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第十章 伴侶としての覚悟
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玄奘はそろそろと悟空のものに手を伸ばした。早漏による粗相で引け目のある悟空に断る余地はない。二人で寝転がって抱きしめあう。悟空も玄奘の屹立を握り、ゆっくりと動かし始めた。膝を詰めて玄奘の首を支えてキスもする。
「ぁん……んぅ」
先ほどまでイきかけていたせいか、玄奘のものはひどく硬くなっている。
「玄奘、いつもに増して硬いですね」
「んぁあっ……ンん、ンいい……はぁん」
お互いのものを擦りあいながら、深いキスを続ける。悟空のものも再び硬くなっていく。はぁはぁと互いの息が上がっていくのが聞こえる。もちろんキスの間も悟空は目を開けたままで、玄奘の表情の変化をつぶさに見つめている。
「ぁあん……ン、ぁ……ん」
絶頂が近いのだろう。玄奘は少しずつ腰を揺らしベッドから尻が離れ始めた。自己の快感を追うのに夢中な玄奘の手は既に動いていない。ただ握られているだけだが、悟空にとってはそれでも十分な刺激である。推しの手の中であればそこが極楽浄土だ。
おそらく先ほどまで前と後ろを同時に弄っていたせいか、後ろの刺激も恋しいのだろうと考えた悟空は、くるっと向きを変えて玄奘と自分を横向きにした。悟空の目の前には玄奘の股間がある。
悟空は玄奘の堅いものを口に含み、同時に指を孔の中に入れた。そこは柔らかく一度に二本の指をつぷりと呑み込んだ。
「っはぁあっ、んぁあ、く、……っアん、だ、だめ……だ、私は、っき、昨日シャワーを浴びてな……」
「玄奘に関して大抵のことは、おれ気にならないですよ」
悟空はそれを咥えながら器用に話した。しゃべるたびに当たる舌が不思議な快感を誘い、玄奘は何度も嬌声を上げる。
「ンぁあっ、ん……で、でも」
「気にせずイってください」
自慰のときから達しそうになっていた玄奘は再び刺激されてすぐに限界を迎えそうな状態だ。
「あ、イイ……ん、悟空ぅアん……はぁっ、ン気持ちい……」
「綺麗です、玄奘」
悟空は大きく頭を動かしながら吸引の圧をかける。と同時に玄奘の中にいつのまにか入っている三本の指が細かい刺激を与え続ける。
「ぁああっ、ダメ……ん……前と後ろ、ンん同時に、ぁんっ、……ぁあっ、あああっ……はぁはぁはぁはぁ」
玄奘は背中をのけぞらせながら達した。悟空は尊いその白濁を一瞬たりとも空気にふれさせることなく呑み込み、自分の内だけに閉じ込めた。
「こっちはまだイけるんじゃないです?」
両の指を挿れ、孔への刺激を続けようとする悟空に、玄奘は慌てる。
「アん……ん……ダメだって、悟空、ふぅ……」
逃げようとする玄奘が見つけたのは自分の顔のすぐそばにある悟空の下半身だった。完全に勃っている。
「あ、何するんですか玄奘」
「さっきイったばかりなのに、ふふ、もう硬いじゃないか」
指先で遊ぶようにそれにふれる玄奘に、悟空は思わず腰を引く。
「ぁ……だめですよ。おれが玄奘を気持ちよくする番ですから」
玄奘は悟空の腰を柔らかく抑えた。玄奘はそれほど力を入れているわけではないが、悟空はそれ以上抵抗しない。結局玄奘の言うことには逆らえない性分なのだ。
「私だって今イったばかりだよ……。ね、一緒に」
白く美しい指が悟空のそれを撫でる。
「ぅ……」
悟空は眉間に皺を寄せて快感に耐える。先端を指の腹でつつかれ、段差の部分に指を沿わせてなぞられると、堪えていてもうめき声が出てしまう。
「悟空、ちゃんと目を開けておいてね」
穏やかな声で玄奘は言ったかと思うと、悟空のそれを咥えようとする。何をされるか悟った悟空は一瞬で腰を引いた。
「いや、だめですって。そんなことしなくていいです」
「いつも悟空は舐めてくれるのに、私にはほとんどさせてくれないじゃないか。私だって悟空を気持ち良くさせたいんだ」
「だめですって。畏れおおいというか、もったいないというか、そんなのさせられないですよ。それにおれは攻める方が好きなんです。玄奘が気持ち良くなってくれればそれで興奮して一緒に気持ち良くなりますから」
