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テンドルニオンの指輪※アユム視点
しおりを挟む「おお、テンドルニオンの指輪だ……」
ザピクロス様が嬉しそうに言う。
こういうゴッツイ指輪、中学生の頃に密かに買った事あるなぁ……。
俺はその指輪を手のひらに乗せると、バチバチと小さな雷が煌めいた。
「テンドルニオンの指輪も操れるのか、すごいなアユム」
「え? 操っては、いないと思うのですが……」
「いや、雷を出しているんだ。もう干渉できているんだよ」
そうなんだ。
なんの取り柄のなかった俺にも、何かできる事が?
「転移者殿、テンドルニオンと話をしてください」
「え? はい……テンドルニオン様、テンドルニオン様……ザピクロス様がお話をしたいと」
そう言った瞬間に、部屋中にバリィ! と大きな雷が発生した。
エイシオさんが怪我しちゃう! 慌てて俺は雷を封じ込めた。
なんだか……テンドルニオン様怒ってる?
『……転移者……お話する事はできません……』
ん? 俺の心に直接ってやつ!?
頭に声が響く。
『テンドルニオン様ですか……?』
『はい。ザピクロスと話すことはございませんので、そのようにお伝えください』
『でも、あなたを心配しているようなので……お姿をお見せしてくださいませんか?』
『転移者様、この指輪をお使いになっても結構ですが、ザピクロスとは会いません』
『そうですか……』
耳のぴこぴこエイシオさんとアライグマのザピクロス様が俺をジッと見ている。
俺はザピクロス様にテンドルニオン様の言葉をできるだけ、やんわりと伝えた。
「くっ……テンドルニオンに一体何が……」
「えっ? まさか、何か危機的な状況とか?」
とっさにそんな判断できなかった。
再度呼びかけても雷がチラチラ光るだけで、テンドルニオン様は呼びかけに応じない。
「転移者様! テンドルニオンの神殿に我を連れて行ってください! 直接会って無事を確認しなければ!」
「えぇ!? でも……俺にそんな事」
この家のまわりくらいしか知らないんですが……。
俺はチラッとエイシオさんを見る。
「ん~~……テンドルニオンの神殿か……う~ん」
「こら、勇者。我は知っておるぞ。お前の故郷に近しい場所だろう」
「……そうなんですよね。あそこはロードリアの領内なので、戻るとなると色々と面倒が」
「神々の一大事に、お前の家騒動を持ち込むでないぞっ!」
ぴょーんとザピクロス様はエイシオさんの耳の間に飛び乗った。
ペシペシと尻尾で顔を叩く。
「ザピクロス様っ! や、やめてくださいエイシオさんに乱暴しないでくださいっ!」
俺がザピクロス様を引き剥がすと、ザピクロス様ごとエイシオさんに抱き締められる。
「まぁ、これもいい機会か。アユム、ついでに実家へ婚約報告と絶縁宣言でもしに行こうか」
エイシオさんがあっさり、凄い事言った。
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