園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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2章 村での生活

33話 ブレン、ちょっとキレる……

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 かまどを石窯に変更しました。
 今までのかまどになっている箇所は、後々直します!

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 魔力MPがラベンダーに譲渡され、肩に手を置いている俺にもラベンダーの魔力が高まっているのが伝わってくる。


「二人ともありがとう! じゃあ、魔法を使いますね!」

「了解!」
《いつでもどうぞ!》


 ラベンダーの声に反応しつつ、意識を集中する。

 さあ、果たしてどんな感じだ?


『クイック』


 俺はわくわくと恐れの半々の心境で構えていた。
 そして石窯いしがまに両手をかざしたラベンダーから、ついに魔法が放たれるが──


(うわっ……なんだこの感覚!? 酔いそうだ……)
《うそ……! こんな強い魔法を、こんな小さな子が、あっさり……!?》


 ほんの数秒の出来事だったのに、頭の中を滅茶苦茶にかき回されたような感じだ……

 指定した対象──いや、感覚的には指定した範囲内の時を激しく進める魔法。

 ラベンダーはこれを一人で使って、なんともないって言っていたのか。

 ……本当にすごいな。


「こんな感じです! どうでした? ……って、先生大丈夫ですか!?」

「あはは、一応大丈夫」
《私は、あまり力が入りません……》


 ラベンダーがこちらに振り返ったとき、俺はふらふらになって座り込んでしまった。

 ブレンはラベンダーの頭に乗っているが、俺と同じくかなりぎりぎりみたいだな。
 ぷるぷるしてるし、必死でしがみついてるみたいだ……

 放っておくと落ちそうだし、近寄ってきたラベンダーの頭からブレンを回収すると、思わず二人してぐったりする。


「いや、しかしすごいなラベンダーの魔法は……効果も凄いが、あんなに負荷がかかる魔法だとは思わなかったよ」

「え……そんなにですか?」


 俺が言ったことがまるで理解できないといった表情だな。
 まあ全く負担がないと言っていたわけだし、五分の一程度で負荷が強いと言っても納得は出来ないのだろう。
 しかし、それでも五分の一で消費MPが十なら元は五十……
俺とブレンが二十負担しても残りは三十のはず──

 ……一体ラベンダーのMPはいくつなんだ?


《オリジナル魔法だからこそ、作成者以外は消費魔力が高いのでしょうね》


 一緒に協力魔法を使ったことで、ブレンには色々と察することが出来たみたいだな。


(オリジナル魔法って、作成した人以外が使おうとすると消費するMPが高くなるの?)

《そうなりますね。誰でも使える汎用魔法と違って、その人が加えたオリジナルの要素が消費魔法が高くなってしまう原因のようです》

(なるほど……?)

《熟練度が上がれば、消費魔力も最大で半分くらいまでは減るとは思いますが……それでも二十五は消費することになりますね》

(俺、使えるようになったとしても二回くらいしか使えないなぁ……)


「そうだ。もしよかったら、ラベンダーのMP──魔力がどれくらいあるか教えてもらえるかな?」

「うーん……魔力……?」


 ラベンダーは唸って目を閉じている。言っていいかどうか悩んでるのか?


「いや、無理に言わなくてもいいよ。 無理矢理聞きたいわけじゃ──」
「分かりました! 五十二です!」

「おぅ……ありがとう。五十二もあるんだな」


 ばちっと音がしそうなほどの勢いで目を開いたラベンダーは、MPの最大値を教えてくれた。

 これは、MPを言っていいかどうか悩んでたんじゃなくて、ステータスを調べてくれてたのか?

 そう言えば、NPCのステータスの確認のしかたって聞いたことなかったような──


《私達のステータス確認は、目を閉じて念じることで数字が見えてくるんですよ》

(それでラベンダーは目を閉じてたんだね。ありがとブレン)

「あと、さっきわたしが使った魔力は三です!」

「《……え?》」


 三!? いや待った……俺達が予想していたより遥かに低いな!?


「と言うことは、普段から魔力は五しか使っていない……?」
「そうです! たくさん使ってたら、いつの間にかそうなってました!」

「それは……すごいな……」


 にこにこと話すラベンダーだが、恐らく俺の方は笑顔が引きつっているんじゃないかと思う。

 そして、俺の顔よりも問題なのは──


《そんな簡単そうに言いますが……どんな生活していたらそうなるんですか!? 本職の人ですら、一つの魔法を極めるには何年もかかるんですよ!?》


 暴れだしたブレンだな……

 ラベンダーの答えを聞いたときから落ち着かなくなってきたが、今はもうキレてると言っていい。

 頭の上で暴れるから、髪がちょくちょく抜けて痛いのだが……

 
(ブレン、気持ちはわかるが落ち着け)
《落ち着けるわけないじゃないですか! 小さい子供がこんな負荷の大きい魔法を使いこなすなんて、どれだけの負担になったか……!》


 ブレンがここまで取り乱すとは珍しい。

 まあ、確かに大人にも使いこなせなさそうな魔法を、ラベンダーみたいな子供が使いこなしていたら気にもなるか……

 どんなに才能があっても、小さい頃から大変な作業させたりしたら大人になってから体に影響でそうだもんな……

 しかもオリジナル魔法だし。


 頭の上で暴れ始めたブレンを両手で包み込んであやしていると、ラベンダーは不思議そうな顔をしてブレンを見ていた。


「先生、ブレンちゃんはどうしたの?」

「あー……えっとだな……」


 いやこれ、何て言えばいいんだよ……下手なこと言ったらまたへこんじゃうかもだし──

 困り果てていたその時、ふと漂ってきたのは焼きサツマノイモの香り。
 その香りは最初に作った焼きサツマノイモに近いけれど、全く別物のように感じられた。

 それに二人も気付いたのか、辺りをキョロキョロしている。


「この香りは……もしかしてミドリサツマノイモ、なのか?」

「なんだか、とっても落ち着きます……」

《言葉にできないような、いい香りですね……》


 ……流石は、食べたら幸福が訪れると言われるミドリサツマノイモだ。

 あれだけ暴れていたブレンも、漂ってきた香りだけであっさり落ち着いてしまった。
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