続 深夜の常連客がまさかの推しだった

中島焔

文字の大きさ
81 / 95
第十章 伴侶としての覚悟

3 R18

しおりを挟む
 玄奘はそろそろと悟空のものに手を伸ばした。早漏による粗相で引け目のある悟空に断る余地はない。二人で寝転がって抱きしめあう。悟空も玄奘の屹立を握り、ゆっくりと動かし始めた。膝を詰めて玄奘の首を支えてキスもする。

「ぁん……んぅ」

 先ほどまでイきかけていたせいか、玄奘のものはひどく硬くなっている。

「玄奘、いつもに増して硬いですね」

「んぁあっ……ンん、ンいい……はぁん」

 お互いのものを擦りあいながら、深いキスを続ける。悟空のものも再び硬くなっていく。はぁはぁと互いの息が上がっていくのが聞こえる。もちろんキスの間も悟空は目を開けたままで、玄奘の表情の変化をつぶさに見つめている。

「ぁあん……ン、ぁ……ん」

 絶頂が近いのだろう。玄奘は少しずつ腰を揺らしベッドから尻が離れ始めた。自己の快感を追うのに夢中な玄奘の手は既に動いていない。ただ握られているだけだが、悟空にとってはそれでも十分な刺激である。推しの手の中であればそこが極楽浄土だ。

 おそらく先ほどまで前と後ろを同時に弄っていたせいか、後ろの刺激も恋しいのだろうと考えた悟空は、くるっと向きを変えて玄奘と自分を横向きにした。悟空の目の前には玄奘の股間がある。

