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第五幕 告白
歌術の応酬
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「どりゃあああ! うりゃあああ!」
いきなり威勢の良い声を張り上げたのはゾラの奴だ。じりじり後に下がりながら、定期的にこちらを威嚇するようなでかい声を発する。
俺は動かない。
1本目は様子見。向こうがどういう手を打ってくるか、どのくらいの力かを冷静に見極める。勝ちを取れたら良いが無理はしない。最低限、負けなければ良い。これがハルさんからの指示だ。
とりあえず相手の出方を見るため、わざとその場にぼーっと突っ立っておく。
向こうは時々声を発しながらもどんどん下がって行く。
何だ? 気合いばっかりで何もしてこないのか? と思ったら、くるっと後を向き、自分のファンに向かって演説し始めた。
「諸君らに問う! 悪しき王の支配を終わらせるため、神がこの世につかわした真の勇者がここにいるぞ! 勇者は誰だ!? 勇者の名は何という!?」
観客はそれに答え、口々にゾラ! ゾラ! とコールする。それを手で制して
「そうだ。このゾラ様だ。諸君は今から奇跡を目撃することになるだろう。ゾラ様がニセの歌い手を打ち倒し、唯一無二の存在、黒髪の歌い手になる瞬間を!」
高々と宣言すると、観客はわーっと沸く。そしてまたゾラ様コールだ。まるでどこかの国の大統領選挙みたいだな。馬鹿馬鹿しい。
そしてここでぼーっと突っ立ったままの俺を指さした。
「そこにいる奴は、黒髪の歌い手をかたって人々をだますだけでなく、良家の子女をさらって性奴隷にするような極悪非道のイカサマ野郎だ。決して許してはならない。このゾラ様がこの世から消してやろう」
こいつの一言一言で観客は沸き、ゾラ! ゾラ! とコールがかかる。面倒くさい奴らだなあ。っていうかまた性奴隷の話かよ。そんな風にネタに使われるニコが不憫でならない。
長い前振りを終え、ようやっと戦う気になったのだろう、
「どりゃあああ!」
気合いを発したかと思うと、こちらに向かって走って来た。鎧がガチャガチャ鳴ってうるさいが……ああ、炎歌を歌っているようだな。どんなものか、わざと避けずに正面から食らってやろう。
「炎として姿を現したまえ~っ♪」
奴がシャウトすると同時に紅蓮の炎が飛んできて俺の身体を包んだ。
熱ちちちちちちちち……ちちち……ちち……ち? あれ?
大して熱くない。せいぜいドライヤーの熱風ぐらいか。
何だこりゃ。一応、腕で顔をかばっていたのだが、そんな防御姿勢をとる必要もなかった。
しかも、ものの数秒で炎は消えた。もちろん俺には何の変化もない。そこに突っ立ったままだ。
俺があまりにも平然としているからだろう。両サイドの観客がどよめく。
ニコは立ち上がってこちらを凝視していたが、俺の無事を確認したのだろう。ホッとした顔でストンと席に座った。
いや、正直ニコの放つ炎の方がよっぽど熱い。あれはマジで火傷する炎だ。それに比べるとこいつの炎は屁みたいなもんだ。何だこいつ、こんな炎で俺を倒そうと思ってるのか。
審判のガイさんが走ってきた。
「ソウタさん、大丈夫ですかっ!?」
「はい。何ともないです」
「残り時間2分っ! 両者、ファイト!」
俺の無事を確認すると、そう言って下がっていった。
