それは、キラキラ光る宝箱

花町 シュガー

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僕の声

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 〝どうぞ、お上がりください〟

 足元の悪い中わざわざありがとうございます、とお屋敷の人が僕に頭を下げた。

 ぶんぶん首を振ると、隣から優しく頭をなでられる。

 雪で濡れた履物を脱いで丁寧に揃えてから、ゆっくり歩いてくれるその人の後をついていった。




 ***





 〝君が、耳が聞こえない子?〟

 パッと差し出されたメモ用紙。
 慌てて顔を上げると、目の前には人形みたいに綺麗に整った顔があって。
 びっくりしてカチンッと固まってしまった僕を、その人は不思議そうに見てた。

 ──それが、先輩との出会い。

 元々学園の副会長をしていた彼は、〝自分は君に構内を案内する係なんですよ〟と教えてくれた。
 用意周到な性格なのか、〝此処がトイレです〟〝此処が音楽室です〟と言葉が書かれているスケッチブックを持ってかなり丁寧に教えてくれて。
 それに感動してぶわぁっと涙が溢れてきた僕に、ぎょっとした様子でハンカチを貸してくれて。

 それから、ことあるごとに助けてくれるようになった。

 (それが、まさかこうなるなんてね)

 本当、自分でもびっくりだよ。

 告白された時は、思わず〝なにかの練習ですか?〟と聞き返してしまった。


〝違います。あなたが好きなんです。
 いつもいつも真っ直ぐで努力家で、人より何倍も頑張っているあなたのことを守りたいと…これからも支えたいと思いました。

 私と一緒に、生きていきませんか?〟


 僕よりいい人なんか、たくさんいる。
 出来ることだって人より少ないし、出来ないことを出来るようになるのにもかなり時間がかかる。
 これまで腫れ物のように扱われてきて当たり前だった…それ、なのに……

 目の前で緊張しているこの人は、僕のことが〝好きだ〟と言っている、

 〝……っ、本当…なの……?〟

 〝私は、これまであなたに嘘をついたことがありましたか?〟

 そんなのあるわけない。
 先輩はいつだって僕のことを見守ってくれて、支えてくれて。
 だからクラスにだって馴染めたし友だちもできたし、楽しい毎日を送れてた。

 ぶわぁっと体が熱くなって頭がクラクラして。
 答えるより先に、何故だか涙が出てきて……

 ふわりと拭ってくれたその手に、思わず擦り付いた。

 途端、大きな手に両頬を包まれて上を向かされて。

 〝それは、そういう意味と解釈してもいいですか?〟

 とろけるように微笑んでる顔にコクリと小さく頷くと、すぐに優しいキスが送られた──





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