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何を言っているのか理解できねーと思うが、気がついたら絡まれていた。
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養老渓谷ダンジョン前に到着したのは午後10時少しすぎ。
もちろん木戸商事のトラックが34台停車していた。
養老渓谷ダンジョン入り口から、歩いて5分ほどのところで、纏まって停まっている事もあり、とても目立っていた。
「なんだかトラックの数増えていませんか?」
「はい。ダンジョン産の野菜やフルーツが、とっても! 好評で!」
車から降りて、若干引き攣った表情で、俺は運転席から降りてきた戸田綾子さんに話しかけると、そんな答えが返ってきた。
そういえば、今日の昼間にスーパー前を通ったらお祭りの如く人が集まって飛ぶようにしてフルーツや野菜が売れていたなと脳裏で思い出す。
「もしかして――」
「はい!」
「もしかして……」
「はい!」
「もしかします?」
「はい!」
最後に、俺に収穫してきて欲しいコピー用紙を木戸さんが差し出してくる。
そこに書かれていた内容を見ると、季節のフルーツだけでなく海外から輸入されているはずのバナナ以外の農作物やフルーツも含まれていた。
「あ、あの……、木戸さん」
「はい!」
「かなり品種増えていませんか?」
「そうですね。木戸商事としては、今後は中国からの輸入製品は限りなくゼロにする方向で舵を切る予定になりましたので、ダンジョン産に切り替えられるようでしたら切り替える形になりました。そこで!」
新しく俺にクリップボードに挟まれた紙を提示してきた。
そこには、新しく採取してくるフルーツと野菜に関しての契約書が。
「佐藤さんには、大変に申し訳なく思っています! お願いできませんか?」
「こういうのは事前に確認してほしいのですが……」
「すっごくお疲れのようでしたので……」
申し訳なさそうに20代半ばの女性が上目遣いに俺を見てくるので、俺は仕方ないなと溜息をつきながら、契約書を読んでからサインをしようと思っていたところで、「ちょっと! そこの君たち!」と、怒鳴り込んでくる3人の男女が居た。
振り向けば、そこには日本ダンジョン冒険者協会の制服を着た人たち。
「はい。なんでしょうか?」
木戸綾子さんが、俺と日本ダンジョン冒険者協会の社員の間に割って入ると、言葉を口にした。
「私は、養老渓谷ダンジョンを任されている神山(かみやま)双六(すごろく)と言う。向こうに見えるトラックは、全て御社の所有するトラックと見受けられるが、纏まった数の車で大勢の人たちが利用する駐車場を占領するのは看過できない!」
神山さんは、眉間に皺を寄せながら力説してくるが、
「私たちも混雑しているのでしたら、配慮いたしますが、今は午後10時で駐車場の利用率は5%以下のガラガラです」
木戸さんが手を上げると、一番近いトラック付近に集まっていた運転手たちがスマートフォンを起動して周辺の動画を取り始めた。
それを、ステータスが強化された俺の視力が夜にも関わらず目ざとくチェックすることができた。
距離としては、それなりに離れていて、さらに神山という人物、取り巻きの女性と男性も何も気配が変わることがなかった。
どうやら木戸さんの合図に気がついていないようだ。
「――くっ!」
「それに、そもそも日本ダンジョン冒険者協会のダンジョンは税金で作られているはずです。その点も含めて利用方法についても言及されるような内容は日本ダンジョン冒険者協会にはありませんでした。ですので――」
「一部の不当な企業が、貴重なアイテムボックス持ちの冒険者を利用して金を稼いでいると、話しが上がっている」
駐車場の利用について、弁論で勝てないと思いきや、いきなり話題をすり替えてぶちこんできたな。
「君は、たしか佐藤和也君だったね? アイテムボックスを所有しているという申請登録は受けていない。最近の行動から、かなりの容量のアイテムボックスを――、スキルを所持していると日本ダンジョン冒険者協会は見ているが、登録できない理由は何かあったのかね?」
おーと、流れ弾が飛んできたぞ。
だが、俺のアイテムボックスの容量が異常だという事は日本ダンジョン冒険者協会も把握していたということか?