悟空の弁解も玄奘には納得がいかないらしい。
「そんなこと言って結局舐めたら喜んでくれること、私は知っているのに」
玄奘の言うことは尤もである。悟空としては推しを汚したくないという強い信念がありつつも、最愛の恋人がフェラをしてくれればそれは嬉しいに決まっているというなんとも複雑な心理なのである。
しかしこのときの悟空には断る理由がもう一つあった。先ほどから言っているようにしばらく性行為がなかったため、玄奘とのいちゃつきの威力が普段よりも増しているのである。目の前にまるで彫刻のように美しい玄奘がいる。一糸まとわぬ真っ白な身体の中で乳首と局部は紅く火照っている。そして悟空の好きな切れ長の瞳で物欲しそうにこちらを見ている。首を少しだけ傾けながら、だんだんと悟空にふれる指を増やしている。ゆっくりと擦られる。そして顔を寄せ……。
「っう……ぁ」
だめだだめだだめだだめだ、今はだめです。
玄奘がそれを口の中の奥まで含み、何度か裏筋を舌で舐めあげたあと再び頭を引いてみれば、玄奘の口を逃がすまいとするように悟空のそれはなんと吐精してしまった。三擦り半が聞いて呆れる、これでは半擦りである。
「あー」
またやってしまった。どんだけ堪え性がないんだ、おれは。
自己嫌悪に陥る悟空は一瞬だけ天を仰いだあと、それでもすぐに自分を取り戻し、玄奘の口元にティッシュを差し出した。
「重ね重ねすいません。おれ、今日はなんか変です。玄奘にさわられると、なんだかもう……胸がいっぱいで。……早すぎだ」
玄奘は笑った。
「私の口技がうまくなったせいかもしれないよ」
玄奘のこういうところに救われるのだ、と悟空は思っている。ですね、と口の中で呟いた悟空の頬に玄奘が軽い音を立ててキスをしてくれる。
「私たちずっとしていなかったからね」
思い返すような深い声音だが、そうは言っても一か月程度の話ではある。それでもほぼ毎日身体をさわりあっていた二人にとっては長い期間であったようだ。二人の仲に干渉する他者の存在や怒涛のスケジュールなどのごたごたも解決した今、二人は久しぶりに身体も心もつながっているという実感を得ている。
「……いろいろありましたからね。ご心配をおかけしてすいませんでした」
どちらからともなく二人は腕を回して抱きあった。暖房を入れている室内だが、興奮したせいか玄奘の肌はやや汗ばんでしっとりしている。
「謝らなくていいよ。悟空が悪かったわけじゃないし。私にも余裕がなかったんだ。悟空はなんでもできるから、私だけ置いて行かれてしまったような気がしてね」
「そんなわけありますか。おれにとって玄奘はいつまで経っても手の届かない尊い存在で、おれはド底辺のオタクです」
「それなら私たちはお互いにお互いのことを素晴らしい人と認識していたが故に、恋人に引け目を感じていたのかもしれないね。今回の気持ちの行き違いはそれが原因なんだろう。おかしいね」
玄奘はくつくつと笑った。その振動が玄奘が自分の腕の中にいる事実を強固にしているようで、悟空の心は温かくなっている。
「玄奘とは前世からの長い付き合いですけど、磁路によればおれたちが恋人という関係になったのは初めてらしいですからね。おれたちにとってのちょうど良い関係をゆっくり探していきましょう」
「そうだね、お互いにとって自分が相手にふさわしいと自信をもって言えるように。自己研鑽を続けていこう」
「おれは玄奘にとって最善の相手ではないかもですけど、もう離してはあげられませんから観念してくださいね」
「そういうところだよ、悟空。おれは玄奘にふさわしいって嘘でも言ってみてよ」
「……ふさわしくはないでしょうよ」
「悟空」
玄奘が突然身体を離して真剣な声で言ったかと思うとその場に正座した。泡を食ったように悟空も正座する。師匠の説教に弱いのは前世からの因縁だ。そのまま全裸の二人は膝詰めで向き合う。
「誰が何と言おうと、私にとって一番の恋人は悟空だよ。きっと今世の私は悟空に会うために生まれてきたのだ」
優しくも毅然とした声で玄奘が宣言した。悟空にとってこれほど嬉しい言葉はない。図らずも悟空の目からぽろぽろと涙がこぼれた。