その次の動きは早かった。野郎、その場ですぐ次の歌術を歌い始めた。刃術系……凍刃だな。当たれば俺でも切り傷ぐらいはできる。震壁で防御しよう。
俺はさっと震壁を展開した。
しかし奴の凍刃はなかなか飛んでこない。さっきの炎歌もだったが、総じて歌術の発動が遅いようだ。刃術系でこんなに遅いと、実戦では使い物にならない。ダメだな。
しかもようやっと飛んできた凍刃は、俺の震壁に触れたか触れないかで音も立てず消えてしまった。
弱い。弱すぎる。
ニコの放つ凍刃だったら俺の震壁を突き抜けることがある。それと比べるとこいつの凍刃は……冷蔵庫の扉を開けた時の……いや、もう例えるものがないぐらいのしょぼさだ。
見たところ、手加減しているわけではなく、結構本気で歌術を打ってきてる。それでこの程度、ということだろう。俺に全くダメージがないので向こうは焦っている様子だ。
このまま5分になるのを待つか。
いや、俺はまだ一つしか歌術を使ってない。もう一つぐらいは使ってみても良いだろう。それで向こうがどう反応するかを見たい。
そういえば前から実戦で使ってみたい歌術が一つあった。『震貫』という、これも震の歌術の一種だ。
震刃はターゲットの一点に強い振動を起こし、それを横に動かして行くことでターゲットを切る。しかし振動を奥へ奥へ突き刺すイメージで進めて行くと、ターゲットを貫くこともできる。これが震貫だ。
震刃や震歌のような派手さはないが、貫く部位によって相手に確実なダメージを与えられる。手を貫けば武器を使えなくなる。足を貫けば立てなくなる。脳や心臓を貫けば命をも奪う。要は銃弾と同じだ。
どこを狙うか。
命に別状はないが、それなりに痛みとダメージの大きいところ……右肩にしようか。
野郎は狙われていることが分ってにわかに慌てだした。右に左に走り回り、もう逃げられないと悟ったのか、結局足を止めて炎壁を歌い出した。
ただ立ち止まってくれてこっちは助かった。俺は奴の右肩の辺りを指さし、振動波を送り込んだ。
「んっ来いやっ、来いやっ、来いやっ、来いやっ、突けやっ、突けやっ、突けやっ、突けやっ♪」
震刃と同じようなスクエア16ビートのハイスピードラップを歌う。振動波を奥へ奥へ送り込む。
炎壁や金属製の鎧で防御してる上から貫けるかどうか……いや、俺の人差し指から放たれた振動波はあっという間に全てを突き抜けたようだ。
「ぐわああああああっ!」
ものすごい叫び声をあげて野郎はぶっ倒れた。
「うわああああっ! 死ぬ死ぬ死ぬうううっ!」
右肩を押さえのたうち回って苦しんでいる。大げさな。まあ確かに痛いだろうけど。
「ゾラっ! 大丈夫かっ!? 死ぬな、死ぬなよっ!」
ガイさんが駆けつける。
レフェリーの仕事なんて忘れてるみたいだ。馬鹿息子がダウンしてるのにカウントもとらない。しっかり仕事してくれよ、パパ。
ファンの連中も総立ちになり息をのんでヒーローがもがく姿を見つめている。
「死にませんよ。急所は外してます」
俺は歩み寄ってガイさんに伝えるが
「大丈夫ですかっ? 本当に大丈夫ですかっ?」
パパは涙目だ。こりゃダメだ。
「あああああっ! うぐううううっ!」
その間も馬鹿息子は大げさな声をあげて地面でのたうち回っている。その姿はあまりに情けなくって見るに堪えない。茶番だ。謝る気も起こらない。
ええっと、現時点で俺は歌術を二つ使った。もう一つ使える。
どうしようか?
