【何カ所か18禁】鎮守様と異世界に

かんじがしろ

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国興し

69 聖女と勇者誕生

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 街道周りの草原では、多くの負傷兵が見渡せる限りの範囲に横たわっていた。
広範囲に横たわっている負傷兵の間を、白い服をまとった修道士達と、鱗甲冑を身に着けた聖騎士隊が動き回っていた。

 鹿島はシンデレラが五人の護衛を引き連れながら、順番に負傷兵を治療しながら鹿島達の方へ向かって来るのに気がついた。
シンデレラは患者の容態を調べると、隣にいる回復薬の入った薬箱を持っている護衛に指示して手当をさせると、重傷者に回復魔法を施していた。
「神殿長!何か手伝えることがあるか?」
シンデレラは汗まみれにした顔を鹿島に向けて、
「軽症者の傷の手当をお願いします。」
と言って護衛の一人を呼ぶと、大量の万能傷薬と抗生剤を鹿島に手渡した。

「この人数、今日中に終わるの?」
とサニーは重傷者の手当てを終えると、立ち上がって周りを見回した。
「チンジュ女神様に応援を頼んでいますから、治療妖精たちが間もなく到着すると思います。」
と言って、シンデレラは指を空に向けた。

 鹿島が空を見ると、爆撃機の編隊がこちらに向かってきていた。
「三十機はいるようだが、あの高さだと成層園だろうか。この場所に着陸するなら、高すぎないか?」
「あれは、ドローンです。お館様はドローンのこと知らないのですか?」
とシンデレラの護衛長兄のコビビトが不思議そうに尋ねた。

「ドローン?知らない。」
と鹿島がとぼけたのは、知っているドローン自体は、地球では当たり前に軍用であった。
だが、この惑星でのドローンの役割は軍用目的ではないはずである。
では何の為に開発したんだろうとの、理由を知らなかったためである。

 空中を優雅に飛んでくる爆撃機は、鳥が飛んでいるように無音であったので、成層園を飛行していると勘違いしる事に気付いたのは、爆撃機を模写した小型ドローンが旋回しだした時であった。

「あ、おれ、遠近感で勘違いしたのか。」
と、百メートル上空のドローンを見つめていると、多くの白い服を着た妖精達が降下してきた。
飛翔してくる二百人の妖精の後ろでは、色とりどりのパラシュートの花が開いた。

「皆!空から落ちてくる箱には、薬が入っている。回収して使ってくれ!」
と、コビビトが周り中に叫んだ。

 イザベラ王女も空から落ちて来る箱に向かって走り出した。
サニーは治療を施しても、感謝しない人間にうんざりしているのか、ここでも積極的に行動しなかった。
憑依の副作用による、イザベラ王女が喜んで走り出した感激の心が流れ込んできたのは確かなようで、仕方なさそうに後ろから付いて行った。

 鹿島は一人になり、手持ち無沙汰気に周りを観察しだすと、
「お館様。報告事があります。」
と、コビビトがションボリしてうつむいた。
「あ、苦労させているな。二十人の護衛を断り、五人だけで護衛すると言い張った根性はすごいぞ。」
「ほかの十五人は年上で、階級が上であったので、いざとゆう時に命令できないと思いました。私のわがままでした。」
「うん。私もそれが、正しい選択だと思う。」
「エントツ元帥にもそういわれました。ありがとうございます。ですが、、、じつは、、、ここに来る途中、けが人がいるから馬車をよこせと、通行の邪魔してきたビクトリー王国軍の将校と思う者たちを、、、槍の石突で殴り倒してしまいました。」
「あ~。あいつらか。一人は風圧で吹き飛ばし、もう一人の腕も切り落としたのは俺だ。何かあったら、俺が対応する。コビビト殿は、シンデレラ司祭長の護衛に専念してほしい。」
鹿島が平然と言い放った言葉に驚いたコビビトは、
「え、え、え、~。わかりました。では失礼します。」
と言って、落ちて来る箱の方へ走り出した。

 コビビトが恐れ怯んだように走り去った原因は、ミミズ街の城門で初めて鹿島たちを見た時、シンデレラが言った、「あ奴らは人ではなかった!」との言葉と、「さっきの化け物と同類だ!」と、通行を邪魔した男たちから浴びせられた言葉を連想したのが原因であった。
「お館様は決して、化け物ではない。」
と、否定もしたかったからであった。
鹿島から「優先して来い」との言葉に従い、街道に立ちふさがり通行を邪魔した男を槍の石突で殴り倒し、街道横に倒れている甲冑をつけた軍馬を尾刃槍穂先を赤く発動させ、甲冑ごと貫いて街道から森の中に投げ込んだ時、通行を邪魔しようとシンデレラたちが乗った馬車を取り囲んだ他の奴等が、「さっきの化け物と同類だ!」と言って囲みを解いて逃げ去ったのを思い出したからでもあった。

