麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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人生において欠かせないものは何か?

それは睡眠だ。

どれだけ屈強な肉体や精神を持とうと、眠ることを禁じられれば人間はたちまち衰弱し、狂い果ててしまう。
人間にとって正に欠かすことの出来ない行為。

それがすなわち睡眠。


「だから僕は生物として当然の欲求に従っているだけだ」

「いや、限度があるだろ」

僕の主張はエリオットにあっさと却下された。

…………なぜだ。

納得いかない気持ちのまま抗議を込めて見つめれば、半眼で見返すエリオット。

「あのな?誰も寝るな、って言ってるわけじゃねぇんだよ」

「言ったじゃないか」

「違ぇよ。 “いつでも” “どこでも” 寝るなって言ってんの」

やたらと単語を強調するエリオットの言葉にムムムッと唇を引き結ぶ。

周りのみんなも苦笑いのような表情を浮かべて僕を見ている。
味方がいない。

ひどい……僕は悪くないのに。

ふて腐れた気分でリゾットをすくう。

海鮮のダシが効いてておいしい。

議論はまた後だ。
いまは早くごはんを食べなくては。なんせ昼休みには限りがある。

「ごちそうさま。そしておやすみなさい」きちんと挨拶をし、「おやすみなさい」「ちゃんと起きろよ」などの声を背に仮眠室へと向かう。

扉を開けば学校には相応しくないような立派な内装とドドン!と置かれたベッド。
室内がこれでもかと豪華なのはここが王侯貴族の通う由緒ある学園だからで、学園内でもベッドがあるのは保健室の他にはこの生徒会室だけだ。

そしてこのベッドこそが僕が生徒会に入った理由だ。
生徒会なんてなんの興味もなかったし、従兄のエリオットの誘いに乗る気なんてなかった。

が……、ベッドが使えるとなれば話は別だ。

一応、生徒会共有の仮眠室だか基本僕の部屋と化している。
生徒会室でランチをした後はここでお昼寝するのが日課だ。

そのために僕はやりたくもない会計の仕事を頑張っているので当然の権利。

……ということでふかふかベッドに潜り込み目を閉じる。

夢の国へは一瞬だ。
僕の特技はおやすみ三秒……zzz。


数十分後、僕はエリオットに乱暴に揺り起こされた。

「眠い……」

「眠くても起きろ。ほら授業行くぞ」

エリオットは無情だ。
他の生徒会メンバーなら多少は絆されてくれるのに。

無理やり起こされた僕はそのまま手を引かれて、売られる子牛のように教室へと連行される。

ドナドナドーナ……。
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