失礼ながら殿下……私の目の前に姿を現すな!!

星野日菜

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その十九

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行動してはならない。私が動いてしまったなら、ストーリーが進んでしまう。

けれど我慢できなかった。私に会いに来たがためにバルドはあんな風に夜遅くまで仕事をしなければならなかった。

私のために、私のせいで……

だったら私も……私が……オトシマエ、つけなきゃ。



自分のこんな性格を今ほど嫌ったことはない。

でも今何もしなかったらきっと後悔する。だから……



「誰かいる?」

厨房に駆け込むと叫ぶ。

「どなたですか……って、ええっ!? ア、アメリア様!?」

奥から出てきた少年は大慌てである。一般的な反応だろう。真夜中に客人が訪ねてきたのだから。

「夜遅くごめんなさい。ちょっと厨房使わせてもらえる?」

「え、あ、え……?」

答えがないのを良いことに『ありがとう!』と声をかけ、厨房の中へ。

「パンってある?」

「は、はい」

「えーと。材料とかが入ってるのはどこ?」

「そ、そこです。でも勝手に使わせてしまうと……」

「後で事情は話してあげるから」

少年が答えた場所は頭より少し高い所にある戸棚。

開ければ上が氷になっていて、下に食物。

例えるなら一昔前の冷蔵庫である。



ジャム……生ハム……あ、これ使おう。

となるとトマトとかは使えないな。キュウリとかがいいかな。あとはバターに……

サンドウィッチの中身を考えつつ取り出していく。

「塩、胡椒は?」

「その隣の棚の……」

「これね」

手早く、しかしながら丁寧にフランスパンのようなブレッドを切り、生ハム、バターなどを挟んでゆく。

「お皿、ある?」

「あ、はい」

「どこ?」

「じ、自分が出します」

「そう? ありがと」

どことなく怯えているように見えるのは気のせいであろう。

「こ、これです」

差し出されたお皿にサンドウィッチを盛り付けると、落とさぬよう注意しつつバルドのいた部屋に。

私には仕事を手伝うことはできない。こんな形でしか助力できないから。

自分が無力なのはわかる。でも、だからこそ



できることは精一杯やりたいじゃないか。エゴであるのはわかっているけれども、ね。
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