双葉の恋 -crossroads of fate-

真田晃

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番外編

if-もう一つのラスト

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※此方は、『双葉の恋 アナザー』(休止中)を読んでないと解らない部分を含んでいます。
また、以前ブログに載せました、お礼ssの為、お題無しで書いております。

**


「……なぁ、双葉」

二人掛けのソファに座っていれば、背後から抱き付いてきた悠が、携帯の画面を見せる。
その画面に映るのは、バイト中の大輝。

「オレら、超ラブラブだよな」
「……え」

答えるより先に、悠の顔が迫る。その頬にチュッとリップ音を立ててキスをし、続けて首筋にまで埋めてくる。

「……ぁ、んっ、……擽ったいってば」

見られているという羞恥心から、真っ赤になってしまった顔をそのままに、猫の手を作って悠の肩を軽く叩く。

「何でだよ。大輝には見せつけたっていいだろ!」
「……」

拒否されふて腐れた悠は、身勝手な事を口にしながら僕の手首を掴み上げる。



『……双葉。覚悟して』

ふと脳裏を過ったのは──
床に押し倒されて、真っ直ぐ見据えられた、大輝の双眸。

──あれは、冗談にしては重くて。
掴まれた手首が、痛かった。
もしかして大輝、本気で僕の事──そう思ったら、どうしていいかわかんなくて……
胸が痛くて……

……されるがままになって……



『……なんだ。悠がこの前言ってた、この世で一番抹殺したい、痛いカップルしてんじゃん』

電話の向こうから、大輝らしい台詞が吐かれる。

『今、店にさ。渡瀬が飲みに来てんの。
……双葉、挨拶しよっか』

そう言って、普段見せた事もない営業スマイルをしてみせる。

「……はぁ?! ふざっけんなよ大輝!
そんな事、オレが許す訳ねぇだろ!」
『ハハハ。双葉も大変だね。……重いでしょ、悠の束縛』
「……愛だよ、愛っ!」

始まる二人の掛け合い。
何だか酷く懐かしくて、可笑しくて……嬉しい。

だって。
今まで色んな事があって。色々拗れて。
もう、繋がってくれた全ての人との関係が、壊れてなくなっちゃうかもって……思ってたから……
前みたいに……ううん。それ以上に。
いい関係に戻れて、良かった。


「……悠」
「ん……?」

電話を勝手に切った悠が、携帯から僕に視線を向ける。

「ありがとう」

緊張した手を握り締め、悠の横顔にスッと唇を寄せる。
軽く触れただけなのに。チュッと響く、小さなリップ音。

「………大好き、だよ」

照れながら囁けば、驚いた悠が目を見開いたまま固まっている。
その様子がやっぱり可笑しくて。
僕はクスッと小さく笑った。



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