麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴

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週末、お茶会にやってきた。

義兄さまが差し出してくれた手を借りて馬車から降りる。

開かれたドアからステップに足を踏み出すとあちこちで感嘆の声が漏れた。
義兄さまにエスコートされながらエリオットとご挨拶。
人前だからお互いにおすましだ。

綺麗に整えられたお庭には美味しそうなお菓子がたくさん並んでいた。
お菓子に気をとられていると肘で軽く押された。

相変わらずこっそり攻撃するのがうまい奴め。

ちょっとムッとしたけど、ここはお外なのでエリオットへの文句はあとにしてやろう。
アギア殿下たちにもにっこり笑顔でご挨拶する。

「先日も美しかったが今日は一段と美しい。まるで妖精が迷いこんだようだ」

おおっ、鋭い。
今日の僕のコンセプトはズバリ妖精だ。

コーディネーターは母さま。

蒼と緑をベースにレースや銀の刺繍で妖精の翅がイメージされている。
僕のお洋服は男の子用だけど、母さまが選ぶとレースやフリルがふんだんなひらひらになる。

まぁ、義兄さまや父さまが買ってくれるお洋服も系統的にはそうだけど。

「ありがとうございます」

はにかんでお礼を言った。
こんな風にはにかむと、おとなしい子と思われていっぱい喋らないでいいから便利。

お喋り自体は別にいいんだけど、お外だと気を使って喋らなきゃだから面倒くさい。
おおやけの席はキライだ。

他の貴族が挨拶してくる間も基本は義兄さまやエリオットに投げて微笑んどく。

あ、副会長だ。

目があったのでこっそり手を振る。
にこってされた。

お茶会、いつになったらはじまるんだろう。早く座りたいしお菓子食べたい。

ようやく席に着いたところでアギア殿下にまたお洋服を誉められた。
身分的に僕らの席は殿下らに近い。お隣は義兄さまとエリオット。

僕はちゃんとお外用の貴族仕様で会話だって完璧だ。

朝はたっぷり寝てきたし、お着替えが終わったあとは「寝ててよろしいですよ」ってみんなが言ってくれたから支度されながら椅子でうとうとしてた。

ここに来るまでの馬車の中でも義兄さまの肩にこてんってして寝てきたからたぶんあと4、5時間はもつはず。

軽いお茶会のあとは二手に分かれてラーニャ国出身の一団による歌や舞を鑑賞する予定だけどギリギリ大丈夫……たぶん、きっと。
相当長引くとかなければ起きてられるはずだ。

それに今日のお茶会は年齢層が若めでご当主とかがいないから比較的に気が楽。

ひとしきりするとティーポットとカップが下げられ、新たしいものが運ばれてきた。

お茶の種類を変えたのだろう。
ん?嗅ぎ慣れないお茶の香りに僕を含め何人かが僅かな反応を示した。

アギア殿下が笑いながらこれはラーニャ国の伝統的なお茶です、と説明するのに成る程と納得した。

色味がいつものお茶より濃い、花みたいな香りがした。
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