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薬師冒険者と対峙する
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さて、西門は何とかなった。あとは東、南、北の門の先だ。ここいらに森はない。あるのはサバンナと、林とは名ばかりの木々が生える場所だけだ。
急いだ理由は、単に時間がない事と嫌な予感がするという事。
残念な事なんだが、この類の直感は高確率で当たる。俺には幼少の頃から、そんな勘の良さがあった。スタンビートが起こるのがこんなに早く知れた事、それはこの感の良さのおかげも、あったのかもしれない。
さて、とりあえず西の森から近い南門のある草原にやって来た。
あぁ、もちろんキャロライン嬢付きでだ。飛焔達への付与魔法を施したら、お役御免にするつもりだったのに、他の門にいる冒険者の様子を知りたいと言って無理矢理ついて来てしまった。
一応、森に面した西門の面々だけの付与で良いとは聞いていたが、他の門の連中が死に逝くのを見るのも寝覚めが悪いと思って、どんな面々が他の門に居るのか気になった俺は、もう一度言うが(大事な事は2度言う)、独りで見にいくつもりだったんだが、キャロライン嬢がギルド職員の義務を主張した為、同行させざるを得ない羽目になった。
自分でも思うが、俺も彼女と同類かなと。他の門の連中が気になるとは、つくづくお人好しだなと思う。まぁ、金はギルドから取るけどなwww。
さて、色々と考えながらではあるが、俺は辺りを見回した。しっかし、とことん隠れる所が無い場所だな。
見渡す限り一面の緑の草原。
思わず、一面の金の麦の穂がさざめく光景が頭に浮かぶ。のを首を振って雲散霧消させる。
その者青き衣を…の情景が浮かんだわ……、って、やべぇふざけすぎた。
「ロブさん、こちらですわ! ほら、あそこにテントが見えますわ」
「あぁ、どれ… 」
俺は、キャロライン嬢の指差す場所を見た。
確かにちらほらとテントが見える。だが、その数は圧倒的に西門に比べて少ない。いくらあちらがメインとはいえ、こちらは圧倒的に人員が少ないじゃあないか。何考えてんだ馬鹿やろう。
「どう考えても、人数が少ねぇ。知ってたか? 」
「いいえ。存じ上げませんわ。これはマスターの采配なのでしょうか」
「そりゃあ、そうだろうよ。あいつしか出来ねぇだろう、こんな馬鹿げた指示。そもそも冒険者も騎士団も、人数が少ねぇんだよな。こんなんでスタンピードに対応しようなんざ100年早いわ。アレは災害級じゃなくて災害なんだ。人間がどうにか出来る代物んじゃねぇ」
憤慨した。俺の口調が一段と荒れ果ててきたが、一向にかまわない。これでも脳内は冷静で頭はすっきりとしているからね。キャロライン嬢を責めているわけではないが、この世界に来て言葉が荒んでしまったのは、自分でもよく分かっているし、出来ればご愛嬌と言う事にして貰いたい。
色々あんだよこのご時世。
そんなむしゃくしゃしている俺の言葉を受けて、キャロライン嬢があくまでも冷静な様相で応えてきた。
「そうだとしても、足掻きたいのですわ。そうですわ! いっそ、『どこかの世界から降臨された神が、お助けしてくだされば宜しいですのに』等と考えもしてしまいますわね。こういうことを藁にも縋る思いというものでしょうか…… ね。ロベルトさま」
キャロライン嬢が言う言葉にはどこか含みがあり、それに対し俺は内心ぎょっとしながらも、何も無かったかのように平静を装った。やっぱり彼女は知っているんだ、あの頃の俺の状況を。そう確信した俺だが、彼女がある意味、すがってきたりしない分、事を弁えているようだ。流石、出来るギルド職員。そこは賞賛に値する。
「俺に言われても仕方がないだろ? 俺は神でもなんでも無い。ただの人間なんだからさ。でもまぁ、出来る限りの事はするさ。まぁ、破産しない事を祈っているんだな」
俺は最後のセリフ、破産がどうこうと言うのを、空を飛ぶ『雀』(幼い頃、師匠がくれた図鑑でしか見たことが無い)のようなフォルムをした鳥を睨み付け言った。あれはギルドマスターの放つ『目』だ。大方監視でもしているんだろう。愚か者めが。
