インチキ呼ばわりされて廃業した『調理時間をゼロにできる』魔法使い料理人、魔術師養成女子校の学食で重宝される

椎名 富比路

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ハロウィンを、学食で

第34話 魔女見習いたちの仮装パーティ

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「見て見て、イクタおじー。ハロウィンだよー」

「ハッピーハロウィンですわ、イクタ!」

 各々仮装した生徒たちが、オレの前に現れる。

 放課後になんだ?

 やけに露出したミイラのプリティカと、魔女姿のデボラだ。

「なんだ、コスプレか?」

「違いますって。ハロウィンですわ」

「もうそんな季節か」

 魔法学校『リックワード女子』は毎年、文化祭の前夜祭としてハロウィンを行う。文化祭開催の宣伝と称して、仮装して街を練り歩くのだ。

「栗ごはんでいいか?」

「いいですわね! 甘くて好きですわ!」

 オレは毎年、秋になると栗ごはんを出す。これが好評で、オレはほぼ毎年栗ごはんをおにぎりにするのだ。

「ウチは、さつまいものカレーが好きー。いつもと違って、甘いんだよねー」

「OKOK。出してやる」

 デボラには、栗ごはんのおにぎりを。プリティカには、さつまいものカレーを出した。さつまいもだけではなく、歯ごたえを持たせるためにレンコンも入っている。

 牡蠣を入れると、なおうまい。しかし、女子高生が出せる値段ではなくなる。

「随分と、おとなしめだな? パーッと露出はしないのか?」

「別にイクタは、そういうのがお好きではないでしょ?」

「まあな」

 オレは胸や背中が開いているような、大胆な格好は好みではない。控えめなファッションが好きだ。

「おじに合わせて、デボラちゃんは露出が控えめなんだよねー?」

 まるでオレが「脱げ」と言ったら、脱ぎそうな口ぶりだな。ヤブヘビだから、これ以上は追求しないでおこうか。

「お前さんは、逆にすごい肌を出しているな」

「ウチは、体温調節が得意だしー。寒いの平気だからー」

 一見すると大胆に見えるが、下にショートパンツを履いている。プリティカ基準では、たいして露出していないそうだ。あくまでも、プリティカ基準ではあるが。 

「イクタのたいしょー、わーい」

 エドラも、あいさつに来た。白いオバケのキグルミを着ているため、声がこもっている。

「おかしくれー」

「これ、エドラッ。ごあいさつが先でしょう?」

 オレに差し伸べた手を、イルマが払う。

「ご無沙汰しております。イクタ師匠」

 今日のイルマは、ミニスカポリス姿である。

「オレはてっきり、イルマは巫女服でハロウィンをするのかと思ったぜ。エドラも、袴か甲冑かと思ったが」

 イルマの家系は巫女で、エドラの専攻はサムライだ。

「本業ですから。行事以外では、控えております」

 逆にこの手のお祭りでは、徹底的にふざけるという。

「ばー」

 エドラがキグルミを脱ぐ。中には、ピエロがいた。

「これは『ピエロ怪盗 テンペニー』のコスプレです」

 子ども向けの舞台演劇に、そういう演目があるという。悪いオトナから金品を奪って、換金して貧しい子どもにお金をばらまくお話だ。

「児童に合わせて、こちらも子どもウケするようなコスプレをしてみました」

「怖くないから、いいんじゃないか?」

「ありがとうございます。では師匠、体が温まるものを」

「カレーならあるぞ」

「お願いします」

 オレはさつまいものカレーを、エドラとイルマに振る舞う。 

 それにしても、大胆なコスプレだ。

 しかし、もっとヤバイコスプレイヤーがいた。キャロリネと、ペルである。

「ごきげんよう、イクタ氏」

「大将、こんばんは」

 キャロリネは、昔なつかしいビキニ鬼だ。

 対するペルは、へそ出しミニスカセーラー服である。中身は、セパレートのレオタードを履いていた。

 どちらも、ビキニに限りなく近い。

「オーク族がヒロインのマンガが、ニホンにあると聞いてな」

「アタシも、ニホンのマンガからインスパイアされた。『月に代わって、ブチのめす!』という文言が効くな」

 情報が古い……。

「ペルなんか、海賊とか似合うんじゃないのか?」

 セイレーン族なんだから、海賊風のコスプレがいいのでは?

「海賊はなあ」

 オレが提案すると、ペルが難色を示す。

「中学当時、さんざんやらされた。それも三年間、ずっとだぞ!」

 ペルが、指を三本立てた。

「ああ。何回『アホーイ!』って言わされたか、わからん」

 中学生の方が、情報が進んでいる!?

 とあって、二人は大好きなニホンのマンガを参考にしたという。年代というより、好みの問題のようだな。二人は、古いアニメのほうが好きらしい。

「おおお。こんな格好で街を歩くのかよ!?」

 ミュンがパァイに引っ張られて、ミニスカ妖精の姿で現れる。肩の出たワンピースの妖精は、まさに蝶の化身といえよう。

「これじゃあ、オチ担当じゃねえか」

「大丈夫じゃろうて。普段、かわいい服なんぞ着ないのじゃから」

 パァイは、赤ずきんの格好をしていた。手にはライフル型の水鉄砲を所持している。魔術書に封じられていた獣である狼の「エイボン」に乗っていた。

 エイボンはサイズ調節までできるのか、やたらでかい。デパートにある、パンダの乗り物くらいの大きさになっていた。

「お前も、トリートだよな。そら」

 オレは、エイボンに生肉をプレゼントする。

 エイボンはうれしそうに、生肉にかじりついた。

「めんこいのう、エイボンは。ミュンも少しくらい、めんこい格好をせい。女として、枯れてしまうぞよ」

「あんたに言われたくないよ」
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