4 / 95
第一章 新年の風来る
4
しおりを挟む
翌日、つつがなく新年の配信を終えたジャニ西四人は揃って事務所シャカシャカのビルを出た。これから初詣に行くのである。
「社長が観音様なんだからさ、神社じゃなくて社長室拝みに行くのが一番手っ取り早いと思うけどね」
八戒が腕を組んで言う。派手なオレンジ色のダウンジャケットが人目を引くが、ニット帽を目深に被っているせいでchan-Butaとはすぐにはわからないだろう。
「社長室なら昨日挨拶に行っただろ?もうそれが初詣ってことでいいんじゃねえの」と言ったのはメンバー内で一番小柄な悟空だが、今日はずっしりとしたマウンテンパーカーを着ているせいか存在感を増しており、まるで小ささを感じさせない。
「しかし、今の社長は社長業と菩薩業の二足の草鞋で忙しくしておられる。我々の神頼みなど聞いてくださる余裕はござらん」
悟浄は寒さに強い性質なので、薄手のコートを一枚羽織ったきりである。隣にいる玄奘が寒さに身をすくめているのに気づいた悟浄は巻いていた濃紺のマフラーを貸してやる。玄奘は微笑んで受け取った。悟空は面白くなさそうな顔をしているが、自分はマフラーを巻いてこなかったのでそれをむしり取るわけにもいかない。
モダンなチェック柄のPコートを着た玄奘が仲間三人の顔を順に見た。
「きちんと神様に新年のご挨拶と抱負を述べておけば、一年の良いスタートになるんじゃないかな。みんな揃って初詣に行けるなんて感慨深いなあ。去年の今頃はこんなことになっているとは考えもしなかったね。みんなと仲間になれて、たくさんの試練を乗り越えて、仲良く初詣してるなんて夢みたいだ。これからも私達Journey to the Westは果てしない旅を続けて、世界の人に安寧の心を届けられるよう、来年も再来年もずっと一緒にいられるようにお参りに行こう。悟空、八戒、悟浄、今年もよろしくね」
寒さで鼻を赤くした玄奘が恥ずかしそうに笑いながら言うと、悟空、八戒、悟浄は心臓に矢がずんずんずんと突き刺さったようによろめいた。
尊い。尊すぎる。
おれたちの推しは素晴らしい。
前世からの宿縁でつながったこの四人が同じグループとしてデビューし、その後も騒動に巻き込まれながらも一致団結して困難を乗り越えてきたのだ。前世の師からこの出会いを寿ぐような言葉を頂いたのだから、師を敬愛する弟子たちが舞い上がってしまうのは当然だ。
萌えが極限に達すると、男性の声帯であっても赤ちゃんのようなふにゃふにゃの声しか出なくなるらしい。三人は揃って両手を胸の前で握りしめながら「……よろしくお願いしますぅ」と甲高い声を出した。
「社長が観音様なんだからさ、神社じゃなくて社長室拝みに行くのが一番手っ取り早いと思うけどね」
八戒が腕を組んで言う。派手なオレンジ色のダウンジャケットが人目を引くが、ニット帽を目深に被っているせいでchan-Butaとはすぐにはわからないだろう。
「社長室なら昨日挨拶に行っただろ?もうそれが初詣ってことでいいんじゃねえの」と言ったのはメンバー内で一番小柄な悟空だが、今日はずっしりとしたマウンテンパーカーを着ているせいか存在感を増しており、まるで小ささを感じさせない。
「しかし、今の社長は社長業と菩薩業の二足の草鞋で忙しくしておられる。我々の神頼みなど聞いてくださる余裕はござらん」
悟浄は寒さに強い性質なので、薄手のコートを一枚羽織ったきりである。隣にいる玄奘が寒さに身をすくめているのに気づいた悟浄は巻いていた濃紺のマフラーを貸してやる。玄奘は微笑んで受け取った。悟空は面白くなさそうな顔をしているが、自分はマフラーを巻いてこなかったのでそれをむしり取るわけにもいかない。
モダンなチェック柄のPコートを着た玄奘が仲間三人の顔を順に見た。
「きちんと神様に新年のご挨拶と抱負を述べておけば、一年の良いスタートになるんじゃないかな。みんな揃って初詣に行けるなんて感慨深いなあ。去年の今頃はこんなことになっているとは考えもしなかったね。みんなと仲間になれて、たくさんの試練を乗り越えて、仲良く初詣してるなんて夢みたいだ。これからも私達Journey to the Westは果てしない旅を続けて、世界の人に安寧の心を届けられるよう、来年も再来年もずっと一緒にいられるようにお参りに行こう。悟空、八戒、悟浄、今年もよろしくね」
寒さで鼻を赤くした玄奘が恥ずかしそうに笑いながら言うと、悟空、八戒、悟浄は心臓に矢がずんずんずんと突き刺さったようによろめいた。
尊い。尊すぎる。
おれたちの推しは素晴らしい。
前世からの宿縁でつながったこの四人が同じグループとしてデビューし、その後も騒動に巻き込まれながらも一致団結して困難を乗り越えてきたのだ。前世の師からこの出会いを寿ぐような言葉を頂いたのだから、師を敬愛する弟子たちが舞い上がってしまうのは当然だ。
萌えが極限に達すると、男性の声帯であっても赤ちゃんのようなふにゃふにゃの声しか出なくなるらしい。三人は揃って両手を胸の前で握りしめながら「……よろしくお願いしますぅ」と甲高い声を出した。
21
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる