麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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視線を向ければ案の定、後輩の書記が真っ赤な顔で口を押さえていた。

普段はいかにも優秀な令嬢然とした彼女はときどきこうなる。
なんでも持病の発作らしい。

大丈夫だろうか……?

体調を心配していると視線を感じたらしく「大丈夫です!続けてください!」と促された。

大丈夫そうには見えないし、続けるってなにを?

「いつ頃からそのような関係に?」

「お互い意識しだしたのはいつからですか?」

エセ双子の問いかけに病弱な書記もコクコク首を動かしつつ僕を見てくる。

どうやら義兄さまとの話を聞きたかったらしい。

やはり女の子は恋愛トークが好きなのだろう。
庶務たちほど誰の恋愛話にも食いつくわけじゃないがたまにやたら食いつくし。

そういえば、生徒会入りした当初もやたら僕とエリオットが付き合ってるのか聞かれた。
否定したらものすごくガッカリされた。

ちなみにこの勘違いはわりとよくある。

なんども否定してるのにたびたび話題にあがるのだ。
僕には義兄さまがいるし、エリオットも隣国の末姫と婚約が確定してるのに迷惑な話だ。

エリオットもよく「早く正式に発表したい」とぼやいている。

さて、いつから恋人にだったか……。
……………。

「いつからだ?」

エリオットに聞いてみた。

ものすごく顔をしかめられた。

「知るか」

エリオットもわからないらしい。

腕を組み、う~んと唸る。

兄弟と恋人の境目はどこだろう?

小さいころから仲はよかったし、大好きだった。
ぎゅっと抱きしめられたことも、チュッてされるのも珍しくなかったし……。

「あっ!チューは昔からあったけど口はなかった!!」

これぞ恋人の転換点では?
父さまたちもお互いにはするけど、僕はほっぺやおでこしかされたことないし。

うんうん頷いて顔をあげたらみんなの顔が赤かった。

どうした?

はっ、さてはチューしたことがないんだな。
お子さまめ。

そして書記令嬢、やたら早口でブツブツいってるが平気か?
また発作がでたんだろうか、ちょっとこわいぞ?

「その……で、それはいつ頃……?」

「わりと最近」

「「な、なにかきっかけが……?」」

おまえら本当に恋愛トークだけしゃべるな。
普段は会議でも無言なくせに。

そして書記令嬢は具合悪いなら保健室に行くといい。
ベッドはまだ空いてたぞ。

「きっかけ……プロポーズ??」

義兄さまが僕をいつから意味で好きだったのかはわからないが、僕の意識が変わったきっかけはたぶんそれ。

「えっ、でも恋人になった時期ははっきりしてないっぽかっかたのに……?」

「そんな決定的な出来事ならそのとき恋人になったのでは?」

「でも告白は前から何度もされてたし、チューもした。口じゃないけど」

「えっ?えっ?じゃあそのときがお付き合いのはじまりじゃ?」

「どの告白のとき?」

お互い首を傾げているとエリオットがため息を吐いた。
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