それは、キラキラ光る宝箱

花町 シュガー

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White Christmas.

2022/12/01(木)

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【〝秘密〟って、

 秘密にしすぎると本当に秘密になるんだな】






【2022/12/01(木)】


「…………は?」


 目の前で言われてることが、理解できない。


「えっと、つまりどういうことでしょうか?」

「息子さんは、 解離性健忘かいりせいけんぼう…一種の記憶障害が残っている可能性が高いです。
日常生活に必要な知識や、過去・現在に至るすべての記憶があるにも関わらず、特定の記憶だけが抜け落ちている……まさに解離性健忘の特徴です。
今回 浬久リクくんは、ご友人のことを忘れてしまっている。この障害は自身にとって重要なことほど思い出せなくなるとも言われています。きっと、よほど仲が良かったんでしょうね」

「それは、家族ぐるみで付き合いがあったのでそうですけど……
じゃあ浬久は…うちの息子は、どうなるんですか?」

「身体の異常はありませんし、脳にも深刻な問題は見受けられませんでした。
念のため明日まで病院にいてもらいますが、その後は自宅療養で学校へも通っていいでしょう。そのほうが早くご友人を思い出すかもしれませんしね。
解離性健忘は、1日で記憶が戻ることもあれば何十年も戻らないこともあります。焦らず、ゆっくりやっていきましょう。
治療法ですが、基本的には催眠と薬を用いた面接のような形式で──」


 「一緒に着いてきて」と言われ入った診察室。
 座って話を聞く浬久の母さんの後ろで、呆然と立ち尽くす。

 は? 待って意味がわからない。
 解離性健忘? 一種の記憶障害? それって記憶喪失ってこと? 俺だけに??
 そんな漫画みたいなこと、現実で起きんの?

 (っ、けど)


『おい浬久大丈夫か!?
お前、いま大事な時期だってあれほど──』


『……誰? お前』


 さっき病室を訪ねたときの顔は、嘘を吐いてるようじゃなかった。
 本気で俺のことわかってないような、そんな表情だった。

 高校3年生、受験真っ只中。
 俺たち進学組は補講があってその帰り、別れた後の出来事。

 え、なに? お前ちょっと前まで一緒だったじゃん。
 確かにいま冬だし帰るの遅くなったしで暗かったけどさ、車に突っ込まれるのは流石にないわ。
 しかも、奇跡的に無傷なのに記憶障害?

『自身にとって重要なことほど思い出せない』
『戻るのに何十年かかることもある』

 ふざけんな、まじで言ってんのそれ??


 頭が真っ白になってる間にも浬久の母さんと医者の話は続いてて、これが現実なんだと だんだん実感して。


 (……くそっ!)


 どうして、こうなった。
 俺が一緒に家までいけばよかった?
 他の道から帰ればよかった?
 叫んで帰るの止めさせればよかった?

 なんで、どうして、なんで、なんで


「──っ!」



『あのさ 彗眞ケイマ、俺たちさ──』



 どうして、なんだよ。





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