続 深夜の常連客がまさかの推しだった

中島焔

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第五章 揚げ出し豆腐はかわいいですか

3  R15

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 悟空らの家のアイランド型キッチンは広々としており二人で作業してもスペースには余裕がある。悟空がてきぱきと作業を進めていく一方で、豆腐に小麦粉をつけているのか、自分を粉まみれにしているのかわからない玄奘がいる。一応、エプロンはしているのだが、あまり意味を成しておらず、顔や髪にも白い粉を付けている。

「豆腐はすぐに崩れてしまうから、粉をつけづらいね」

 他のおかずの下ごしらえをしていた悟空が玄奘の姿を改めて見て笑った。

「優しく持ち上げればいいんですよ」

「でも……うわっ、ほら、崩れてしまう」

 玄奘の手元にはばらけた豆腐がある。悟空は玄奘の手を握る。

「指先に力を入れ過ぎないように。ほら、ね」

「こう、かな……」

 熱心に粉付け作業をこなす玄奘はなぜか少しだけ唇を尖らせている。その真剣な横顔を見てたまらなくなり、悟空はその頬に軽くキスをする。

「んっ、悟空……揺らしちゃだめだよ」と、玄奘は豆腐から視線を外さずに抗議する。

「別に豆腐くらいどうなったっていいですよ。食っちまえば一緒です」

 悟空は片手で玄奘の顎を引き寄せ、唇を寄せた。

「ぅん……」
 
 わずかに不満そうに見えた玄奘も、舌を絡め出せば素直に委ねてくる。ぼとん、と豆腐がバットに落ちる音がした。悟空は豆腐に目もくれず、目の前にある美しい玄奘の顔を見つめながらキスを続ける。

「ふふ、豆腐落ちましたね」

「悟空のせいだよ……っん」

 甘えを含んだ声で言いながら、言葉とは裏腹に玄奘は身体をすり寄せてきた。悟空はもちろんその身体を抱きとめる。

 最近はダンス練習もろもろでゆっくりといちゃつく時間がとれなかったせいだろうか。

 ……そういえば春節の宴会で、八戒から「玄奘はもっとたくさん兄貴とエロいことしたいらしいよぉ。身体疼きまくってるらしいよぉ。推しのことを満足させてあげられないなんて、オタクの名折れじゃないのぉ?玄奘が性欲持て余してるようなら、俺が相手してあげちゃおっかなあ」と耳打ちされた気がする。話半分に受け取っていたが、この様子を見るに、もしや本当のことなのだろうか。

 悟空の心臓は急にうるさい音を立て始める。
 
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