続 深夜の常連客がまさかの推しだった

中島焔

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第三章 ダンス練習は初手から緊迫

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 玉竜と八戒の言い合いを放っておいて、悟浄は玄奘に告げた。

「何にせよ一刻も早くダンスを習得して、コーチの御役目を果たして大阪にお帰り頂くのが一番手っ取り早いのかもしれんな」

 玄奘はむむむ、と考えた。
「ダンスの完成にはまだまだ時間がかかりそうだよ、特に私は」

 深刻になりそうな雰囲気の中、あえて玉竜がふざけたトーンで玄奘を揶揄った。
「運動オンチの玄奘がダンス頑張ってるってだけで、その努力に僕は涙が出ちゃうなあ」

「やめてよ、玉竜」

 ジャニ西のメンバーとも当然仲は良いが、デビュー前からの友達である玉竜は、玄奘にとって気安いやりとりができる特別な存在だ。恥ずかしそうに笑う玄奘は電話をかけてきた時に比べて随分表情が和らいでいる。

 八戒はにやついた。
「玄奘にできることはさ、恋人として飽きられないように毎日工夫して新しくてエロい行為を開発していくことだと思うよ」

「ええっ?……悟空とえっちなことはたくさんしているが、この世にはもっとえっちな行為が……あるのか?」

「そりゃ工夫しだいでいくらでもね。ちなみに最近どんなセックスしました?」

 交際前は性的知識の不足と不安から悟空とのあらゆる行為を八戒と悟浄に相談していた玄奘ではあったが、交際後は悟空に止められたせいであからさまな話はめったにしなくなった。今後に対する不安を感じた玄奘は久しぶりに話してみることにした。恋人同士の仲を深める秘訣が何かもらえるかもしれない。

「最近……毎日挿れているわけじゃないけど、抜いたりさわったり……は大抵するかな。疲れていてどっちかだけのこともあるけど。キスはもちろん毎日するし……、私もキスマークを付けたいんだけど、なかなかうまく付けられなくて。そんなところも悟空は一生懸命で可愛いって褒めてくれたな。そういえば、この前アイスを胸に置いて、溶かしながら舐めてもらったのだが……その、……恥ずかしいけど、冷たいアイスの中から現れてくる熱い舌が……気持ちが良かった……けど、そういうことをすればいいのだろうか?」

「アイス……を?胸に載せたんです?」

 玄奘の話を聞いた途端、八戒は鼻息を荒くし、悟浄と玉竜は微妙な表情をした。
「だめ……だっただろうか?お互いに、……したんだけど」

「お互いに?兄貴にも載せたんですか……へぇ、アイスをね」
 ニヤニヤしながら何かを想像しているらしい八戒に玄奘は不安になって、悟浄に助けを求める。

「悟浄?なんでそんな顔をしている?あまり……やらないことかな?」

「ふむ……。食べ物を裸体に載せて皿代わりにするのはいわゆる女体盛りの男性版故、男体盛りと言うべきであろうか。かなり上級者向けのプレイではござると思うが……」

「普通なら、やらない……?そうなのか?」

 自分がしたことは変態行為だったのだろうかと玄奘の心拍数が上がっていく。気がかりそうに眉を寄せ始めた玄奘を見て、内心動揺していた玉竜も助け舟を出した。

「玄奘がしたいと思えばすればいいよ。恋人同士がお互い同意してやってることに他人が口出しする権利なんてないと思う。玄奘は、き、気持ち良かったんでしょ?ならいいじゃん」

 玉竜の声が若干震えている気がするが気のせいか。

「……そ、そうだろうか」

 八戒は含み笑いをしながら勧めてきた。

「玄奘、その意気ですよ。兄貴とラブラブになっておけば、二人の邪魔なんて誰もできなくなりますから。玄奘が思いつく限りのエッチな事をとりあえず何でも試してみたらいいんですよ」

「思いつく限りえっちな事を……何でも……?」

 ますます混乱を深める玄奘はもっと詳しく聞いておきたかったのだが、浴室の扉が開いた音がした。そろそろ悟空が戻って来てしまうだろう。

 玄奘は三人に礼を言って通話を終了した。ソファの座面で体育座りしていた足をそろそろと床に下ろす。
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