 悟空は玄奘の堅いものを口に含み、同時に指を孔の中に入れた。そこは柔らかく一度に二本の指をつぷりと呑み込んだ。

「っはぁあっ、んぁあ、く、……っアん、だ、だめ……だ、私は、っき、昨日シャワーを浴びてな……」

「玄奘に関して大抵のことは、おれ気にならないですよ」
 
 悟空はそれを咥えながら器用に話した。しゃべるたびに当たる舌が不思議な快感を誘い、玄奘は何度も嬌声を上げる。

「ンぁあっ、ん……で、でも」

「気にせずイってください」

 自慰のときから達しそうになっていた玄奘は再び刺激されてすぐに限界を迎えそうな状態だ。

「あ、イイ……ん、悟空ぅアん……はぁっ、ン気持ちい……」

「綺麗です、玄奘」

 悟空は大きく頭を動かしながら吸引の圧をかける。と同時に玄奘の中にいつのまにか入っている三本の指が細かい刺激を与え続ける。

「ぁああっ、ダメ……ん……前と後ろ、ンん同時に、ぁんっ、……ぁあっ、あああっ……はぁはぁはぁはぁ」

 玄奘は背中をのけぞらせながら達した。悟空は尊いその白濁を一瞬たりとも空気にふれさせることなく呑み込み、自分の内だけに閉じ込めた。

「こっちはまだイけるんじゃないです?」

 両の指を挿れ、孔への刺激を続けようとする悟空に、玄奘は慌てる。

「アん……ん……ダメだって、悟空、ふぅ……」

 逃げようとする玄奘が見つけたのは自分の顔のすぐそばにある悟空の下半身だった。完全に勃っている。

「あ、何するんですか玄奘」

「さっきイったばかりなのに、ふふ、もう硬いじゃないか」

 指先で遊ぶようにそれにふれる玄奘に、悟空は思わず腰を引く。

「ぁ……だめですよ。おれが玄奘を気持ちよくする番ですから」

 玄奘は悟空の腰を柔らかく抑えた。玄奘はそれほど力を入れているわけではないが、悟空はそれ以上抵抗しない。結局玄奘の言うことには逆らえない性分なのだ。

「私だって今イったばかりだよ……。ね、一緒に」

 白く美しい指が悟空のそれを撫でる。

「ぅ……」

 悟空は眉間に皺を寄せて快感に耐える。先端を指の腹でつつかれ、段差の部分に指を沿わせてなぞられると、堪えていてもうめき声が出てしまう。

「悟空、ちゃんと目を開けておいてね」

 穏やかな声で玄奘は言ったかと思うと、悟空のそれを咥えようとする。何をされるか悟った悟空は一瞬で腰を引いた。

「いや、だめですって。そんなことしなくていいです」

「いつも悟空は舐めてくれるのに、私にはほとんどさせてくれないじゃないか。私だって悟空を気持ち良くさせたいんだ」

「だめですって。畏れおおいというか、もったいないというか、そんなのさせられないですよ。それにおれは攻める方が好きなんです。玄奘が気持ち良くなってくれればそれで興奮して一緒に気持ち良くなりますから」

 悟空の弁解も玄奘には納得がいかないらしい。

「そんなこと言って結局舐めたら喜んでくれること、私は知っているのに」

 玄奘の言うことはもっともである。悟空としては推しを汚したくないという強い信念がありつつも、最愛の恋人がフェラをしてくれればそれは嬉しいに決まっているというなんとも複雑な心理なのである。

 しかしこのときの悟空には断る理由がもう一つあった。先ほどから言っているようにしばらく性行為がなかったため、玄奘とのいちゃつきの威力が普段よりも増しているのである。目の前にまるで彫刻のように美しい玄奘がいる。一糸まとわぬ真っ白な身体の中で乳首と局部は紅く火照っている。そして悟空の好きな切れ長の瞳で物欲しそうにこちらを見ている。首を少しだけ傾けながら、だんだんと悟空にふれる指を増やしている。ゆっくりと擦られる。そして顔を寄せ……。

「っう……ぁ」

 だめだだめだだめだだめだ、今はだめです。

 玄奘がそれを口の中の奥まで含み、何度か裏筋を舌で舐めあげたあと再び頭を引いてみれば、玄奘の口を逃がすまいとするように悟空のそれはなんと吐精してしまった。三擦みこすり半が聞いて呆れる、これでは半擦りである。

「あー」
 
 またやってしまった。どんだけ堪え性がないんだ、おれは。
 
 自己嫌悪に陥る悟空は一瞬だけ天を仰いだあと、それでもすぐに自分を取り戻し、玄奘の口元にティッシュを差し出した。

「重ね重ねすいません。おれ、今日はなんか変です。玄奘にさわられると、なんだかもう……胸がいっぱいで。……早すぎだ」

 玄奘は笑った。

「私の口技がうまくなったせいかもしれないよ」

 玄奘のこういうところに救われるのだ、と悟空は思っている。ですね、と口の中で呟いた悟空の頬に玄奘が軽い音を立ててキスをしてくれる。

「私たちずっとしていなかったからね」

 思い返すような深い声音だが、そうは言っても一か月程度の話ではある。それでもほぼ毎日身体をさわりあっていた二人にとっては長い期間であったようだ。二人の仲に干渉する他者の存在や怒涛のスケジュールなどのごたごたも解決した今、二人は久しぶりに身体も心もつながっているという実感を得ている。

「……いろいろありましたからね。ご心配をおかけしてすいませんでした」
 
 どちらからともなく二人は腕を回して抱きあった。暖房を入れている室内だが、興奮したせいか玄奘の肌はやや汗ばんでしっとりしている。

「謝らなくていいよ。悟空が悪かったわけじゃないし。私にも余裕がなかったんだ。悟空はなんでもできるから、私だけ置いて行かれてしまったような気がしてね」

「そんなわけありますか。おれにとって玄奘はいつまで経っても手の届かない尊い存在で、おれはド底辺のオタクです」 

「それなら私たちはお互いにお互いのことを素晴らしい人と認識していたが故に、恋人に引け目を感じていたのかもしれないね。今回の気持ちの行き違いはそれが原因なんだろう。おかしいね」