 箱の周りでは順番に薬を受け取っていく聖騎士隊に交じって、イザベラ王女も大量の傷薬と抗生剤を受け取り、箱の隅にあったケースを開けたが使用方法が書いてなかった。
イザベラ王女はそばに来たサニーに、
「これは何の薬?」
と言って、ケースを差し出した。
「わお~。さすが、チンジュサマだわ。」
と言って、ケースを受け取った。
「これは妖精用の回復薬である、チョコレートよ。」
と言って、すぐに梱包をはがしてチョコを食べだした。

 サニーは三つの梱包をくちゃくちゃにし終えると、
「チンジュサマの意向だ!いっちょやったるか!」
と、やる気なさを漂わせていたサニーは、背伸びしてヒカリ王女を捜し出した。
「いた!イザベラ行くよ!」
といってイザベラ王女が腕に抱えていた薬箱の上にチョコレートの入ったケースを乗せると、ヒカリ王女のもとへ向かった。

 サニーは治療中のヒカリ王女に背後から、
「ヒカリちゃん。憑依しよう。」
振り返ったヒカリ王女は一瞬憑依との言葉に戸惑ったが、サニーが自分も必要だと言ってくれた言葉を全身で受け止め、満面笑顔で無条件にうなずいた。

「広範囲治療魔法!」
と、ヒカリ王女はサニーが憑依したことで喜びの声で叫び、草原中に金の粉が花吹雪となって、草原中が金色のモヤで霞んだ。
捻挫や肉損傷などの軽症者は全員治ったが、内臓器官損傷者や骨折者たちはまだかなりいた。
瀕死状態者たちはまだ重症ではあるが、何とか持ちこたえきれる程の安定状態になっていた。

 白い服を着た妖精達も活気づき、内臓器官損傷者や骨折者たちを目にするとすぐに向かっていった。

 金の粉が降り、八割方の負傷者が治ったことで、
「聖女様だ!」「聖女様が現れた!」と、あちらこちらで歓声が上がった。

「めまいがする。」
とヒカリ王女がうずくまると、慌ててイザベラ王女は薬箱を放り投げてヒカリ王女を抱きかかえた。
「チョコレイトを。」
と、ヒカリ王女が弱々しく手を差し出すと、イザベラ王女は周りに散らばっているチョコの梱包を破り、一口大に割ったチョコをヒカリ王女の口に差し込んだ。
ヒカリ王女はまだチョコレートが口に残っているのに、催促するように指を動かした。

 イザベラ王女がチョコの梱包を五つくしゃくしゃにした時点で、
「まさか、ヒカリちゃんが張り切りすぎて、貯蔵庫の魔素すべてを一度に放出する、無謀な事をするなんて思わなかったわ。」
と、憑依から戻ったサニーは草の上に座り込んだ。
「あ、治ったみたい。」
といって、イザベラ王女に抱かれていたヒカリ王女も上体を起こした。

「ヒカリちゃんの貯蔵庫は、私と同じ大きさになったわ。私が魔素を取り込んで満杯にしてあるから、今夜一晩中魔力を使っても、まだ余るでしょう。まだ頑張りなさい。」
といって落ちているチョコを拾い上げると、乱暴に破いてチョコをほおばりだした。

 ヒカリ王女も傍に落ちてるチョコを拾い上げると、丁寧に梱包を開いて一口サイズに割ったチョコをほおばった。
「え、従兄弟殿。それはサニー様の回復薬ではないですか。」
「ええ、チョコは、サニー様や妖精様にとっては回復薬ですが、人種にとっては、疲労回復を兼ねた嗜好品なのよ。」
といってヒカリ王女は、一口サイズのチョコをイザベラ王女の口に押し込んだ。
イザベラ王女は得も言われぬとしか表現できない感動味に驚いて、思わずほほが落ちるの防ごうとほっぺたを抑えた。

「次は、イザベラ。回復治療をしたい?」
「是非に、私も兵たちを助けたいのです!」
「わかった。私が治すから、私の思考を覚えておきなさい。」
サニーが再びイザベラに憑依したが、ヒカリ王女の目から嫉妬心は消えていて、微笑みながら倒れている負傷者を捜し出して駆け出した。

 イザベラ王女はヒカリ王女が拾い集めて持っていった薬の残りを集めて、近くにいる負傷者の治療から始めて順次治していった。

 既にイザベラ王女がボーボアの首を落としたことは、全員に知れ渡っていたようで、
「勇者様が、治療してくれるぞ!」との声で、完治した者たちがイザベラ王女を一目見ようと集まりだしてきた。
イザベラ王女が重傷者を治療し終えて立ち上がると、イザベラ王女の向いた方向に人垣の道ができた。

月明かりのない新月状態ではあるが、三十機のドローンは旋回しながら夜通しサーチライトを照らし続けていた。
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