玄奘に慈悲深い手つきでぎゅっと抱きしめられ、口づけをされた。この世界に存在して良いと、存在する価値があるという赦しのハグだ。感涙したままの悟空は玄奘の肩にもたれかかった。
「悟空、好きだよ。すごく好き」
ぽろぽろとこぼれおちる涙を手のひらで抑えながら悟空は「ありがとうございます」と心からの礼を言う。玄奘は以前悟空にしてもらったように、彼の頬、瞼、額、鼻、顎と次々にキスを落としていく。まるで花びらが舞い落ちてくるような玄奘の優しいキスを悟空は夢見心地で受けている。
玄奘はキスの合間に悟空の背中や腰もしなやかな手つきで撫でていく。うっとりとされるがままになっていた悟空は、玄奘の指先が尻の間に入ってこようとすることに気づき、まごついた。
「あ、あの?」
玄奘はアルカイックスマイルで首を傾げる。
「何だ?」
「……もしかして尻、解そうとしてます?」
「珍しく私がリードできていたからね。このままもっと気持ち良くなってもらえたら……と思って、いやだった?」
玄奘は「挿れてもらうのはすごく気持ちいいから悟空にもそれを味わってほしい」と、前にも同じことをしようとしていた。それ以来、玄奘が悟空の尻を狙う様子はなかったがやはり諦めていなかったらしい。
完全に善意の塊で相手に尽くそうとする玄奘の申し出を再びはねつけるのは気が引ける。悟空は鼻を掻いた。
「嫌ってことはないんですが……そのやっぱり気は進まない、というか」
「私がしてほしいことをしてみただけなんだけどね……残念だな」
ぴくん、と悟空の耳が動く。この機を逃す悟空ではない。
「してほしいんですか?玄奘は、好きだ好きだと言われながら体中にキスされて尻を弄られたいんですか?」
悟空が玄奘の背をかばいながらゆっくりと押し倒した。玄奘がしていたように身体の隅々までなぞるように唇で印をつけていく。
「はぁ……ふぅ……ン、ぁん……だ、ダメだよ」
「玄奘、好きです、すごく好きです、愛しています……」
悟空は玄奘と指を絡めてシーツに縫い留めた。一気に形勢が逆転する。悟空がしてやったりという顔で笑うのを見て、玄奘は心臓が止まりそうになる。
「ァん、悟空……ぁあっ、ん……。私がそれをしようと思っていたのに。ン、ぁん、ご、悟空……私の悟空……はぁああん、カッコいい……」
玄奘がためらいもなく足を絡めてキスをねだってくる。
「煽り方、うまくなりすぎですよ」
悟空は夢中でキスをしながら玄奘の孔に再び指を伸ばした。
「ぁん……んぅ」
先ほどまでイきかけていたせいか、玄奘のものはひどく硬くなっている。
「玄奘、いつもに増して硬いですね」
「んぁあっ……ンん、ンいい……はぁん」
お互いのものを擦りあいながら、深いキスを続ける。悟空のものも再び硬くなっていく。はぁはぁと互いの息が上がっていくのが聞こえる。もちろんキスの間も悟空は目を開けたままで、玄奘の表情の変化をつぶさに見つめている。
「ぁあん……ン、ぁ……ん」
絶頂が近いのだろう。玄奘は少しずつ腰を揺らしベッドから尻が離れ始めた。自己の快感を追うのに夢中な玄奘の手は既に動いていない。ただ握られているだけだが、悟空にとってはそれでも十分な刺激である。推しの手の中であればそこが極楽浄土だ。
おそらく先ほどまで前と後ろを同時に弄っていたせいか、後ろの刺激も恋しいのだろうと考えた悟空は、くるっと向きを変えて玄奘と自分を横向きにした。悟空の目の前には玄奘の股間がある。
悟空は玄奘の堅いものを口に含み、同時に指を孔の中に入れた。そこは柔らかく一度に二本の指をつぷりと呑み込んだ。
「っはぁあっ、んぁあ、く、……っアん、だ、だめ……だ、私は、っき、昨日シャワーを浴びてな……」
「玄奘に関して大抵のことは、おれ気にならないですよ」
悟空はそれを咥えながら器用に話した。しゃべるたびに当たる舌が不思議な快感を誘い、玄奘は何度も嬌声を上げる。
「ンぁあっ、ん……で、でも」
「気にせずイってください」
自慰のときから達しそうになっていた玄奘は再び刺激されてすぐに限界を迎えそうな状態だ。
「あ、イイ……ん、悟空ぅアん……はぁっ、ン気持ちい……」
「綺麗です、玄奘」
悟空は大きく頭を動かしながら吸引の圧をかける。と同時に玄奘の中にいつのまにか入っている三本の指が細かい刺激を与え続ける。