……えい、もう、これでも食らえ、馬鹿親子。
「血潮よ、血潮よ、集まりて集まりて、傷を塞ぎ、痛みを癒したまえ~♪」
右手をかざし、そっぽを向いたままで癒歌を歌ってやった。
傷は治ったのだろう。馬鹿息子の騒ぐ声はピタリと止まった。パパが必死で介抱する声だけが響いている。俺は振り返らずそのまま自分のコーナーに帰るべく歩き出した。
『カーン』
ちょうどそこで1本目終了の鐘が鳴った。
「あなた、何で癒歌なんか歌ったの? 放っとけばテンカウントダウンだったのに」
「いや、何かもう、ウザ過ぎて、見てられなくって……」
「まあ、いいわ。結果は引き分けでも、内容的にはあなたが圧倒してたし、力の差を見せつけることはできた……」
しかしその時、向こうの陣営からわーっと歓声があがった。振り返ると、あいつが起き上がって無事をアピールするかのように両腕をぶんぶん振り回している。
たぶん『ふん、手加減し過ぎたな』とか『痛がってたのは演技だった』とか言ってるんだろうな。そしてまた信者たちはそれを簡単に信じるんだろう。
「お馬鹿さんたち、まだ懲りてないみたいね」
ハルさんも苦笑している。
いきなり威勢の良い声を張り上げたのはゾラの奴だ。じりじり後に下がりながら、定期的にこちらを威嚇するようなでかい声を発する。
俺は動かない。
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高々と宣言すると、観客はわーっと沸く。そしてまたゾラ様コールだ。まるでどこかの国の大統領選挙みたいだな。馬鹿馬鹿しい。
そしてここでぼーっと突っ立ったままの俺を指さした。
「そこにいる奴は、黒髪の歌い手をかたって人々をだますだけでなく、良家の子女をさらって性奴隷にするような極悪非道のイカサマ野郎だ。決して許してはならない。このゾラ様がこの世から消してやろう」
こいつの一言一言で観客は沸き、ゾラ! ゾラ! とコールがかかる。面倒くさい奴らだなあ。っていうかまた性奴隷の話かよ。そんな風にネタに使われるニコが不憫でならない。
長い前振りを終え、ようやっと戦う気になったのだろう、
「どりゃあああ!」
気合いを発したかと思うと、こちらに向かって走って来た。鎧がガチャガチャ鳴ってうるさいが……ああ、炎歌を歌っているようだな。どんなものか、わざと避けずに正面から食らってやろう。
「炎として姿を現したまえ~っ♪」
奴がシャウトすると同時に紅蓮の炎が飛んできて俺の身体を包んだ。
熱ちちちちちちちち……ちちち……ちち……ち? あれ?
大して熱くない。せいぜいドライヤーの熱風ぐらいか。
何だこりゃ。一応、腕で顔をかばっていたのだが、そんな防御姿勢をとる必要もなかった。
しかも、ものの数秒で炎は消えた。もちろん俺には何の変化もない。そこに突っ立ったままだ。
俺があまりにも平然としているからだろう。両サイドの観客がどよめく。
ニコは立ち上がってこちらを凝視していたが、俺の無事を確認したのだろう。ホッとした顔でストンと席に座った。
いや、正直ニコの放つ炎の方がよっぽど熱い。あれはマジで火傷する炎だ。それに比べるとこいつの炎は屁みたいなもんだ。何だこいつ、こんな炎で俺を倒そうと思ってるのか。
審判のガイさんが走ってきた。
「ソウタさん、大丈夫ですかっ!?」
「はい。何ともないです」
「残り時間2分っ! 両者、ファイト!」
俺の無事を確認すると、そう言って下がっていった。
その次の動きは早かった。野郎、その場ですぐ次の歌術を歌い始めた。刃術系……凍刃だな。当たれば俺でも切り傷ぐらいはできる。震壁で防御しよう。
俺はさっと震壁を展開した。
しかし奴の凍刃はなかなか飛んでこない。さっきの炎歌もだったが、総じて歌術の発動が遅いようだ。刃術系でこんなに遅いと、実戦では使い物にならない。ダメだな。
しかもようやっと飛んできた凍刃は、俺の震壁に触れたか触れないかで音も立てず消えてしまった。
弱い。弱すぎる。
