失礼ながら殿下……私の目の前に姿を現すな!!

星野日菜

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おまけ ~過去 sideバルド~

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その少女を初めて見た感想は『とても美しい少女』だった。

別に容姿だけならば『とても』などという形容詞は付けなかったであろう。

しかし彼女は"木の上で俺に手を振った"のである。

そんな令嬢、これまでいなかった……いや、いるはずはないのだが……

だからこそというべきか、一目で『彼女は傷つけてはならないモノだ』と認識したのだ。

それは初めての感情。



俺は彼女……アメリアの笑顔を永遠に守っていこうと決心した。

それが『俺』ではないいかなる人間に向けられようと……



「アメリア」

今日もまた木の上にいるアメリアに声をかける。

「何を見ているんですか?」

『作った自分』で接するのは辛いが、父の命令。従わなければ。とはいえ普段大人と接する時よりは砕けた口調なのではあるが。

「アメリア?」

返事がない。いつもは単語だが何かしら返ってくるのに。

「アメリア、どうしたんです?」

今度は少し大きめの声。



その途端、バサッと鳥が空に飛び立った。

と、その直後俺に向かって枝が飛んでくる。

「何するのよ!」

という罵声と共に。

「……は?」

呆然と木を見つめていれば、飛び降りるアメリア。

「鳥が逃げちゃったじゃないの! あんたのせいよ、もう。せっかく綺麗な青色だったのに」

どうやら俺の声で鳥が逃げてしまったことに怒りを感じているようだ。

「すみません」

「謝ったって意味ないのよ! あんたが青い鳥をもう一匹見つけてくれるの?」

「鳥ならあそこにも……」

「青くないでしょうが! 私が探しているのは青い鳥なの。白い鳥や赤い鳥はいらないわよ」

今にも泣き出しそうなほど顔を真っ赤にさせている。

けれどなぜ『青い鳥』にこだわるのだろう?

「なぜ『青い鳥』でなければならないんです?」

「『青い鳥』以外じゃ願い事叶わないでしょ? 当然じゃないの」

「願い事?」

「そうよ。白馬の王子様に会うっていう願い事。絵本で読んだの」

絵本。俺が渡したモノだろう。喜んでくれたのだ。少々おかしな方向にではあるが。

「あーあ。探し直さなくちゃ」

そう言うとアメリアは再び木の上に行ってしまう。

それから三時間程度探していたが、青い鳥は見つからなかったらしい。

ガックリと肩をおとすアメリアの顔はあからさまに沈んでいた。

俺が笑顔を奪ってしまったのだろうか。



その日屋敷に帰った俺は即刻白馬を手配するように指示し、次の日からは毎日白馬でアメリアの元に通うことにしたのだった。








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