俺はそう心の中でごちた。
急いだ理由は、単に時間がない事と嫌な予感がするという事。
残念な事なんだが、この類の直感は高確率で当たる。俺には幼少の頃から、そんな勘の良さがあった。スタンビートが起こるのがこんなに早く知れた事、それはこの感の良さのおかげも、あったのかもしれない。
さて、とりあえず西の森から近い南門のある草原にやって来た。
あぁ、もちろんキャロライン嬢付きでだ。飛焔達への付与魔法を施したら、お役御免にするつもりだったのに、他の門にいる冒険者の様子を知りたいと言って無理矢理ついて来てしまった。
一応、森に面した西門の面々だけの付与で良いとは聞いていたが、他の門の連中が死に逝くのを見るのも寝覚めが悪いと思って、どんな面々が他の門に居るのか気になった俺は、もう一度言うが(大事な事は2度言う)、独りで見にいくつもりだったんだが、キャロライン嬢がギルド職員の義務を主張した為、同行させざるを得ない羽目になった。
自分でも思うが、俺も彼女と同類かなと。他の門の連中が気になるとは、つくづくお人好しだなと思う。まぁ、金はギルドから取るけどなwww。
さて、色々と考えながらではあるが、俺は辺りを見回した。しっかし、とことん隠れる所が無い場所だな。
見渡す限り一面の緑の草原。
思わず、一面の金の麦の穂がさざめく光景が頭に浮かぶ。のを首を振って雲散霧消させる。
その者青き衣を…の情景が浮かんだわ……、って、やべぇふざけすぎた。
「ロブさん、こちらですわ! ほら、あそこにテントが見えますわ」
「あぁ、どれ… 」
俺は、キャロライン嬢の指差す場所を見た。
確かにちらほらとテントが見える。だが、その数は圧倒的に西門に比べて少ない。いくらあちらがメインとはいえ、こちらは圧倒的に人員が少ないじゃあないか。何考えてんだ馬鹿やろう。
「どう考えても、人数が少ねぇ。知ってたか? 」
「いいえ。存じ上げませんわ。これはマスターの采配なのでしょうか」
「そりゃあ、そうだろうよ。あいつしか出来ねぇだろう、こんな馬鹿げた指示。そもそも冒険者も騎士団も、人数が少ねぇんだよな。こんなんでスタンピードに対応しようなんざ100年早いわ。アレは災害級じゃなくて災害なんだ。人間がどうにか出来る代物んじゃねぇ」
憤慨した。俺の口調が一段と荒れ果ててきたが、一向にかまわない。これでも脳内は冷静で頭はすっきりとしているからね。キャロライン嬢を責めているわけではないが、この世界に来て言葉が荒んでしまったのは、自分でもよく分かっているし、出来ればご愛嬌と言う事にして貰いたい。
色々あんだよこのご時世。
そんなむしゃくしゃしている俺の言葉を受けて、キャロライン嬢があくまでも冷静な様相で応えてきた。
「そうだとしても、足掻きたいのですわ。そうですわ! いっそ、『どこかの世界から降臨された神が、お助けしてくだされば宜しいですのに』等と考えもしてしまいますわね。こういうことを藁にも縋る思いというものでしょうか…… ね。ロベルトさま」
キャロライン嬢が言う言葉にはどこか含みがあり、それに対し俺は内心ぎょっとしながらも、何も無かったかのように平静を装った。やっぱり彼女は知っているんだ、あの頃の俺の状況を。そう確信した俺だが、彼女がある意味、すがってきたりしない分、事を弁えているようだ。流石、出来るギルド職員。そこは賞賛に値する。
「俺に言われても仕方がないだろ? 俺は神でもなんでも無い。ただの人間なんだからさ。でもまぁ、出来る限りの事はするさ。まぁ、破産しない事を祈っているんだな」
俺は最後のセリフ、破産がどうこうと言うのを、空を飛ぶ『雀』(幼い頃、師匠がくれた図鑑でしか見たことが無い)のようなフォルムをした鳥を睨み付け言った。あれはギルドマスターの放つ『目』だ。大方監視でもしているんだろう。愚か者めが。
俺はそう心の中でごちた。
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