つまり泳がされていたと。
まぁ、ここ数日、アホなほどの量の農作物とフルーツを一度に採取していたからな。
そりゃ、普通に気がつくか。
むしろ気がつかない方がおかしいまであるよな。
「別にありません。登録は任意と伺いましたので。それに冒険者がスキルを隠すのは、切り札を隠すのと一緒で当たり前の事だと思っています」
「つまり、君は日本ダンジョン冒険者協会に対して恩も義理も感じておらず、ダンジョンから得た品々を日本ダンジョン冒険者協会に卸すつもりはないという――」
「それは、どういうことでしょうか?」
俺は、日本ダンジョン冒険者協会が何故に噛みついてきたのか理解してきた。
要は既得権益を日本ダンジョン冒険者協会に寄越せ! と、目の前の男は言ってきているのだ。
だが、アイテムボックス持ちの人間にとって、それは意味があるのか? と、言われれば、小さなアイテムボックス持ちなら意味はあるかも知れないが巨大な容量を持つアイテムボックス持ちにとって意味はないどころかマイナスにしかならない。
何故なら買い叩かれる可能性だってあるからだ。
「だから! 君は助け合いの精神がないのか? と、聞いているんだ! 日本ダンジョン冒険者協会に農作物を卸せば、JAを通して適正な価格で市場に出回るんだよ!」
少しは、既得権益を隠せよな。
もちろん木戸商事のトラックが34台停車していた。
養老渓谷ダンジョン入り口から、歩いて5分ほどのところで、纏まって停まっている事もあり、とても目立っていた。
「なんだかトラックの数増えていませんか?」
「はい。ダンジョン産の野菜やフルーツが、とっても! 好評で!」
車から降りて、若干引き攣った表情で、俺は運転席から降りてきた戸田綾子さんに話しかけると、そんな答えが返ってきた。
そういえば、今日の昼間にスーパー前を通ったらお祭りの如く人が集まって飛ぶようにしてフルーツや野菜が売れていたなと脳裏で思い出す。
「もしかして――」
「はい!」
「もしかして……」
「はい!」
「もしかします?」
「はい!」
最後に、俺に収穫してきて欲しいコピー用紙を木戸さんが差し出してくる。
そこに書かれていた内容を見ると、季節のフルーツだけでなく海外から輸入されているはずのバナナ以外の農作物やフルーツも含まれていた。
「あ、あの……、木戸さん」
「はい!」
「かなり品種増えていませんか?」
「そうですね。木戸商事としては、今後は中国からの輸入製品は限りなくゼロにする方向で舵を切る予定になりましたので、ダンジョン産に切り替えられるようでしたら切り替える形になりました。そこで!」
新しく俺にクリップボードに挟まれた紙を提示してきた。
そこには、新しく採取してくるフルーツと野菜に関しての契約書が。
「佐藤さんには、大変に申し訳なく思っています! お願いできませんか?」
「こういうのは事前に確認してほしいのですが……」
「すっごくお疲れのようでしたので……」
申し訳なさそうに20代半ばの女性が上目遣いに俺を見てくるので、俺は仕方ないなと溜息をつきながら、契約書を読んでからサインをしようと思っていたところで、「ちょっと! そこの君たち!」と、怒鳴り込んでくる3人の男女が居た。
振り向けば、そこには日本ダンジョン冒険者協会の制服を着た人たち。
「はい。なんでしょうか?」
木戸綾子さんが、俺と日本ダンジョン冒険者協会の社員の間に割って入ると、言葉を口にした。
「私は、養老渓谷ダンジョンを任されている神山(かみやま)双六(すごろく)と言う。向こうに見えるトラックは、全て御社の所有するトラックと見受けられるが、纏まった数の車で大勢の人たちが利用する駐車場を占領するのは看過できない!」
神山さんは、眉間に皺を寄せながら力説してくるが、
「私たちも混雑しているのでしたら、配慮いたしますが、今は午後10時で駐車場の利用率は5%以下のガラガラです」
木戸さんが手を上げると、一番近いトラック付近に集まっていた運転手たちがスマートフォンを起動して周辺の動画を取り始めた。
それを、ステータスが強化された俺の視力が夜にも関わらず目ざとくチェックすることができた。
距離としては、それなりに離れていて、さらに神山という人物、取り巻きの女性と男性も何も気配が変わることがなかった。
どうやら木戸さんの合図に気がついていないようだ。
「――くっ!」
「それに、そもそも日本ダンジョン冒険者協会のダンジョンは税金で作られているはずです。その点も含めて利用方法についても言及されるような内容は日本ダンジョン冒険者協会にはありませんでした。ですので――」
「一部の不当な企業が、貴重なアイテムボックス持ちの冒険者を利用して金を稼いでいると、話しが上がっている」
駐車場の利用について、弁論で勝てないと思いきや、いきなり話題をすり替えてぶちこんできたな。
「君は、たしか佐藤和也君だったね? アイテムボックスを所有しているという申請登録は受けていない。最近の行動から、かなりの容量のアイテムボックスを――、スキルを所持していると日本ダンジョン冒険者協会は見ているが、登録できない理由は何かあったのかね?」
おーと、流れ弾が飛んできたぞ。
だが、俺のアイテムボックスの容量が異常だという事は日本ダンジョン冒険者協会も把握していたということか?
つまり泳がされていたと。
まぁ、ここ数日、アホなほどの量の農作物とフルーツを一度に採取していたからな。
そりゃ、普通に気がつくか。
むしろ気がつかない方がおかしいまであるよな。
「別にありません。登録は任意と伺いましたので。それに冒険者がスキルを隠すのは、切り札を隠すのと一緒で当たり前の事だと思っています」
「つまり、君は日本ダンジョン冒険者協会に対して恩も義理も感じておらず、ダンジョンから得た品々を日本ダンジョン冒険者協会に卸すつもりはないという――」
「それは、どういうことでしょうか?」
俺は、日本ダンジョン冒険者協会が何故に噛みついてきたのか理解してきた。
要は既得権益を日本ダンジョン冒険者協会に寄越せ! と、目の前の男は言ってきているのだ。
だが、アイテムボックス持ちの人間にとって、それは意味があるのか? と、言われれば、小さなアイテムボックス持ちなら意味はあるかも知れないが巨大な容量を持つアイテムボックス持ちにとって意味はないどころかマイナスにしかならない。
何故なら買い叩かれる可能性だってあるからだ。
「だから! 君は助け合いの精神がないのか? と、聞いているんだ! 日本ダンジョン冒険者協会に農作物を卸せば、JAを通して適正な価格で市場に出回るんだよ!」
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