続 深夜の常連客がまさかの推しだった

中島焔

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第十章 伴侶としての覚悟

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 もう一度玄奘が悟空の指でイったあと、汗だくになった二人は浴室で身体を洗いあった。始終キスを交わしながらなのでなかなかに時間がかかる。もし八戒が見ていれば「そろそろキスのし過ぎで唇腫れてくるんじゃねえの」というほどである。

 悟空が自分の身体を洗い終わると、先に泡いっぱいの浴槽で待っていた玄奘が「さぁ、おいで」と手を伸ばした。悟空が玄奘の足の中にすっぽりとはまり、背面から抱きかかえられる格好になる。普段玄奘の方が抱きしめられていることが多いが今日は逆である。いつになく主導権を握ろうとしてくる玄奘に悟空はいつもより心臓の鼓動が速くなっている。

「悟空のつむじ、左巻きなんだね」

「……恥ずかしいからじろじろ見ないでください」

「うなじの下辺りに三つ黒子が並んでるの知ってる?」

「やめてくださいって」

 悟空は首筋を隠すように手で覆った。悟空の頬が赤くなっているのは風呂のせいばかりではない。

 その愛おしさにくすくす笑いながら玄奘が悟空を抱きしめると、思ったよりもしっくり腕の中に納まった。いつも玄奘を庇い、守ってくれるこの恋人は実は自分よりも小柄なのだ、と改めて玄奘は思う。

「ねぇ悟空。悟空はいつもカッコいいけど、でも私にとってはすごくかわいく見えるときもあるよ」

「か、可愛いわけねーですよ」

「可愛いよ、今も」

 玄奘は悟空の横顔にちゅっとキスをする。しかし悟空とていつまでもされるがままではいられようもない。悟空は身体を反転させ、浴室の壁に手をついて壁ドンの状態で玄奘に向き直った。

「おれには玄奘の方がずっと可愛いし、綺麗です。何度も言いますがこんなに素敵な人がおれの恋人になっているなんて、信じられないですよ」

 玄奘は微笑した。

「私は悟空の恋人だよ。そろそろ信じてもいい頃じゃないか?」

「玄奘がここにいるって信じられるように、もっとさわってもいいですか」

「うん、私もさわってほしい」

 玄奘が自分から悟空の手を導いて胸元に載せた。艶めかしいその表情に悟空は息を呑む。玄奘の清浄でいてそれでかつエッチな顔はすべて悟空との行為によって学習されてきたものである。泡で胸元が見え隠れするのが何とも言えずにセクシーだ。悟空は玄奘の白い肌の柔らかさを楽しむように軽く撫でてから、だんだんと赤く尖った先端にふれていく。

「……ふぅ……ん」

 吐息をもらす玄奘がやや俯けば、悟空はその吐息までも自分のものにしようと顔を近づけた。磁石が引きあうように二人は唇を合わせる。

「ん……」

「ぁはん……ンん……ん、気持ちいい」

 悟空の舌が玄奘の口腔内に入るとごく自然に玄奘の舌も絡みついてくる。かき混ぜられた泡が螺旋を描くように、二人は快楽の渦を絡み合いながら登っていく。その快感度合いは竜巻のようにものすごい速度で回転し高度を増していく。悟空はこれ以上気持ちの良いキスは玄奘以外とは今後も経験しないだろうと確信している。

 とうに玄奘の胸はぴんと尖っている。キスを続けたまま突起を摘まんでみると、玄奘は高い声を上げた。

「ひゃぁっん、……んはぁ……、はぁ……ふぅ」

 悟空はたまらず膝立ちの状態になり互いの腰を密着させた。玄奘の腰も悟空の腕に促される形で揺れ始める。無数の泡を潤滑油にしながら互いの太ももに擦りあわされて、それぞれはますます硬さを増していく。

「ん……くっ……」

「ぁはン……んんっ……ぁあん」

 浴槽の水音と唾液の水音がたぷんちゅぷちゅぷと混じりあい、聴覚が湿気を帯びていく。湿り気のある空気の中で二人のキスもねっとりとしたものになり、腰の揺れも互いの形を確かめるように深くなっていく。二人が身体を揺れさせるたびにぱちんぱちんと小さく弾ける泡の音も官能的だ。

「はぁ……イイです、玄奘」

「ン……ぁん、悟空。……そろそろ、はぁン……悟空の、挿れて欲しいな」

 耳元で吐息交じりにねだる玄奘に、悟空は思わず眉間をしかめた。危ない、理性を崩されるところであった。

 悟空は首をふる。

「しばらくしてないですから痛みが出ると困りますし。もう少し解しておきましょう。風呂で身体も温まっているので解れやすいですよ」

「んぁン……はぁん、……悟空はいつも私を大事にしてくれるな、ありがとう」

 初めてのときも、割けて血でも出してはいけないとかなりの期間を費やして玄奘の尻を開発した悟空である。過保護すぎる悟空の手技と態度を「ねちっこい」と評さずに、「大事にされている」と受け取る玄奘は彼との相性が良いのだろう。

 

 
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