166 / 193
2章 学園生活
166話 新学年(1)
しおりを挟む
無事に学園を卒業したヴァークは、正式に近衛騎士団に入団した。実家からではなく寮に入ったため、なかなか会えるタイミングがないといわれた。
でも、たまには会えるみたいだ。
セイットからは、あちらでのことが忙しくてもう戻れないと書かれた手紙が届いた。そこには、いつでも力になること、そしてセイット自身も神国で婚約者ができたことが書かれていた。
そして私も学年が一つ上がることに。つまり、初等専門部2年に進学した。それは同時に、アンティーナが入学してきたことを示す。まあ、とは言っても学部が違うから会うこともないでしょうけれど。
ちなみにお兄様は初等専門部文官科に合格して、自宅から通うことになっている。学年上後輩になるなんて変な感じだ。
「まあ、クラスはもともと一つですし、何かが変わるわけではありませんよね」
新学年が始まり、いつものように教室へ向かう。そこにはやはりいつものようにエリオベラ様がいた。早速のエリオベラ様の言葉に私はうなずくしかない。
「魔法科は特にそうですよね。
高等専門部になってくると、初等専門部の人に指導することもあるみたいですが、初等専門部のうちはそれもしませんし」
あまり後輩が入ってきたという気がしないのだ。それに私にとっては学年は後輩でも年齢は年上。なんとも微妙な関係だ。
「それよりも!
もうすぐ校外学習がありますね」
「そう、ですね」
校外学習。そう、それがあるのだ。今回は学園のすぐ近くにある森での狩りだが、不安ももちろんある。あまりにもイレギュラーだったことは知っているが、あの時のことを思い出す。
「大丈夫ですか?」
「はい」
それでも多くの人は楽しみにしているのだ。今までの成果をようやく発揮できると考えれば、まあ当たり前ともいえるけれど。あいまいに笑って見せると、エリオベラ様は心配そうにこちらを見てきたけれど、私はそれ以上何も言わなかった。
結局、担任の先生も変わらないまま始業式も終わった。うん本当に何も変わらないね。
授業の内容が少し難しくなって、2年だけでなく3年の授業も一緒に取ることになって学園にいる時間が増えたな、と感じ始めたころ『それ』は突然にやってきた。
「あの、ウェルカ公爵令嬢様、そこに……」
そろそろ帰ろうか、そう思って準備をしていると急に話しかけられた。クラスメイトだと知ってはいるけれど、名前なんだっけな……。
そんなことを考えながら返事をすると、指し示す先には、アンティーナ……?
ここでは決して見ることがない基礎教育部の制服。なるほど、これは確かにかわいい、なんて逃避気味に考えても目の前から彼女はいなくならない。
「なぜ、ここにあなたが?」
「あら、せっかく私から会いに来て差し上げたのにひどいあいさつじゃない。
とってもお会いしたかったわ、お姉様」
お姉様、アンティーナの口からその言葉が紡がれた瞬間悪寒が背筋を這い上がる。ああ、だから嫌なのだ。
「私はもうあなたの姉ではないのだけれど?
それで、なんの用ですか、アンティーナ様?」
あくまでも他人です、という態度を貫く。そうすると、アンティーナはわかりやすくむっとする。相変わらず、なんだね。
「あら、バーセリク侯爵令嬢、どうかしたのですか?」
「エリオベラ……。
いいえ、なんでもありませんわ。
今日はお姉様にあいさつに来ただけですし、もう帰りますわね」
結局、本当に何をしに来たんだっていうくらいアンティーナはあっさりと帰っていった。というか、いくら小さい声とは言えエリオベラ様を呼び捨てにって、ありえない。
「あの方は、本当に理解ができませんね」
「すみません、嫌なものを見せてしまって」
「ウェルカ様のせいではありませんわ」
ああ、やっぱりエリオベラ様はとてもやさしい。もう、アンティーナには会いたくなかったんだけど、な。エリオベラ様のおかげで少し元気になった。
でも、たまには会えるみたいだ。
セイットからは、あちらでのことが忙しくてもう戻れないと書かれた手紙が届いた。そこには、いつでも力になること、そしてセイット自身も神国で婚約者ができたことが書かれていた。
そして私も学年が一つ上がることに。つまり、初等専門部2年に進学した。それは同時に、アンティーナが入学してきたことを示す。まあ、とは言っても学部が違うから会うこともないでしょうけれど。
ちなみにお兄様は初等専門部文官科に合格して、自宅から通うことになっている。学年上後輩になるなんて変な感じだ。
「まあ、クラスはもともと一つですし、何かが変わるわけではありませんよね」
新学年が始まり、いつものように教室へ向かう。そこにはやはりいつものようにエリオベラ様がいた。早速のエリオベラ様の言葉に私はうなずくしかない。
「魔法科は特にそうですよね。
高等専門部になってくると、初等専門部の人に指導することもあるみたいですが、初等専門部のうちはそれもしませんし」
あまり後輩が入ってきたという気がしないのだ。それに私にとっては学年は後輩でも年齢は年上。なんとも微妙な関係だ。
「それよりも!
