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1人旅は人助けから始まった
プロローグ
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この街に来て初日だってのに、こう言うことって有り?
俺は取り敢えず目の前の惨状に動かざるをえなかった。
何でってぇ、目の前で事故っ!交通事故ってか、馬車事故。子供が跳ねられた。当たり所が悪ければ死ぬし、良くっても手足が飛ぶ。幸い……。
俺は子供を横たえ確認する。母親が泣き叫んで寝かせた子供を揺さぶろうとするのを、怒鳴りつけて止めさせる。跳ねた奴は貴族で、出てこようともしない。むしろ、御者が一別して何事も無かったかのように馬車を動かした。
流石貴族、平民はひき殺しても良いらしい。俺は子供の容態を確認しながら、馬車を横目でじとりと睨み付ける。子供は足を骨折していただけで、「痛いよぉ」と、泣くだけの元気は有るらしい。
走行を強めた馬車に俺は其方を見ること無くアイテムBOXから馬車の車輪に刺さるよう錫杖を出現させた。
何でって、あれが手持ちの中で一番硬いから。
車輪に絡まった錫杖は、その威力を発揮させ、馬車の車輪を砕いた。
車輪を1つ無くした為に馬車は派手にぐるりとスピンして車輪を石畳で削りながら横転して行く。
その光景をバックに、俺は子供の容態を見た。野次馬が集まる。横転した馬車に群がる者、此方に群がる者、二手に別れて集まる中にマトモな者も居たのか、手伝いを申し出る者が何人か居たようで、俺は綺麗な水と添え木になるような物、包帯かその変わりになる物とクッションを頼んだ。「丸めたシーツでも良いか」と聞かれたので「何でも良い」と叫ぶ。
子供は男の子で、右脚の膝から下があらぬ方向へ曲がっていた。骨は貫通していない。骨の位置を戻したいのだが、生憎、この世界には強力な眠り薬など無い。あっても睡眠導入ゅ…っといけね。この言葉俺の世界にも無かった……。ははは。
さて、どうしたものか。薬はある。強力な奴が。師匠直伝の奴ね。こう言う時に使う為に。
人、多いんですけど。どうする……此処で使う…………ええい、ままよ!成るように成る!
俺はアイテムBOXから小瓶を出す。中には薬に砂糖を混ぜ、カラフルな色を付けたトゲトゲの薬が入っている。コレは強~烈な眠り薬で量は少なく20粒程だろうか。
皆まで言うな。俺も昔思った! この薬、『とあるお菓子に似た薬』なんだよ。俺だってね、子供んとき、コレのお菓子バージョン食ってた。でもさぁ、師匠が薬と言い張るんだわ。しゃーなし、本当にコレ薬なんだわ。
俺は小瓶の蓋を開けると(キュポンと小気味良い音がすんだわ、コレ)、一粒取り出して、
「気が紛れるからこれ食べて」
そう、子供に言った。
この頃には泣き疲れたのか、しゃくりあげている。
口元に持って行くと素直に口を開けたから、ポイッと中に放り込んでやった。
すると、子供は目を見張り、満面の笑みを見せた。
「あっま~い!! 」
薬に見えない逸れを口の中で転がしてなめ溶かした瞬間、子供は力無くクテッと身体の力を抜いた。
俺はすかさず、
「眠っただけだ。これからする事は激痛を伴うからな。其処の男、子供の脚のくるぶしを押さえていてくれ」
そう言って近くにいた男を顎をしゃくって指名する。子供の脚にかかりきりで両手を離せないからな。
男は己を指差しながら前に出て来たから、頷いて見せる。
「曲がっている方のくるぶし押さえてくれるか? 脚引っ張って元の位置に戻すから、しっかり押さえていてくれ。眠らせているとはいえ、相当な痛みが伴うと思う。しっかり頼むよ」
俺はそう言って足首近くをつかんだ。折れて歪んだ位置なら解る。『人体の不思議』なら嫌でも解る。師匠の元で習ったからな(ほんっとに、アレはいただけない。いくら記憶の投影と言えども、アレは受け付けられなかった……)。その上での薬作りなんだ。骨折くらいわけ無い。
「俺がせーのって言ったらしっかり押さえててくれ。良いか、せーの」
俺の掛け声の瞬間、、脚を引っ張り元の位置に戻した。子供は悲鳴を上げる事は無かったが、小さな声と身体を跳ねさせた。其処へすかさずポーションを飲ませると、子供の呼吸がゆっくりと落ち着いてきた。
手際良く添え木を当て手渡された包帯で巻くと、母親に、
「ポーションを飲ませたから骨もある程度は繋がった筈だが、2週間はこのまま添え木で生活してくれ。勿論、医者に見せる事は、忘れずにな」
そう言うと立ち上がった。
俺は取り敢えず目の前の惨状に動かざるをえなかった。
何でってぇ、目の前で事故っ!交通事故ってか、馬車事故。子供が跳ねられた。当たり所が悪ければ死ぬし、良くっても手足が飛ぶ。幸い……。
俺は子供を横たえ確認する。母親が泣き叫んで寝かせた子供を揺さぶろうとするのを、怒鳴りつけて止めさせる。跳ねた奴は貴族で、出てこようともしない。むしろ、御者が一別して何事も無かったかのように馬車を動かした。
流石貴族、平民はひき殺しても良いらしい。俺は子供の容態を確認しながら、馬車を横目でじとりと睨み付ける。子供は足を骨折していただけで、「痛いよぉ」と、泣くだけの元気は有るらしい。
走行を強めた馬車に俺は其方を見ること無くアイテムBOXから馬車の車輪に刺さるよう錫杖を出現させた。
何でって、あれが手持ちの中で一番硬いから。
車輪に絡まった錫杖は、その威力を発揮させ、馬車の車輪を砕いた。
車輪を1つ無くした為に馬車は派手にぐるりとスピンして車輪を石畳で削りながら横転して行く。
その光景をバックに、俺は子供の容態を見た。野次馬が集まる。横転した馬車に群がる者、此方に群がる者、二手に別れて集まる中にマトモな者も居たのか、手伝いを申し出る者が何人か居たようで、俺は綺麗な水と添え木になるような物、包帯かその変わりになる物とクッションを頼んだ。「丸めたシーツでも良いか」と聞かれたので「何でも良い」と叫ぶ。
子供は男の子で、右脚の膝から下があらぬ方向へ曲がっていた。骨は貫通していない。骨の位置を戻したいのだが、生憎、この世界には強力な眠り薬など無い。あっても睡眠導入ゅ…っといけね。この言葉俺の世界にも無かった……。ははは。
さて、どうしたものか。薬はある。強力な奴が。師匠直伝の奴ね。こう言う時に使う為に。
人、多いんですけど。どうする……此処で使う…………ええい、ままよ!成るように成る!
俺はアイテムBOXから小瓶を出す。中には薬に砂糖を混ぜ、カラフルな色を付けたトゲトゲの薬が入っている。コレは強~烈な眠り薬で量は少なく20粒程だろうか。
皆まで言うな。俺も昔思った! この薬、『とあるお菓子に似た薬』なんだよ。俺だってね、子供んとき、コレのお菓子バージョン食ってた。でもさぁ、師匠が薬と言い張るんだわ。しゃーなし、本当にコレ薬なんだわ。
俺は小瓶の蓋を開けると(キュポンと小気味良い音がすんだわ、コレ)、一粒取り出して、
「気が紛れるからこれ食べて」
そう、子供に言った。
この頃には泣き疲れたのか、しゃくりあげている。
口元に持って行くと素直に口を開けたから、ポイッと中に放り込んでやった。
すると、子供は目を見張り、満面の笑みを見せた。
「あっま~い!! 」
薬に見えない逸れを口の中で転がしてなめ溶かした瞬間、子供は力無くクテッと身体の力を抜いた。
俺はすかさず、
「眠っただけだ。これからする事は激痛を伴うからな。其処の男、子供の脚のくるぶしを押さえていてくれ」
そう言って近くにいた男を顎をしゃくって指名する。子供の脚にかかりきりで両手を離せないからな。
男は己を指差しながら前に出て来たから、頷いて見せる。
「曲がっている方のくるぶし押さえてくれるか? 脚引っ張って元の位置に戻すから、しっかり押さえていてくれ。眠らせているとはいえ、相当な痛みが伴うと思う。しっかり頼むよ」
俺はそう言って足首近くをつかんだ。折れて歪んだ位置なら解る。『人体の不思議』なら嫌でも解る。師匠の元で習ったからな(ほんっとに、アレはいただけない。いくら記憶の投影と言えども、アレは受け付けられなかった……)。その上での薬作りなんだ。骨折くらいわけ無い。
「俺がせーのって言ったらしっかり押さえててくれ。良いか、せーの」
俺の掛け声の瞬間、、脚を引っ張り元の位置に戻した。子供は悲鳴を上げる事は無かったが、小さな声と身体を跳ねさせた。其処へすかさずポーションを飲ませると、子供の呼吸がゆっくりと落ち着いてきた。
手際良く添え木を当て手渡された包帯で巻くと、母親に、
「ポーションを飲ませたから骨もある程度は繋がった筈だが、2週間はこのまま添え木で生活してくれ。勿論、医者に見せる事は、忘れずにな」
そう言うと立ち上がった。
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