麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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義兄さまのお膝に預けていた頭を上げて身を起こす。

テーブルのうえには箱がいっぱいだ。
その中の一つ、包装と蓋が開かれている箱を覗き込む。小さく区切られた箱には様々な形のチョコが並んでいた。

食べていい?と視線を向ければ、もちろんと義兄さまが掌で示した。

どれにしよう?

あっ!と声をあげて一つをつまむ。
四角くて、斜めにいくつか線が描かれたそれは夢の中で僕が食べようとしていたのにそっくりだ。

夢のお話をすれば「お菓子の町なのにお店で注文したのかい?」って聞かれた。

どっかの童話みたいに僕が屋根に登って建物をがじがじしたとでも思ってたんだろうか。
そんなことするわけないのに。
そもそも衛生面でも大問題だし、人様の家を食べちゃうとか迷惑極まりないじゃないか。

チョコ以外にも義兄さまは山ほどお土産を買ってきてくれていた。

ワクワクしながら箱を開けたり、あっちでの話を聞いた。
義兄さまは僕の話を聞きたかったみたいだけど、母さまと多数決で僕らが勝ったんだ。

そうこうしているうちに父さまも帰ってきて、みんなでごはん。

夜はメナードさんと義兄さまと寝た。

メナードさんは黒い羊。

最初はおうちのなかでポメ男さんを持ち歩いてたけど、しょっちゅう置き忘れて夜にポメ男さんを探しにいく羽目になったから義兄さまのお部屋とリビングにはそれぞれ羊さんたちを待機させることにしたんだ。

義兄さまのお部屋のメナードさんはポメ男さんより小ぶりでシャープ。
シルクハットをちょこんと頭にのせたオシャレ紳士。

リビングにはポメ男さんの子どもみたいなメリー。

生徒会室のベッドにも羊さんを設置しようかと検討中。すぅ…………zzz。


連休中は義兄さまとずっと一緒に過ごして久方ぶりのギルを補充した。
週明け、登校するとなぜかエリオットが不機嫌だった。

「面倒事を押し付けやがって」

「面倒事?」

はて、なにかあったんだろうか。

「覚えてもないのかよ!?」

なにが?

どうやらエリオットはアギア殿下らを押し付けられたことを怒っているらしい。

すっかり忘れてた。
第一、押し付けたのは僕じゃないぞ。

それに義兄さまは僕を迎えにいくからってお別れしたのに「噂の婚約者殿を見たい」とか言って勝手に着いてきただけらしいし。

ぷんぷん丸なエリオットに連れられて教室へと向かう。

午前中の授業は一度も寝なかった。すごい。

お昼、生徒会室でパスタをフォークでくるくる。
今日はボロネーゼ。
弟子はザッハトルテを忘れなかったので、これを食べたらデザートだ。

「お茶会?」

「ああ」

ステーキにブスッとフォークを突き刺しながらエリオットが答えた。

昼からよくそんな重いもの食べれるな。
同じメニューを食べてる書記なんかは倍ぐらいお肉がある。信じられない。

他国の王族とお茶会。

お偉方がきたらおもてなししなきゃだし、別に珍しいことでもない。

「ま、訪問の話自体は前々からあったしな」

「で、僕も?」

「ああ、是非にって。名指し」

お城のガーデンパーティー的な大規模なお茶会だから、主要な高位貴族は元々招待予定だったけど、僕だけあえての名指しらしい。

「友人ってだけあってギルバートの性格よく知ってるからじゃね?じゃないとあいつ、お前を欠席させそうだし」

理解を示した表情で「この前だってちらっと挨拶しかさせなかったし」と納得してるエリオット。
たしかに。

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