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しおりを挟む「そういえば、文化祭の劇で「sleeping beauty」やる。僕、主役」
「エリオット様からお聞きしました。私もなんとか観に行けないかお母さまたちを説得中ですの」
「セレナードのドレス姿はさぞ可愛いだろうね。けど心配だな。これ以上大勢にセレナードの美しさを見せつけることになるなんて……」
瞳を伏せて憂いを帯びるギルバートはガチで心配しているのだろう。
仄暗い気配がにじみ出ている。
「そう、その劇。ピンチ」
「なにがですの?」
「ラストシーン。ベッドの上で寝ちゃいけない」
「「…………」」
マリーとギルバートが黙った。
「目を開けとくのもダメだって、エリオットが」
「それは……ええと、エリオット様の言う通りかと」
「エリオット王子」
思わず悪寒が走った。
困ったように頬に手を当てるマリーを見ていた視線をぎぎぎ……とぎこちなく動かせば、やたらといい笑顔のくせにちっとも目が笑っていないギルバートにひっ!と喉の奥で悲鳴が漏れた。
本能的な恐怖を体が包む。
「「sleeping beauty」のラストシーンといえば有名なあれですよね?」
「…………」
気分は処刑台に連行された罪人。
「まさか……キスシーン、本当にしたりとかは……?」
「し、しない!!」
ブンブンブンと首が取れそうな勢いで横に振る。
「フリだフリ!!するわけないだろ、そんなこと!俺はマリー以外に口づけなんてしない」
全力で否定する。
少しでも躊躇ったりしたらその瞬間に俺は死ぬ。
そして全力で否定するあまり、最後余計なことまで言った。
その事実に気づいた俺と、俺の言葉にマリーが真っ赤になるなか、仄暗さを消したギルバートは「ですよね」と晴れやかな笑顔で紅茶を口に運ぶ。
「僕もギルとしかチューしない!父さまたち以外」
「ふふ、ここは私だけしかだめだよ?」
チョン、と人差し指でギルバートがセレナードの唇をつつく。
……なんでコイツらこんな人前で堂々とイチャつけんだよ?
恨みがましく睨みつけてもギルバートはどこ吹く風だ。
セレナードは気づいてもねぇんだろうけど。
「ですがエリオット王子がセレナードに恋愛感情を抱くことない方で良かったです。あまりにも仲が良くて昔はつい嫉妬……殺意を抱いてしまったこともありますし」
おい、平然と紅茶を口に運んでるけど言ってる内容ヤベーからな?
いまはっきり殺意ったろ、コイツ。
「いや、マジ勘弁しろよ、ほんと」
ヒクリと頬が引き攣る。
マジ怖すぎて思わず視線で近衛にヘルプを求めた。
けど残念ながら会話がギリ聞こえない距離に居た近衛には至って平穏な光景にしか見えないらしい。
不思議そうに首を傾げられた。
「冗談ですよ」と軽くギルバートは笑うが…………絶対に冗談じゃねぇ。
ノーマルで良かった、俺っ!!
じゃないと絶対暗殺されてただろ、これ?!
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