失礼ながら殿下……私の目の前に姿を現すな!!

星野日菜

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その十二

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「ふう……」

お風呂から出た後は冷たい牛乳でも飲みたくなるが、あいにくと持っていない。

また、早くここから出たいところだが、着替えも……ない。

うむむ、こちらの方が困る問題だ。

牛乳など今でなくとも飲めるであろう。けれど着替えがなければここから出られないのである。



アイレーンもそのへんを教えてくれればいいのに。

聞かなかった私も悪いのだけど……



扉を数センチだけ開け周りを見るが、誰もいない。

……どうしよう。

ここで大声なんて出したらバルドが現れそうで怖いし。



「すみませーん……」

ささやくような声である。聞こえるわけはない。聞こえるわけはない…のだろうが……

「お呼びでしょうか?」

アイレーンの声が私の後ろから、した。

「うぇ!?」

情けない声だとは思う。しかし私の反応は一般的である。

「なぜここに!?」

「アメリア様のお声が聞こえたので」

「そうではなく」

「お着替えのご用意が終わりましたので」

「そうでもなく。
……どうやってここに?」

本気なのか冗談なのかわからない答えに頭が痛い。

……たぶん本気なんだろう。

「あちらの扉からです」

指さす先には白い壁。

「どこから?」

「あちらの回転式隠し扉からです」

……回転式隠し扉?

「戦争でも起こるんですか」

「バルド様が私どもに秘密で造られたものです」

「覗く気満々!?」

「気がついた頃には手遅れでしたので、有効活用させていただきました。
扉の前は十人ほどが守っておりますのでご安心を」

「主人への信頼皆無」

「『黒髪の天使』の信者ですから」

ずいぶんと熱心な信者ですね……
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