ニコの放つ凍刃だったら俺の震壁を突き抜けることがある。それと比べるとこいつの凍刃は……冷蔵庫の扉を開けた時の……いや、もう例えるものがないぐらいのしょぼさだ。
見たところ、手加減しているわけではなく、結構本気で歌術を打ってきてる。それでこの程度、ということだろう。俺に全くダメージがないので向こうは焦っている様子だ。
このまま5分になるのを待つか。
いや、俺はまだ一つしか歌術を使ってない。もう一つぐらいは使ってみても良いだろう。それで向こうがどう反応するかを見たい。
そういえば前から実戦で使ってみたい歌術が一つあった。『震貫』という、これも震の歌術の一種だ。
震刃はターゲットの一点に強い振動を起こし、それを横に動かして行くことでターゲットを切る。しかし振動を奥へ奥へ突き刺すイメージで進めて行くと、ターゲットを貫くこともできる。これが震貫だ。
震刃や震歌のような派手さはないが、貫く部位によって相手に確実なダメージを与えられる。手を貫けば武器を使えなくなる。足を貫けば立てなくなる。脳や心臓を貫けば命をも奪う。要は銃弾と同じだ。
どこを狙うか。
命に別状はないが、それなりに痛みとダメージの大きいところ……右肩にしようか。
野郎は狙われていることが分ってにわかに慌てだした。右に左に走り回り、もう逃げられないと悟ったのか、結局足を止めて炎壁を歌い出した。
ただ立ち止まってくれてこっちは助かった。俺は奴の右肩の辺りを指さし、振動波を送り込んだ。
「んっ来いやっ、来いやっ、来いやっ、来いやっ、突けやっ、突けやっ、突けやっ、突けやっ♪」
震刃と同じようなスクエア16ビートのハイスピードラップを歌う。振動波を奥へ奥へ送り込む。
炎壁や金属製の鎧で防御してる上から貫けるかどうか……いや、俺の人差し指から放たれた振動波はあっという間に全てを突き抜けたようだ。
「ぐわああああああっ!」
ものすごい叫び声をあげて野郎はぶっ倒れた。
「うわああああっ! 死ぬ死ぬ死ぬうううっ!」
右肩を押さえのたうち回って苦しんでいる。大げさな。まあ確かに痛いだろうけど。
「ゾラっ! 大丈夫かっ!? 死ぬな、死ぬなよっ!」
ガイさんが駆けつける。
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ファンの連中も総立ちになり息をのんでヒーローがもがく姿を見つめている。
「死にませんよ。急所は外してます」
俺は歩み寄ってガイさんに伝えるが
「大丈夫ですかっ? 本当に大丈夫ですかっ?」
パパは涙目だ。こりゃダメだ。
「あああああっ! うぐううううっ!」
その間も馬鹿息子は大げさな声をあげて地面でのたうち回っている。その姿はあまりに情けなくって見るに堪えない。茶番だ。謝る気も起こらない。
ええっと、現時点で俺は歌術を二つ使った。もう一つ使える。
どうしようか?
……えい、もう、これでも食らえ、馬鹿親子。
「血潮よ、血潮よ、集まりて集まりて、傷を塞ぎ、痛みを癒したまえ~♪」
右手をかざし、そっぽを向いたままで癒歌を歌ってやった。
傷は治ったのだろう。馬鹿息子の騒ぐ声はピタリと止まった。パパが必死で介抱する声だけが響いている。俺は振り返らずそのまま自分のコーナーに帰るべく歩き出した。
『カーン』
ちょうどそこで1本目終了の鐘が鳴った。
「あなた、何で癒歌なんか歌ったの? 放っとけばテンカウントダウンだったのに」
「いや、何かもう、ウザ過ぎて、見てられなくって……」
「まあ、いいわ。結果は引き分けでも、内容的にはあなたが圧倒してたし、力の差を見せつけることはできた……」
しかしその時、向こうの陣営からわーっと歓声があがった。振り返ると、あいつが起き上がって無事をアピールするかのように両腕をぶんぶん振り回している。
たぶん『ふん、手加減し過ぎたな』とか『痛がってたのは演技だった』とか言ってるんだろうな。そしてまた信者たちはそれを簡単に信じるんだろう。
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