 玄奘はくつくつと笑った。その振動が玄奘が自分の腕の中にいる事実を強固にしているようで、悟空の心は温かくなっている。

「玄奘とは前世からの長い付き合いですけど、磁路によればおれたちが恋人という関係になったのは初めてらしいですからね。おれたちにとってのちょうど良い関係をゆっくり探していきましょう」

「そうだね、お互いにとって自分が相手にふさわしいと自信をもって言えるように。自己研鑽を続けていこう」

「おれは玄奘にとって最善の相手ではないかもですけど、もう離してはあげられませんから観念してくださいね」

「そういうところだよ、悟空。おれは玄奘にふさわしいって嘘でも言ってみてよ」

「……ふさわしくはないでしょうよ」

「悟空」

 玄奘が突然身体を離して真剣な声で言ったかと思うとその場に正座した。泡を食ったように悟空も正座する。師匠の説教に弱いのは前世からの因縁だ。そのまま全裸の二人は膝詰めで向き合う。

「誰が何と言おうと、私にとって一番の恋人は悟空だよ。きっと今世の私は悟空に会うために生まれてきたのだ」

 優しくも毅然とした声で玄奘が宣言した。悟空にとってこれほど嬉しい言葉はない。図らずも悟空の目からぽろぽろと涙がこぼれた。

 玄奘に慈悲深い手つきでぎゅっと抱きしめられ、口づけをされた。この世界に存在して良いと、存在する価値があるという赦しのハグだ。感涙したままの悟空は玄奘の肩にもたれかかった。

「悟空、好きだよ。すごく好き」

 ぽろぽろとこぼれおちる涙を手のひらで抑えながら悟空は「ありがとうございます」と心からの礼を言う。玄奘は以前悟空にしてもらったように、彼の頬、瞼、額、鼻、顎と次々にキスを落としていく。まるで花びらが舞い落ちてくるような玄奘の優しいキスを悟空は夢見心地で受けている。 

 玄奘はキスの合間に悟空の背中や腰もしなやかな手つきで撫でていく。うっとりとされるがままになっていた悟空は、玄奘の指先が尻の間に入ってこようとすることに気づき、まごついた。

「あ、あの?」

 玄奘はアルカイックスマイルで首を傾げる。

「何だ?」

「……もしかして尻、解そうとしてます?」

「珍しく私がリードできていたからね。このままもっと気持ち良くなってもらえたら……と思って、いやだった?」

 玄奘は「挿れてもらうのはすごく気持ちいいから悟空にもそれを味わってほしい」と、前にも同じことをしようとしていた。それ以来、玄奘が悟空の尻を狙う様子はなかったがやはり諦めていなかったらしい。

 完全に善意の塊で相手に尽くそうとする玄奘の申し出を再びはねつけるのは気が引ける。悟空は鼻を掻いた。

「嫌ってことはないんですが……そのやっぱり気は進まない、というか」

「私がしてほしいことをしてみただけなんだけどね……残念だな」

 ぴくん、と悟空の耳が動く。この機を逃す悟空ではない。

「してほしいんですか?玄奘は、好きだ好きだと言われながら体中にキスされて尻を弄られたいんですか?」

 悟空が玄奘の背をかばいながらゆっくりと押し倒した。玄奘がしていたように身体の隅々までなぞるように唇で印をつけていく。

「はぁ……ふぅ……ン、ぁん……だ、ダメだよ」

「玄奘、好きです、すごく好きです、愛しています……」

 悟空は玄奘と指を絡めてシーツに縫い留めた。一気に形勢が逆転する。悟空がしてやったりという顔で笑うのを見て、玄奘は心臓が止まりそうになる。

「ァん、悟空……ぁあっ、ん……。私がそれをしようと思っていたのに。ン、ぁん、ご、悟空……私の悟空……はぁああん、カッコいい……」

 玄奘がためらいもなく足を絡めてキスをねだってくる。

「煽り方、うまくなりすぎですよ」

 悟空は夢中でキスをしながら玄奘の孔に再び指を伸ばした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...