麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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冬がきた。

寒いと僕はなかなか寝れない。
いつもは三秒でぐっすりなのに、寝るまでに数分かかる。

使用人たちは僕が寒くないようにいつでも部屋を暖めてくれた。

義兄さまが居ないから、ポメさんと一瞬に寝てる。

ポメ男さんはひつじの抱きまくらだ。
もこもこでふわふわしてる。

ふんわりラベンダーの香りがして「ぐっすり安眠!」の謳い文句に惹かれて父さまにねだって買ってもらった。お気に入り。

ポメ男さんの正式名称はポメラニアン三世で男の子だからポメ男さんって呼んでる。
犬じゃないけど、ポメラニアン。

本当はベッドのなかでずっとぬくぬくしてたいけど、学園だってちゃんと行った。

そしてようやく春の足音が聞こえてきた……らしい。

庭師のおじいちゃんが言ってた。
僕は耳をすませても聞こえなかったけど。
庭師のおじいちゃんは「最近耳が遠くなってのぅ」とか言ってるけど実は僕より耳がいいのかもしれない。

「春は眠い」

春眠暁を覚えず、だ。

「いや、お前は一年中だろ」

呆れたように目を細めるエリオットは今日も失礼なやつだ。
でも僕は機嫌がいいからそんなことで目くじらを立てたりしない。

「お土産なにかな?」

義兄さまが帰ってくる。うれしい。

「あの国の有名なお菓子ってなに?」

副会長に尋ねたら、う~んってちょっと困った顔をされた。

「副会長も知らない?」

「たしかザッハトルテが有名ですが…………距離があるので賞味期限的にはお土産に厳しいかと……」

ガーン!!

ショックすぎて手にしていたクッキーがポロリと落ちた。

そのことにダブルでショックを受ける。
ショックすぎて涙がでそうだ。

「わ~っ!先輩っ先輩!ザッハトルテなら僕おいしいとこ知ってますから!買ってくるんでっ!!泣かないでください!!」

なんか弟子が急に慌てはじめた。

なにやら「男ってわかってても無理……」「泣きそうな顔、めっちゃ威力高い……」とかぶつぶつ言ってる。

よくわかんないけど、もらえるものはありがたくもらっておこう。

弟子として師匠を敬う気持ちが芽生えたのかもしれない。
うむ、いいことだ。

腕を組んでうんうん頷いていると、「ザッハトルテはともかく、チョコレートならお土産にあるんじゃないですか?」って副会長が言ってくれてさらに気分が上昇。

チョコも好きだから義兄さまはきっと買ってきてくれる。

ご機嫌でアドレナリンが分泌されたのか、お昼寝のあとは午後の授業だってばっちり起きてられた。

ちゃんと授業聞く僕えらい。
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