続 深夜の常連客がまさかの推しだった

中島焔

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第十章 伴侶としての覚悟

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 しばらくこのままでいたい。二人は何も言わずとも同じことを考えていた。挿入したまま腰を動かすことなく、二人はキスを重ねる。それだけでも十分満足だ、と悟空は身体全体で玄奘の温かさを感じる。
 
 それでも性的に高まっている二人の欲望は正直で、ちゅ、ちゅ、と親愛を確かめるような軽いキスは、いつしか舌を深く絡めあうキスに変わっていき、静かな水音と喘ぎ声が混じってくる。

「ァん……ん、ぁ」

 キスの合間に漏れるひそやかな玄奘の声はどうしてこんなに色っぽいのだろう。悟空は世界で一番美しい声だと思っている。

「玄奘……可愛い」

「っうん、ぁん、ごく……ひゃああっん」

 玄奘の声に興奮したからか、悟空の屹立が玄奘の中でびくんと動いた。その振動で玄奘が敏感に反応する。

「中で動くと気持ちがいいですか?そろそろ動いてほしくなってきました?」

 玄奘の耳元でわざと低い声で囁いてやる。玄奘はこの低い声が好きなことを知っている。案の定、玄奘の中はきゅうきゅうと締め付けてきた。快楽に従順な玄奘の身体はとても感じやすいのである。

「ふぁあ、ン……ん、……ん、動いて」

 玄奘の言葉を聞いて、悟空は唇をほころばせる。そろそろ自分も耐えられなくなってきていたのだ。悟空は大きな音をたてて腰をあて始めた。

「ひゃあっ、ん……ぁん……はげし……ん、ァん、あぁあああ、ん……ぁん」

 我慢していた反動だろうか。長いストロークをめざましい勢いで腰が打ちつけられていく。

「ぁっ、ん……ひゃあっ……ん……んぁっ、んぁっ」

「ん……く……ン……」

 悟空は玄奘の良いところに当てようと思うのだが、玄奘の腰も艶めかしく動くせいでなかなか狙いが定まらない。玄奘の腰骨をがっちり抑えて、己の先端でそこを擦ってやるようにすると、逃げ場のない玄奘は艶やかな嬌声を上げた。

「ぁああっ、ん……んふぅ、ぁああん……ぁあん、そこ……」

「玄奘、ここ好きでしょう?」

「んぁあん……ん、イイ……ああ……ンぁあっ、ん……くっうン……」

 玄奘は両脚を悟空の腰に巻きつけてきた。がっちりと太腿をしめつけて腰部を密着させ、同時に中をきゅうきゅうと締めつけてくる。

「く……うっ……玄奘……」

 悟空は達しそうになるのを堪えている。艶めかしい玄奘の下半身の動きは垂涎ものだが、これではほとんど動きがとれない。

「ん……ぁん、悟空。逃がさない」

 妖艶に笑う玄奘に悟空はきゅんとする。これほどまでに自分を求めてくれるようになった愛しい推しの姿に感動さえ覚える。悟空はにやけ顔を隠せないなままに言う。

「嬉しいですけど、これじゃあ良いところ突けないですよ」

「いいよ、このまま。私の奥の奥。悟空しか知らない場所を突いて……」

 おれしか知らない場所……。

 悟空はちっ、と歯噛みをする。どうしてこの人はおれが喜ぶ言葉がわかるんだろう。

 悟空は深く挿したまま小刻みな動きを繰り返す。もう気を抜けばすぐにイってしまいそうだ。

「あっ、ん……、玄奘、玄奘。イ、イきます……いいですか」

「ぁっ、ん……っ、ぁ、やだ、ぁん、もっと……っあっ、ごく、……もっと」

 年下の恋人はまだ満足できないらしい。自分からもっとと要求できるようになったことに玄奘の成長を誇らしく思いながら、悟空は額に汗をかく。今日は既に二度ほど早漏ぶりを晒してしまっている。また今度も玄奘をイかせぬままに自分だけ達してしまっては沽券にかかわるというものだ。だから年寄りの恋人はだめだ、と諦めのついた冷たい目で玄奘に見られてしまったら立ち直れる気がしない。

 悟空は脳内に醒めきった目でこちらを見つめる玄奘を召喚し、必死で絶頂を堪える。そして玄奘の奥の奥、悟空しか到達したことのない点を何度も穿つ。

「ぁっ、ん……ぁあっ、ひゃああっ、ン……ぁあっ、ああっ悟空、イイ……」

「玄奘、っ、ん……玄奘」

 二人は互いの名を呼びながら口づけあう。

 悟空は腰を揺らしながら、互いの身体に挟まれている玄奘の屹立に手をやる。軽く握って扱いてやれば、玄奘の声は一層高くなった。

「ぁあっ、ぁあはぁん……あ、ダメ……前も、一緒になんて……ぁあ」

「ん……前と後ろ、どっちが気持ちいいですか?」

 悟空が汗を垂らしながら尋ねる。達しそうなのを堪えているせいか、目つきがきつく凶悪な顔になっている。その顔を見て胸をときめかせた玄奘はきゅううと奥を締め付けた。その快感に悟空は息を呑む。

「ぁあっ、ん……ぁっ、ごく……好き……。ぁん……ひゃああっ、ン……ぁあっ、どっちも、ァん、どっちも好き……」

 とろとろに蕩けた表情で喘ぐ玄奘を組み敷く悟空もそろそろ限界である。いつの間にか脳内の玄奘はどこかに行ってしまった。目の前の玄奘がおれのすべてだ。

「ぁっ、玄奘。おれも……好きです。っすげえ……気持ちいい、です」

 悟空はすべての力を振り絞って腰を振る。もうどうなっても構わない。 

「ああっ、ん私も……もうイく、きもちい……ん、アアっ、ん、ああっ、ンいい、んぁん……ぁん、私も……イく、イく……ぁああああん」

 二人は腰を打ち付けあいながら、深い深いキスをしほぼ同時に達した。性的な刺激も知らずに純朴であった頃の玄奘もかわいらしかったが、あられもない声を上げて全身から快楽の匂いをまき散らせながら、それでも純粋無垢な微笑みで達する今の玄奘が悟空は愛おしくてたまらないのだ。
 
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