家庭菜園物語

コンビニ

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27 お魚さん

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 囲炉裏とか、ロマンがあるなー。今の家では絶対に無理だけど。

 将来的にはぜひとも作りたい。こうなってくると、やっぱり和風建築の路線で攻めたいよなぁ。
 次の家のバージョンアップって、選択とかできたりしないのかな。

 魚のカゴ罠は、仕掛けておくだけで魚が自動的に確保できる優れものらしい。
 クラフトには木材二十本と一万円が必要みたい、確かに便利ではあるけど、そもそも魚をそんなに大量に食べるかって言われると微妙だし、狩りに関しては大福というチート枠が常駐してるからなぁ。

 小川の方は、どんな機能があるのかいまいち不明だ。
 説明によると川から水を引っ張ってこれるようで——たぶん水田関連の設備だろう。
 小川で水を引いて、用水路で畑に流し込む、みたいな。
 価格は十万円。決して安くはないけど、手が届かないわけでもない。

 おっと、魚も調理を進めていかないと。
 モモと大福のおかげで、合計五十匹ほどの魚をゲットできた。
 何種類か混ざってはいるみたいだけど、名前や種類なんてわかるはずもないので、とりあえず内臓を取ってシンプルに塩焼きにしてみることにする。

 この量を台所で一気に焼くのは無理なので、外にバーベキューコンロを引っ張り出して、焼き魚会場を設営。
 ついでに以前使った燻製器で魚を燻してみたところ、これが大当たりだったようで、魚の燻製クラフトが解禁された。二〇匹ほどは燻製用に回しておこう。

 魚の燻製って、旨味がギュッと凝縮されてて、少し炙って白ごはんと味噌汁と卵焼き……今度の朝ごはんはそれで決まりだな。——って、今は焼き魚を作ってるんだった。

「にゃーん」
「はいはい、わかってますって。今から焼きますからね」

 ガンジュさんのおかげで、火起こしもだいぶ上手くなったんですよ。
 姉さん、心配しないでください。

 火が安定するまでは、モモと一緒に台所で魚の下処理をしていく。
 モモも包丁の扱いがだいぶ上達してきた。

 最初に手本を見せて、二回目はモモの手を取りながら一緒に捌いていく。

「筋がいいな、モモ」
「ありがとうございます! お父さんが台所に立ってるの、ずっと見てましたから!」

 そうだな。あの頃のモモはまだ小さくて、背伸びしながら俺の料理姿を見ていたっけ。
 あんなにちっちゃかった子が、今じゃすっかり大きくなってしまって……泣けるぜ。

 最初は切り口が歪んだり、身をボロボロにしちゃったりしてたが、十匹も捌くうちに、すっかり板についてきた。

「モモ、ここは任せても大丈夫そうだな」
「はい!」
「姉さん、モモが怪我しないように見ててやってくれ」
「にゃーん」

 姉さんとバトンタッチして、捌いた魚を持って外へ。
 軽く塩を振って焼き始める。いい焼き色がついたところでもう一度塩をパラリ。

 空いた時間で大根もすりおろしておく。

 焼き加減がちょうどよくなってきた頃、姉さんとモモが戻ってくる。

「お父さん、全部できました!」
「ありがとう、助かったよ」

 頭を撫でると、モモはエヘヘと嬉しそうに笑う。その笑顔がまた可愛いんだよなぁ。

 うちの子は可愛い。異論は認めない。

 三枚下ろしにした魚、二十匹を燻製に回して、残りは順に焼いていく。

「さぁ焼けたぞ。俺はいいから、どんどん食べてくれ」
「わん!」
「にゃーん」

 骨という概念を無視して豪快にかぶりつく大福と、実に器用かつ上品に食べる姉さん。
 まるで正反対の二人だな。

「モモ、食べないのか?」
「どうやって食べたらいいか、正解がわからなくて……」
「初めてだもんな。姉さんの食べ方を真似るといいよ。大福の真似は……やめとこうな」
「わん?」

 大福の骨をボリボリと噛み砕く音が妙に心地いい。
 それをBGMに魚の背に沿って切れ目を入れて、モモの魚を開いてやる。

「綺麗に開いてます!」
「さあ、食べてごらん」

 んー! っと箸をぎゅっと握りしめて、嬉しそうに振り回す。可愛いな、おい。
 行儀が悪いとか、そういうのは今日は言わない。美味しいなら何より。

 俺も大福と姉さんが満足したところで、残った魚をいただく。
 パリッとした皮の食感、じゅわっと広がる脂の旨味。

 なんだこれ、めちゃくちゃ美味い!

「姉さん、この魚ヤバくないっすか? この世界の魚とか肉って、どうなってるんですかね」
「にゃーん」
「お父さんの世界の魚より、美味しいですか?」
「うん、美味い」

 そうだ、大根おろし!
 姉さんも大福も使わない派だったから、うっかり忘れるところだった。

 醤油を少し垂らして、魚と一緒に一口——最高。
 そのままお口の中に白米を迎えにいく。

「うーん、日本人でよかった~!」

「お父さんって、ご飯好きですよね」
「うん。日本人のソウルフードだからな。モモは白米、嫌いか?」
「好きですよ! でも、お魚だけでも十分美味しいです」

 そうか……。モモのソウルには、まだ白米が刷り込まれてないのか。
 よし、そのうち白米なしじゃ生きていけない体にしてやるからな!

「ぬふふふふ」
「にゃーん」

 今日も悠は気持ち悪い、じゃないですよ!

「モモ、大根おろし、使ってみるか?」
「はい!」

 おや、首をかしげた。どうやら微妙だったようだ。

「お魚本来の味が、ちょっと薄れちゃいます……さっぱりしてて美味しいとは思うんですけど」
「にゃーん」

「ジジイは脂がダメだからな」じゃないですからね姉さん! 俺、まだ二十代ですよ!

「人には好みがあるし、無理して使わなくていいからな」
「はい!」

 その後、モモは大根をそのままガリガリかじっていた。
 おろすより、シャキシャキの食感があって美味しいんだそうだ。

 ……若さって、恐ろしい。

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