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しおりを挟むぷんむくれていた僕だったが、機嫌はたちまち直った。
義兄さまが「それなら」って自分のをわけてくれたんだ。
差し出されたフォークの先になにも考えずにあーん!とパクついて、その幸せな甘さにほにゃりとしてからアギア殿下たちの存在に気づいた。
はっ、しまった!
またやってしまったっ。
こっそり窺えば……うん、バッチリ、ガッツリ見られてた。
エリオットにいたっては、口パクで「アホ」って伝えてきたし。
それにしても……僕の行動は条件反射的なあれだから仕方ないにしても、義兄さまはちゃんと人前だってわかってたはずなに。
そんなことを思ったのはエリオットも同じだったようだ。
「ギルバート」
呆れを含んだ咎める声。
だけど義兄さまは「彼なら平気ですよ」とアギア殿下を横目で見ながら答えた。
これには僕も、他のみんなも小さく目を見開く。
これは結構珍しい。
義兄さまは人前では特に丁寧な態度を崩さない。
エリオットにたまに「慇懃無礼」と評されるそれは義兄さまの一種の処世術だ。
誰とでも親しく振る舞えるけど、家族や特定の相手以外にはどこか壁がある義兄さまがこうして気を許している相手は珍しい。
「本当に“友人”なわけか」
エリオットの呟きに義兄さまはにこりと微笑む。
パチリと瞬いたアギア殿下の頬がうっすらと赤い。
どうやらアギア殿下にとっても義兄さまからの信頼は意外だったようで、ちょっと目がキョロキョロしてる。
「それに彼には私たち関係も話してますから。私とセレナードの仲を邪魔してくるようなこともないですし」
「誰がそんな自殺行為するか」
すん、とアギア殿下の表情が消えた。
一瞬前の照れてた姿が錯覚かと思うほどの真顔だった。
「私は自殺願望もなければ、国を滅ぼす気もない」
会話の繋がりとしてはすこぶる可笑しなはずなのに、アギア殿下はいたって本気だし、そんな彼の背後では騎士さんたちも真顔でうんうん頷いている。
一体、どんな話をしたんだ……ギル。
「どうやらギルバートの本性はご存知のようですね。…………我が国の者が申し訳ない」
「いえ、エリオット殿下こそご苦労様です」
額を押さえて謝罪するエリオットに、労りの表情でふるふると首をふるアギア殿下。
二人の瞳に浮かぶのは互いに同情と共感。
なにやらすごい勢いで親近感が生まれている気がする。
もともとこの二人、相性良さそうだとは思ったけど……。
なんか仲間はずれな気分になってきた。
ギルと仲良しのお友だちで、エリオットとも仲良くなりそうなアギア殿下。
僕も仲良くなりたい。
アギア殿下、お菓子もくれるいい人だし。そう思って積極的に話しかける。
賑やかなお茶会は夕方まで続いた。
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