姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio

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2章 学園生活

115話 セイットの視点(1)

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 ひどく懐かしく感じる真っ白な廊下を足早に歩いていく。この程度の期間ならば何度か神殿を開けたことがあるが、今回はいつもよりも我が家に帰ってきた、というようなほっとした気持ちが感じられない。それどころか逆に、学園に帰りたいとさえ思ってしまっている?

 取り留めもなく考えながら歩いていると、すぐに神殿長の部屋へとたどり着いた。そして数回ノックするとすぐにはい、と返事が返ってくる。入室の許可をもらい、扉を開けると大量の書類を机に乗せてカレット様が何やら忙しそうにしていた。

「あの、出直してまいりましょうか?」

 忙しい中、時間をとってもらうのも申し訳なく感じてそう申し出ると、こちらを見ることなくいやという返事をかえした。そのまま何とも言えない気持ちで待っていると、ようやく手を止めて顔を上げた。

「ああ、すまなかったね。
 座ってくれ」

 私に席を勧めて、お茶の準備をお願いするとカレット様も応接用セットの椅子へと腰を下ろした。そして無意識に、といった感じで深いため息をついている。

「あの、どうかされたのですか?」

 ちらりと書類の山を見ながらそう尋ねると、予定外のことが起きてね、と苦笑いされてしまった。もともと仕事はためない派のカレット様がここまでためているとは思わなかった。

「いや、ちょっとね。
 それよりも大変だったね」

「いえ。
 カレット様は事前にあの地に応援を送っていたのでしょう?
 私が加わるのも計算のうちだったのですか?」

 ただの一領地にあれほどの数の治癒師がいるわけがない。私がここにいた時のようにカレット様が派遣したのだろうというあたりは教会についた時点でついていた。そしてカレット様のことを見るとあいまいな顔をした。

「うーん……。
 まあどちらでも大丈夫なように対応したよ。
 それで、彼女の様子は?」

 言われて言葉に詰まる。どこまでを話していいのだろうか。何を言ったらカレット様は納得してくださるのだろう。そんなことが頭を回る。

「大丈夫だから、素直に話しなさい」

 そんな私の葛藤すらすべて見抜いたようなカレット様の目から逃れたい、そう思ってしまうけれどできないことは重々知っている。それでもどう言葉を重ねたらいいかを考えてしまう。
 そんな私をカレット様はせかすでもなく、書類を片付けるでもなく待ってくれている。

 何度か話そう開けた口を閉ざすことを繰り返しながら、私はようやく初めに話すことを決めた。


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