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第五章 揚げ出し豆腐はかわいいですか
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「まあどうにもならなかったら……大聖殿」
磁路が悟空の肩に肘を置く。
「どうにもならなかったら?」
珍しく縋るような視線を向けた悟空の耳元で磁路は囁く。
「玄奘のために尻を差し出すのだ。男性として生まれてきた以上挿れたいという欲が発生するのは自然なことだ。玄奘は未だ童貞であろう?大聖殿の尻により玄奘に男性としての自覚と自信を取り戻させるのだ。再びダンスという困難に立ち向かうための活力を玄奘に得させるために」
磁路の囁きは、しかしいつもの如くその声はデカい。その場にいる全員が動きを止めて悟空を見ていた。
「兄貴、まぁた面白そうなことになってんじゃん」
勘の良い八戒はごたごたの気配を感じとり、即座ににやついた。
「挿れる挿れないは自信の話と関係ないだろっ」
慌てた悟空は反論を試みるが、磁路と八戒は「関係ないかどうかはやって見ないとわからない」と口を尖らせる。金狩と銀狩は議論の行く末を見守るように黙っている。
この場での解決を諦めた悟空は大きなため息をついてから言った。
「おい、磁路。おれと玄奘の関係は金狩たちには秘密にしておけって言ったのお前だろ……」
「おお!興奮のあまりつい叫んでしまった。すまぬすまぬ。angle Kさんとangle Gさん、二人の交際についてはまだファンにも隠しておる故、どうぞ内密にしていただきたい」
磁路の頼みに銀狩が「僕に関係ないしね」と軽く頷く一方で、金狩は「そんなん今更やし。だいぶ前から知ってたわ」と平然と言った。八戒は片眉を上げて、金狩を肘でつついて言った。
「へえ金ちゃん、わかっててあんな態度とってたんだあ。やるねえ。寝取る気マンマンじゃん」
やぶ蛇になるのでは、と悟空は危惧する。案の定八戒の挑戦的な眼差しに対し、金狩も宣戦布告するように余裕綽々で言い返した。
「でも僕が思ってたより二人の仲はぎくしゃくしてるみたいやし。これからもっと押せ押せで攻めたるわ」
なぜか金狩と部外者の八戒が火花を散らす中、さすがに黙っていられなくなった悟空は金狩の前に立つ。そのまま切り込むような眼差しで金狩を見る。
「悪いけどおれ、生涯玄奘以外と付き合う気ねえから」
悟空の宣言はシンプルで力強かった。悟空の視線を数秒だけ受け止めた金狩は、次の瞬間ふっと身体の力を抜いた。一気に普段のにこにこ顔に戻っている。しかし、柔和な表情の奥には、まだ油断のならない底知れなさがあることを悟空は感じていた。
金狩はその人好きのする笑顔で言った。
「僕、空ちゃんのこと好きだとはまだ言ってへんよね?」
「……ああ」
「だからまだ空ちゃんの答えは受け取れへんな。さっきのは聞かんかったことにしとく」
金狩の言葉に悟空は「まあ、勝手にしろ」と肩の力を抜いた。知らず力が入っていたらしい。なかなか強敵じゃん、という八戒の呟きはシカトする。
金狩はいつもの調子で続けた。
「なあ、空ちゃんは舌ピ開けてる人とキスしたことある?」
「ねえよ」
「僕と試してみーひん?気持ちいいよ」
「しねえよ」と悟空が答える前に、銀狩が「臭いからやめとき」と茶化した。
「臭くないって!ほら!」
金狩は飛び跳ねながら否定した。
磁路が悟空の肩に肘を置く。
「どうにもならなかったら?」
珍しく縋るような視線を向けた悟空の耳元で磁路は囁く。
「玄奘のために尻を差し出すのだ。男性として生まれてきた以上挿れたいという欲が発生するのは自然なことだ。玄奘は未だ童貞であろう?大聖殿の尻により玄奘に男性としての自覚と自信を取り戻させるのだ。再びダンスという困難に立ち向かうための活力を玄奘に得させるために」
磁路の囁きは、しかしいつもの如くその声はデカい。その場にいる全員が動きを止めて悟空を見ていた。
「兄貴、まぁた面白そうなことになってんじゃん」
勘の良い八戒はごたごたの気配を感じとり、即座ににやついた。
「挿れる挿れないは自信の話と関係ないだろっ」
慌てた悟空は反論を試みるが、磁路と八戒は「関係ないかどうかはやって見ないとわからない」と口を尖らせる。金狩と銀狩は議論の行く末を見守るように黙っている。
この場での解決を諦めた悟空は大きなため息をついてから言った。
「おい、磁路。おれと玄奘の関係は金狩たちには秘密にしておけって言ったのお前だろ……」
「おお!興奮のあまりつい叫んでしまった。すまぬすまぬ。angle Kさんとangle Gさん、二人の交際についてはまだファンにも隠しておる故、どうぞ内密にしていただきたい」
磁路の頼みに銀狩が「僕に関係ないしね」と軽く頷く一方で、金狩は「そんなん今更やし。だいぶ前から知ってたわ」と平然と言った。八戒は片眉を上げて、金狩を肘でつついて言った。
「へえ金ちゃん、わかっててあんな態度とってたんだあ。やるねえ。寝取る気マンマンじゃん」
やぶ蛇になるのでは、と悟空は危惧する。案の定八戒の挑戦的な眼差しに対し、金狩も宣戦布告するように余裕綽々で言い返した。
「でも僕が思ってたより二人の仲はぎくしゃくしてるみたいやし。これからもっと押せ押せで攻めたるわ」
なぜか金狩と部外者の八戒が火花を散らす中、さすがに黙っていられなくなった悟空は金狩の前に立つ。そのまま切り込むような眼差しで金狩を見る。
「悪いけどおれ、生涯玄奘以外と付き合う気ねえから」
悟空の宣言はシンプルで力強かった。悟空の視線を数秒だけ受け止めた金狩は、次の瞬間ふっと身体の力を抜いた。一気に普段のにこにこ顔に戻っている。しかし、柔和な表情の奥には、まだ油断のならない底知れなさがあることを悟空は感じていた。
金狩はその人好きのする笑顔で言った。
「僕、空ちゃんのこと好きだとはまだ言ってへんよね?」
「……ああ」
「だからまだ空ちゃんの答えは受け取れへんな。さっきのは聞かんかったことにしとく」
金狩の言葉に悟空は「まあ、勝手にしろ」と肩の力を抜いた。知らず力が入っていたらしい。なかなか強敵じゃん、という八戒の呟きはシカトする。
金狩はいつもの調子で続けた。
「なあ、空ちゃんは舌ピ開けてる人とキスしたことある?」
「ねえよ」
「僕と試してみーひん?気持ちいいよ」
「しねえよ」と悟空が答える前に、銀狩が「臭いからやめとき」と茶化した。
「臭くないって!ほら!」
金狩は飛び跳ねながら否定した。
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