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しおりを挟むセレナードが私たち家族以外とも交流をするようになったのは、私が11歳の頃。
それまでも何度か顔を合わせたことはあるものの、お茶会デビューに先駆け、親族でもある王家との交流が盛んになった。
エリオット王子はセレナードにとってはじめての同じ年のともだちだ。
何度か会ったことはあるといえど、まだ赤子だった2人にとって記憶などないだろう。
本人たちにとってはほぼ初対面の対面。
親族や使用人たちから「妖精のようだ」と評判のセレナードを目にしたエリオット王子の瞳が見開かれ、まだまろい頬が微かに色づいた。
それを見た瞬間に言いようのない感情が胸に広がった。
あの時は理解できなかったが、いまならわかるその不快感。
…………まぁ、エリオット王子はその後セレナードの性別を王妃さまから聞かされ「マジか……」とガックリしていたが。
そんなほのかな初恋を一瞬で散らしたエリオット王子とは逆に、セレナードは同じ年のこどもに興味津々だったようで、最初こそ私の後ろに隠れていたもののすぐにぐいぐいとエリオット王子に話しかけはじめた。
「ぼくはセレナード。こっちは義兄さまのギル」
「エリオットよりぼくの方が誕生日が先。ぼくのがお兄さんだ!」
この頃にはセレナードの口調が変わっていた。
ちょっと独特ではあるものの……性別で考えればそう奇妙なわけではない。
普通の男の子であれば……。
セレナードの口調は当時はまっていた絵本の主人公がきっかけだ。
たしか……国を荒らす竜を退治し、お姫様を救い出す英雄譚。
シリーズものにもなっているおとぎ話はこどもに人気で、寝物語にセレナードにもよく強請られた。
開始3行ぐらいでスヤスヤと寝息を立てるくせに読むのをやめたら翌日に不満を漏らされることもあり、この実は優秀すぎる弟が寝てる間の物語を覚えていると知ったときには驚いたものだ。
いまでも「睡眠学習」で学園の首席をキープしており、エリオット王子や友人たちからは「理不尽だ!」と不満をもらされているらしい。
……脱線した。
幼いこどもあるあるといえばそうなのだろう。
そんな英雄譚の主人公に憧れ、その口調を真似しはじめたセレナードだが……。
外見との落差が激しい。
当たり前だ、ふわふわとして儚げな妖精のようなセレナードに男らしい口調が似合うはずもない。
なお、仕上がりは絵本の主人公とも微妙にちがう。
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