もうすぐ校外学習がありますね」
「そう、ですね」
校外学習。そう、それがあるのだ。今回は学園のすぐ近くにある森での狩りだが、不安ももちろんある。あまりにもイレギュラーだったことは知っているが、あの時のことを思い出す。
「大丈夫ですか?」
「はい」
それでも多くの人は楽しみにしているのだ。今までの成果をようやく発揮できると考えれば、まあ当たり前ともいえるけれど。あいまいに笑って見せると、エリオベラ様は心配そうにこちらを見てきたけれど、私はそれ以上何も言わなかった。
結局、担任の先生も変わらないまま始業式も終わった。うん本当に何も変わらないね。
授業の内容が少し難しくなって、2年だけでなく3年の授業も一緒に取ることになって学園にいる時間が増えたな、と感じ始めたころ『それ』は突然にやってきた。
「あの、ウェルカ公爵令嬢様、そこに……」
そろそろ帰ろうか、そう思って準備をしていると急に話しかけられた。クラスメイトだと知ってはいるけれど、名前なんだっけな……。
そんなことを考えながら返事をすると、指し示す先には、アンティーナ……?
ここでは決して見ることがない基礎教育部の制服。なるほど、これは確かにかわいい、なんて逃避気味に考えても目の前から彼女はいなくならない。
「なぜ、ここにあなたが?」
「あら、せっかく私から会いに来て差し上げたのにひどいあいさつじゃない。
とってもお会いしたかったわ、お姉様」
お姉様、アンティーナの口からその言葉が紡がれた瞬間悪寒が背筋を這い上がる。ああ、だから嫌なのだ。
「私はもうあなたの姉ではないのだけれど?
それで、なんの用ですか、アンティーナ様?」
あくまでも他人です、という態度を貫く。そうすると、アンティーナはわかりやすくむっとする。相変わらず、なんだね。
「あら、バーセリク侯爵令嬢、どうかしたのですか?」
「エリオベラ……。
いいえ、なんでもありませんわ。
今日はお姉様にあいさつに来ただけですし、もう帰りますわね」
結局、本当に何をしに来たんだっていうくらいアンティーナはあっさりと帰っていった。というか、いくら小さい声とは言えエリオベラ様を呼び捨てにって、ありえない。
「あの方は、本当に理解ができませんね」
「すみません、嫌なものを見せてしまって」
「ウェルカ様のせいではありませんわ」
ああ、やっぱりエリオベラ様はとてもやさしい。もう、アンティーナには会いたくなかったんだけど、な。エリオベラ様のおかげで少し元気になった。
14
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。
buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ?
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
チョイス伯爵家のお嬢さま
cyaru
恋愛
チョイス伯爵家のご令嬢には迂闊に人に言えない加護があります。
ポンタ王国はその昔、精霊に愛されし加護の国と呼ばれておりましたがそれももう昔の話。
今では普通の王国ですが、伯爵家に生まれたご令嬢は数百年ぶりに加護持ちでした。
産まれた時は誰にも気が付かなかった【営んだ相手がタグとなって確認できる】トンデモナイ加護でした。
4歳で決まった侯爵令息との婚約は苦痛ばかり。
そんな時、令嬢の言葉が引き金になって令嬢の両親である伯爵夫妻は離婚。
婚約も解消となってしまいます。
元伯爵夫人は娘を連れて実家のある領地に引きこもりました。
5年後、王太子殿下の側近となった元婚約者の侯爵令息は視察に来た伯爵領でご令嬢とと再会します。
さて・・・どうなる?
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる