失礼ながら殿下……私の目の前に姿を現すな!!

星野日菜

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その二十

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カチャリと扉を押し開く……が答えはなし。

気づいていないのだろう。

コトリとお皿を部屋の奥にある机に置く。

バルドはまだ気づいていないのか顔を上げない。

……気づかないなら気づかないで、いい。

私がいたって邪魔になるだけだから。



けどもサンドウィッチには早めに気づいてもらえるとありがたい。ラップがないのでカピカピになってしまいそうだ。



それはともかく用事は終了。長居する必要もない。

そこを立ち去ろうと扉を引き、廊下へ。

さてどうしようか、等と考え上を見上げたその時。

扉の開く音がして私の体を誰かが後ろから包み込んだ。

いや、誰かというのはおかしいか。

扉の開く音。後ろから。となれば誰であるかなど明確。



「バルド……?」

「はい」

吐息が耳にかかり、顔が赤くなるのを感じる。

「なんで気づいたの?」

「足音です」

「どんな差が」

「貴女の足音は間違えません」

「恐ろしい」

夜中でも変わらぬ変態である。

足音で誰だかわかるとは……

匂いだとか呼吸でも私だと判別されそうだ。

「気づいてたならもっと早く言えばいいのに」

「貴女の後ろ姿に見とれてしまい……」

何を言っているのだろう、と呆れる。

それと共に、バルドが見とれたのは私ではなく『アメリア』なのだと思った。

この男は私のことなど見ていないのだ。



それがとても、とてつもなく寂しい。悔しい……

このようなことを考えてしまうのはなぜなのだろう。



そうか……



その理由がわかった時、全てのピースがはまったような気がした。

オトシマエという言い訳に包んで、サンドウィッチを作ったのも。

『アメリア』だけを見ているバルドに悲しくなったのも。

全部、全部



私がバルドを想っていたから……なのか。










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