姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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2章 学園生活

146話 領地での過ごし方

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 あれからゆったりと領地で過ごした。お母様は近所のお茶会に出かけたり、お父様やお兄様は領地でしかできない仕事をしたりとそれぞれ忙しく過ごしていたみたいだけれど、私にはとくになかった。ルークも暇だろうと思っていたのだが、彼は使用人に遊んでもらっているようで、よく庭の方から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

 私といえば、暇を持て余していた。こちらにある本を読んだり、刺繍をしたりと過ごしていたのだ。あの後、お父様に正式にヴァーレクト様との婚約を伝えた。お父様はいいのか、と探る目を向けてきたけれど、特に何も言わなかった。
 そして、私が今回刺した刺繍。実はこれは彼に渡すように、と用意したものだった。ハンカチに我が家の家紋とアクバルディア家の家紋を刺繍しただけではなんだかつまらないので、少しだけ装飾をつけてしまったのは許してほしい。
 今度、正式に婚約を結んだときに渡すのだ。

「お嬢様、これは……」

 完成したハンカチを包んでおいてもらおうと、イルナに渡すと途端に固まられてしまった。隣のルナベレークも固まっている?

「何か問題があったかしら?」

「い、いえ!
 とても素晴らしい出来だと思います。
 本当に……」

 これはどう反応したらいいのだろうか。もしかして、装飾していないシンプルなものを作り直した方がいいのだろうか。

「そのように不安気な顔をなさらないでください。
 本当に素晴らしい出来です。
 その、このように手が込んだものをはじめから作られるとは思っていなかったものですから……」

 言いにくそうにルナベレークが口を開く。私、そんなに手が込んだものを作ったっけ? 暇に任せて作ったものだったんだけど。
 結局そのままお預かりします、とイルナが持って行った。どうやらお父様やお母様に見せてから包むらしい。


 そして、とうとう王都へと帰る日がやってきた。本当にやっとだよ。学園が始まるまで正直、もうあまり時間はない。けれど、何か厄介な案件があったらしく、お父様の用事が終わらなかったのだ。それも無事に終わり、5人で王都へと帰ることになったのだ。
 
「ウェルカ、向こうへ帰ったらアクバルディア家へ行こう。
 あちらの予定次第ではあるが、学園が始まる前には時間が取れるだろう」

「はい」

「あなたが刺した刺繍、見ましたよ。
 本当によくできていて、驚いてしまいました」

「あ、ありがとうございます」

 お母様の言葉に少しひきつってしまったのは勘弁してほしい。だって、そういいながらお母様の目がとてもやさしいのだ。なにか、自分の意図とは違う勘違いをしている気がしかしない。

「ウェルカ様……」

 遠慮がちに声をかけてきたのはルナベレーク。彼女はもともと本邸の使用人だったのだ。もちろんこのままここに残るのだろう。よくしてもらっていただけに、少し寂しい。

「ルナベレーク、こちらにいる間ありがとう。
 とても助かったわ」

「いえ、もったいないお言葉です。
 それと、一つお伝えし損ねたことがあるのです」

 伝え損ねたこと? なんだろうと首をひねっていると、ルナベレークは嬉しそうにほほ笑んだ。

「はい。
 実は、お嬢様の専属として、私も王都についていくことになったのです」

 えっ、と思わずお父様の方を見るとしっかりとうなずいてくれた。本当についてきてくれるならこんなに心強いことはない。

「学園には連れていけないが、何か屋敷への用事があればルナベレークに頼むといい」

「ありがとうございます!」

 私はルナベレークが確かに馬車に乗り込むところを見ると、自分も馬車へと乗り込んだ。
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