続 深夜の常連客がまさかの推しだった

中島焔

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第一章 新年の風来る 

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 翌日、つつがなく新年の配信を終えたジャニ西四人は揃って事務所シャカシャカのビルを出た。これから初詣に行くのである。

「社長が観音様なんだからさ、神社じゃなくて社長室拝みに行くのが一番手っ取り早いと思うけどね」

 八戒が腕を組んで言う。派手なオレンジ色のダウンジャケットが人目を引くが、ニット帽を目深に被っているせいでchan-Butaとはすぐにはわからないだろう。

「社長室なら昨日挨拶に行っただろ?もうそれが初詣ってことでいいんじゃねえの」と言ったのはメンバー内で一番小柄な悟空だが、今日はずっしりとしたマウンテンパーカーを着ているせいか存在感を増しており、まるで小ささを感じさせない。

「しかし、今の社長は社長業と菩薩業の二足の草鞋で忙しくしておられる。我々の神頼みなど聞いてくださる余裕はござらん」

 悟浄は寒さに強い性質なので、薄手のコートを一枚羽織ったきりである。隣にいる玄奘が寒さに身をすくめているのに気づいた悟浄は巻いていた濃紺のマフラーを貸してやる。玄奘は微笑んで受け取った。悟空は面白くなさそうな顔をしているが、自分はマフラーを巻いてこなかったのでそれをむしり取るわけにもいかない。

 モダンなチェック柄のPコートを着た玄奘が仲間三人の顔を順に見た。

「きちんと神様に新年のご挨拶と抱負を述べておけば、一年の良いスタートになるんじゃないかな。みんな揃って初詣に行けるなんて感慨深いなあ。去年の今頃はこんなことになっているとは考えもしなかったね。みんなと仲間になれて、たくさんの試練を乗り越えて、仲良く初詣してるなんて夢みたいだ。これからも私達Journey to the Westは果てしない旅を続けて、世界の人に安寧の心を届けられるよう、来年も再来年もずっと一緒にいられるようにお参りに行こう。悟空、八戒、悟浄、今年もよろしくね」

 寒さで鼻を赤くした玄奘が恥ずかしそうに笑いながら言うと、悟空、八戒、悟浄は心臓に矢がずんずんずんと突き刺さったようによろめいた。

 尊い。尊すぎる。

 おれたちの推しは素晴らしい。

 前世からの宿縁でつながったこの四人が同じグループとしてデビューし、その後も騒動に巻き込まれながらも一致団結して困難を乗り越えてきたのだ。前世の師からこの出会いを寿ぐような言葉を頂いたのだから、師を敬愛する弟子たちが舞い上がってしまうのは当然だ。

 萌えが極限に達すると、男性の声帯であっても赤ちゃんのようなふにゃふにゃの声しか出なくなるらしい。三人は揃って両手を胸の前で握りしめながら「……よろしくお願いしますぅ」と甲高い声を出した。

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