「ぁああっ、ダメ……ん……前と後ろ、ンん同時に、ぁんっ、……ぁあっ、あああっ……はぁはぁはぁはぁ」
玄奘は背中をのけぞらせながら達した。悟空は尊いその白濁を一瞬たりとも空気にふれさせることなく呑み込み、自分の内だけに閉じ込めた。
「こっちはまだイけるんじゃないです?」
両の指を挿れ、孔への刺激を続けようとする悟空に、玄奘は慌てる。
「アん……ん……ダメだって、悟空、ふぅ……」
逃げようとする玄奘が見つけたのは自分の顔のすぐそばにある悟空の下半身だった。完全に勃っている。
「あ、何するんですか玄奘」
「さっきイったばかりなのに、ふふ、もう硬いじゃないか」
指先で遊ぶようにそれにふれる玄奘に、悟空は思わず腰を引く。
「ぁ……だめですよ。おれが玄奘を気持ちよくする番ですから」
玄奘は悟空の腰を柔らかく抑えた。玄奘はそれほど力を入れているわけではないが、悟空はそれ以上抵抗しない。結局玄奘の言うことには逆らえない性分なのだ。
「私だって今イったばかりだよ……。ね、一緒に」
白く美しい指が悟空のそれを撫でる。
「ぅ……」
悟空は眉間に皺を寄せて快感に耐える。先端を指の腹でつつかれ、段差の部分に指を沿わせてなぞられると、堪えていてもうめき声が出てしまう。
「悟空、ちゃんと目を開けておいてね」
穏やかな声で玄奘は言ったかと思うと、悟空のそれを咥えようとする。何をされるか悟った悟空は一瞬で腰を引いた。
「いや、だめですって。そんなことしなくていいです」
「いつも悟空は舐めてくれるのに、私にはほとんどさせてくれないじゃないか。私だって悟空を気持ち良くさせたいんだ」
「だめですって。畏れおおいというか、もったいないというか、そんなのさせられないですよ。それにおれは攻める方が好きなんです。玄奘が気持ち良くなってくれればそれで興奮して一緒に気持ち良くなりますから」
悟空の弁解も玄奘には納得がいかないらしい。
「そんなこと言って結局舐めたら喜んでくれること、私は知っているのに」
玄奘の言うことは尤もである。悟空としては推しを汚したくないという強い信念がありつつも、最愛の恋人がフェラをしてくれればそれは嬉しいに決まっているというなんとも複雑な心理なのである。
しかしこのときの悟空には断る理由がもう一つあった。先ほどから言っているようにしばらく性行為がなかったため、玄奘とのいちゃつきの威力が普段よりも増しているのである。目の前にまるで彫刻のように美しい玄奘がいる。一糸まとわぬ真っ白な身体の中で乳首と局部は紅く火照っている。そして悟空の好きな切れ長の瞳で物欲しそうにこちらを見ている。首を少しだけ傾けながら、だんだんと悟空にふれる指を増やしている。ゆっくりと擦られる。そして顔を寄せ……。
「っう……ぁ」
だめだだめだだめだだめだ、今はだめです。
玄奘がそれを口の中の奥まで含み、何度か裏筋を舌で舐めあげたあと再び頭を引いてみれば、玄奘の口を逃がすまいとするように悟空のそれはなんと吐精してしまった。三擦り半が聞いて呆れる、これでは半擦りである。
「あー」
またやってしまった。どんだけ堪え性がないんだ、おれは。
自己嫌悪に陥る悟空は一瞬だけ天を仰いだあと、それでもすぐに自分を取り戻し、玄奘の口元にティッシュを差し出した。
「重ね重ねすいません。おれ、今日はなんか変です。玄奘にさわられると、なんだかもう……胸がいっぱいで。……早すぎだ」
玄奘は笑った。
「私の口技がうまくなったせいかもしれないよ」
玄奘のこういうところに救われるのだ、と悟空は思っている。ですね、と口の中で呟いた悟空の頬に玄奘が軽い音を立ててキスをしてくれる。
「私たちずっとしていなかったからね」
思い返すような深い声音だが、そうは言っても一か月程度の話ではある。それでもほぼ毎日身体をさわりあっていた二人にとっては長い期間であったようだ。二人の仲に干渉する他者の存在や怒涛のスケジュールなどのごたごたも解決した今、二人は久しぶりに身体も心もつながっているという実感を得ている。
「……いろいろありましたからね。ご心配をおかけしてすいませんでした」
どちらからともなく二人は腕を回して抱きあった。暖房を入れている室内だが、興奮したせいか玄奘の肌はやや汗ばんでしっとりしている。
