麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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「おじさんが、って言うよりコイツんそのものがそう。sleeping beautyで姫を呪いから守るために国中で糸車を禁止するだろ?まさにあれ。
溺愛してる眠り姫ののためならなんでも手入れてくれるし、他国の王族との繋がりだってGETする。そーいう家だ。家族だけじゃなくて使用人だって可笑しいからな?」

「可笑しいって?」

「むちゃくちゃ強い。近衛と張るぐらい」

「……は?」

弟子が間抜け面してる。
書記は無の表情。

「すみません、ちょっと耳が可笑しくなったみたいで」

「聞き間違えじゃねーよ。使用人たちが騎士並みの強さで、下手な諜報顔負けの情報収集力備えてる」

「いや、意味わからないんですけど。なんでですか?」

「僕を守れるように毎日鍛練してる」

小さいころからよく誘拐されそうになる僕を守れるように鍛練は必須だって執事が言ってた。

従者もメイドも料理人だって戦えるし、みんな「必ずお守り致しますので安心してお眠りください」って言ってくれる。頼りになる自慢の使用人たちだ。

沈黙が流れた。
なにか言いたそうな顔なのに誰もなにも言わない。

もしかして僕の家の使用人が羨ましいのだろうか?あげないぞ?

「お義兄さまの留学が長引いて、それが寂しくてセレナードは元気がなかったんですね?」

副会長が仕切り直すように問いかけてくるのに「そう」と答える。

寂しいし悲しい。
それにとっても困るんだ。

「冬、寒いから嫌い」

雪は楽しいから好きだけど、寒いのはいやだ。

書記が「筋肉ねーからだよ。筋肉つけろ」とか言ってるけど無視。
僕は筋肉がつきにくいんだ。

「寒いとベッドに入ってもすぐ寝れないし、ベッドからでたくない。義兄さまにくっついてれば温かいのに」

その義兄さまが不在。

僕はどうやって冬を越えればいいんだ?

「いっそ冬眠したい」

「それでその言葉に戻るわけですね」

「むしろ俺、この会話のはじまり忘れてたわ……」

「俺も俺も」

副会長はともかく、エリオットと書記は血が凍りついてでもいるんだろうか?

人が真剣に悩んでいるというのになんて冷たいんだ。
心のなかでぷんぷをしてると空のカップを回収された。

「寂しいのはわかりますけど元気を出してください。さっ、もうすぐ授業がはじまりますよ」

慰めるように髪を撫でてくれる副会長の言葉に壁を見れば、昼休みはもうじき終わろうとしていた。

「どうしよう……」

途方にくれた顔で副会長を見上げる。

「眠くなってきた……」

さっきまで全然眠くなかったのに。

やっぱり食後のお昼寝は必須らしい。

結局、エリオットに引きずられるようにして教室に連行された。
一生懸命がんばったけど寝落ちして、気づいたら授業は終わってた。


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