ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第二章 三年後

第29話

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 飲み会の時、水島が島田の隣に座っているのを見て、居ても立ってもいられなかった。
 あいつはヘラヘラしてるし、相変わらず隙だらけだ。
 耐えられなくて、二人の間に割って座った。

 ……大人気ない。
 でも、お前のせいだ。

 水島は水のように酒を飲み、ほぼ酔い潰れていた。
 いろいろ言ってくるし、触ってくるし、他の職員の目がある。
 とりあえず、ここを離れることにした。

 車に乗せて、そのままとっとと家に帰そうと思っていた。
 けれど、今度は「帰りたくない」と駄々をこねはじめた。

 ……子供か。

「人前で余計なことを言うな」と言ったが、水島は限界だった。
 三年も会ってなかったのに、まだこんなにも想っていたなんて。

 俺もそうだった。忘れようとした。
 でも、またお前が現れて、改めて思い知らされた。
 俺はお前を必要としているんだと。

 俺も限界だった。

 その後は、ただ、自分の気持ちに従った。
 水島は酔っていたせいか、会えなかった時間のせいか、完全に正気を失っていた。

「好き……」と、何度も言われて、理性のタガが外れた。

 その後、あいつは満足したように寝てしまった。
 そのまま家に連れて行った頃には、ちょうど起きた。

「すみません、ずっと寝ちゃって……」

 ——何も覚えていなかった。

 * * *

 また次の日、私は張り切って学校に行く。

 先生を見て、ニヤニヤが止まらない。
 でも、この前怒られたから今日は耐えることにした。

 その時、中山先生に声をかけられた。
 中山先生は体育の先生。
 普段からスポーツをやっているからか、肌が焼けていて、身体が引き締まっている。
 いつも私を気遣って明るく声をかけてくれる。

「水島さん、夏雄先生の教え子だったんだって? 先生、前はどうだった?」
「夏雄先生は人気で……全く話しかけられませんでした」
「昔からそうなんだ。夏雄先生、人気あるよね~。今もそうだよ」

 ……今も?

 そんな、今も高校生たちから……?
 どうしよう、もしかして先生──
 嫌な想像が頭を駆けめぐる。

 先生は、ずっと女の子たちの憧れなんだ…。
 私も、そうだった。

 でも先生は、それだけじゃなかった。
 笑顔の仮面の裏に、歪んだ感情を隠し持っていて、すごく怖かった。
 でも、私はそんな部分にも惹かれてしまった。

 私を愛してくれた。

 今はどうか、わからないけど……。

「水島さんも、モテるでしょ?」
「え!? モテませんよ!」
「えー、そう?自覚がないだけかもね」

 よくわからない。
 そんなことを言われたのは初めてだった。

 ──夕方

 私は、先生と過ごした教室にこっそり行った。
 また、いろいろ思い出していた。

「……何してる」

 後ろから、夏雄先生が入ってきた。
 驚いて心臓が高鳴った。

「先生、お疲れ様です」

 先生は、窓からの景色を見ていた。

「昨日、家に帰ったら、なんか体がすごく痛くて……しかも痣もあるし。私、転んだんですかね……」

 先生はそっぽを向いていた。
 なんで、何も言わないんだろう。

「じゃあ、私、戻りますね……」

 きっと、私、なにかやらかしたんだ。

 ──その時、腕を掴まれた。

 そして先生にきつく抱きしめられた。
 温かい、先生の匂い。
 心が満たされて、ても、同時に胸が少し苦しくなる。

「先生、好きです……ずっと、ずっとあの時から」

 言いたかった言葉が唇からこぼれた。

「昨日、散々聞いたよ」

 え?

「いつですか!?」

 先生は、何も言わなかった。
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