「謝らなくていいよ。悟空が悪かったわけじゃないし。私にも余裕がなかったんだ。悟空はなんでもできるから、私だけ置いて行かれてしまったような気がしてね」
「そんなわけありますか。おれにとって玄奘はいつまで経っても手の届かない尊い存在で、おれはド底辺のオタクです」
「それなら私たちはお互いにお互いのことを素晴らしい人と認識していたが故に、恋人に引け目を感じていたのかもしれないね。今回の気持ちの行き違いはそれが原因なんだろう。おかしいね」
玄奘はくつくつと笑った。その振動が玄奘が自分の腕の中にいる事実を強固にしているようで、悟空の心は温かくなっている。
「玄奘とは前世からの長い付き合いですけど、磁路によればおれたちが恋人という関係になったのは初めてらしいですからね。おれたちにとってのちょうど良い関係をゆっくり探していきましょう」
「そうだね、お互いにとって自分が相手にふさわしいと自信をもって言えるように。自己研鑽を続けていこう」
「おれは玄奘にとって最善の相手ではないかもですけど、もう離してはあげられませんから観念してくださいね」
「そういうところだよ、悟空。おれは玄奘にふさわしいって嘘でも言ってみてよ」
「……ふさわしくはないでしょうよ」
「悟空」
玄奘が突然身体を離して真剣な声で言ったかと思うとその場に正座した。泡を食ったように悟空も正座する。師匠の説教に弱いのは前世からの因縁だ。そのまま全裸の二人は膝詰めで向き合う。
「誰が何と言おうと、私にとって一番の恋人は悟空だよ。きっと今世の私は悟空に会うために生まれてきたのだ」
優しくも毅然とした声で玄奘が宣言した。悟空にとってこれほど嬉しい言葉はない。図らずも悟空の目からぽろぽろと涙がこぼれた。
玄奘に慈悲深い手つきでぎゅっと抱きしめられ、口づけをされた。この世界に存在して良いと、存在する価値があるという赦しのハグだ。感涙したままの悟空は玄奘の肩にもたれかかった。
「悟空、好きだよ。すごく好き」
ぽろぽろとこぼれおちる涙を手のひらで抑えながら悟空は「ありがとうございます」と心からの礼を言う。玄奘は以前悟空にしてもらったように、彼の頬、瞼、額、鼻、顎と次々にキスを落としていく。まるで花びらが舞い落ちてくるような玄奘の優しいキスを悟空は夢見心地で受けている。
玄奘はキスの合間に悟空の背中や腰もしなやかな手つきで撫でていく。うっとりとされるがままになっていた悟空は、玄奘の指先が尻の間に入ってこようとすることに気づき、まごついた。
「あ、あの?」
玄奘はアルカイックスマイルで首を傾げる。
「何だ?」
「……もしかして尻、解そうとしてます?」
「珍しく私がリードできていたからね。このままもっと気持ち良くなってもらえたら……と思って、いやだった?」
玄奘は「挿れてもらうのはすごく気持ちいいから悟空にもそれを味わってほしい」と、前にも同じことをしようとしていた。それ以来、玄奘が悟空の尻を狙う様子はなかったがやはり諦めていなかったらしい。
完全に善意の塊で相手に尽くそうとする玄奘の申し出を再びはねつけるのは気が引ける。悟空は鼻を掻いた。
「嫌ってことはないんですが……そのやっぱり気は進まない、というか」
「私がしてほしいことをしてみただけなんだけどね……残念だな」
ぴくん、と悟空の耳が動く。この機を逃す悟空ではない。
「してほしいんですか?玄奘は、好きだ好きだと言われながら体中にキスされて尻を弄られたいんですか?」
悟空が玄奘の背をかばいながらゆっくりと押し倒した。玄奘がしていたように身体の隅々までなぞるように唇で印をつけていく。
「はぁ……ふぅ……ン、ぁん……だ、ダメだよ」
「玄奘、好きです、すごく好きです、愛しています……」
悟空は玄奘と指を絡めてシーツに縫い留めた。一気に形勢が逆転する。悟空がしてやったりという顔で笑うのを見て、玄奘は心臓が止まりそうになる。
「ァん、悟空……ぁあっ、ん……。私がそれをしようと思っていたのに。ン、ぁん、ご、悟空……私の悟空……はぁああん、カッコいい……」
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