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しおりを挟む衣装のままだったこともあり、道すがらも大注目を浴びてきゃーきゃー!と叫ばれまくった。
その結果もあってかセレナードが意識がない(寝てる)のは多くの生徒や来賓の知るとこになった。
なまじ午前中に白い顔でフラフラと生徒会の仕事に奔走している姿を見た者も多かったからだろう。
セレナードは “無理をして倒れた” ことになっていた。
まぁ、セレナードをよく知る奴らは「ああ、寝たんだな」と事実を悟ってるだろうが。
「エリオット」
弱々しく名前を呼んでくるセレナードに歩きながら「なんだ?」と返す。
「殴られるかな……?」
「は?」
思わず間抜けな声をあげてから、ああと納得した。
きっとクラスの気の強い女子が魔女役の生徒に「本番で失敗したら殴るからね?!」と息巻いてたからだろう。
「お前は絶対に殴られないから心配すんな」
むしろ怒られすらしない気がする……。
そして俺の予想は大当たりだった。
泣きそうな顔で「みんなで頑張った劇を台無しにしてごめんなさい」と謝罪するセレナードに怒れる奴なんて誰もいなかった。
むしろ「体調は平気ですか?」「生徒会が忙しいのに無理させてごめんなさい」「片付けとか俺らがやるんで休んでてください!」と心配されまくるしまつ。
トッピング大サービスされたクレープにかじりつきつつ「みんなやさしい」とほにゃりと笑う姿に、コイツの外見、マジ得だなと再度思った。
結果的に文化祭の最終投票で俺らのクラスの「sleeping beauty」は見事優勝。
ハマりすぎな姫役を披露したセレナードのあだなは「眠り姫」になった。
マジハマりすぎだし。
そうして俺は……。
「よぉ、王子(笑)!!」
「今日も姫のお世話ごくろーさん!さすが王子(笑)」
一部の親しい奴らかはからかいを含めて「王子(笑)」と呼ばれるハメに……。
ふっざけんなっ!
なにが王子(笑)だっ!
コイツが目覚めなかったのは俺の所為どころか、俺はむちゃくちゃ頑張ったからな?!
そんな理不尽なあだなにブチ切れながら、俺は今日もセレナードを起こしては教室まで腕を引く。
神に愛されたとしか思えない、たぐいまれな美貌と無駄なスペックを与えられた完璧なようでいて全然完璧じゃない幼馴染。
見かけと裏腹に偉そうでヘンテコで……だけどどこか憎めない俺の従兄。
睡眠とお菓子に目がない、頭はいいのにお子様な “神に愛されしアホ” 。
「寝るなっーの!!」
自分の方が「お兄さんだ」なんて言いつつ、危なっかしくって目が離せないコイツに今日も振り回される。
面倒で腹立たしい……手のかかる弟みたいな 俺の大切な幼馴染。
_________________________________
【「麗しの眠り姫」シリーズ】
「麗しの眠り姫の眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る」セレナード視点の本編
「溺愛系義兄は愛しい姫に愛を囁く」ギルバート視点の番外編
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