直だ。みんなが言うから、変に意識してしまうだけで……」

 おれがどう反応したものかと困っていると、そこにソフィアもやってくる。

「ノエルさん、お気持ちはわかるのですが、今はお仕事の話をしましょう。先ほどわたしに聞かせてくれたお話は、素晴らしいアイディアだと思うのです」

 とか言いながら、ソフィアはごく自然な仕草でおれの右腕に絡みついてきた。

 ノエルとアリシアが、その様子に微妙な表情を浮かべる。

「も~、ソフィアってば、見せつけてくれちゃってぇ~」

「羨ま――あっ、いや、ショウとという意味ではなく、そういう相手がいることが、な?」

 おれは苦笑しつつ、話を戻す。

「ノエル、ソフィアが絶賛するようなアイディアならおれもぜひ聞きたいよ。どんな内容なんだい?」

 するとノエルは、「ふふーん♪」と大きい胸を張った。

「新素材で作る盾の弱点を克服するアイディアよ。これが実現すれば、熱にも負けないし、防御力だって大幅アップ間違いなし!」

 ノエルはその方法の詳細を話してくれた。

 おれは激しく感銘を受けた。

「そうか、そうだよ。なんで思い付かなかったんだ。その手があったじゃないか!」

「うん。ただ……ソフィアにはまた負担かけちゃうし、盾を作るだけじゃ済まないからコストも増えちゃうんだけど……いいかなぁ?」

 ソフィアは微笑んで頷く。

「わたしは、良い物を作るための負担なら大歓迎です。と言いますか……最近、そういう負担があるほうが楽しいと感じている自分に気づきました」

「同感だよ。それに、増えるコストに関しては、こちらで用意する必要はないんじゃないかな。人によっては過剰な防御力になるわけだし。安くてそこそこの性能の状態と、ちょっと高くて高性能な状態を、使用者が好きに選べるようにすればいいよ」

「ああ、そっかぁ。それならいいかも!」

「そんな盾なら、私もぜひ使ってみたいな。軽くてそれほどの性能なら、普通とは違う戦い方もできそうだ」

 みんなの表情を見て、おれは確信する。

 合成新素材と、ノエルのアイディア。このふたつが実現すれば間違いない。

「よし、これで行こう。これならおれたちの最高が作れるよ!」
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

処理中です...