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制覇行進
98 進んだ医学
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ゴールドル伯爵領地での開戦まで二時間を切っていた。
鹿島は岩場を一周しながら、
「俺が切り倒したやつらは、残酷な死に方だな。」
と、身二つになった死体と、倒れて居る若者が刺殺した六人を見比べていた。
鹿島は倒れている若者に近づいて腕を取り、脈拍を確認した。
若者がまだ生きているのを確認した鹿島は、腰のバッグから万能傷薬を取り出し若者の傷を探すが、多くの血のりの割には、若者の体にそれらしい傷はなかった。
「あ、これがよく時代劇で、血を噴き出す結核病か。」
と、鹿島は若者の口をまじまじと見つめた。
「確か?伝染病患者には、万能回復薬はだめだと言っていたな。」
と鎮守様とサニーとで、瘴気病を治療した時のことを思い出した。
鹿島は頭にかぶった無線機をセットし、
「C-003号機。タイガーと連絡したい。直ぐにつないでくれ。」
タイガーからはすぐに返事が来た。
「団長、何かありましたか?」
「そっちに、抗生物質薬は無いか?有るなら分けてくれ。」
「了解しました。少し間を置きます。」
と言って無線は切れた。
鹿島は立ち上がると、集落の方から多くのたいまつが岩場の方へ向かってくるのを確認した。
タイガーはよほど速く駆け出し、修道士を見つけ出したようで連絡は早かった。
「団長!一緒に同行してもらった修道士が、抗生物質薬も用意しているとのことです。」
「では、C-003号機を迎えに行かせる。」
「了解です。」
「では向かいます。」
と、間髪入れず返事したC-003号機は、鹿島の命令を確認しないで勝手に東の方へ飛行して行った。
鹿島は、集落と集落の間にある森にいる武装集団の動きを確認しようとタブレットパソコンを開いた。
森での武装集団の動きは、襲撃準備をしているのか活発であった。
ゴールドル伯爵領地での開戦予定時刻は一時間前になっていた。
鹿島は戦場予定地の画面を開くと、背後から静かに近寄る人のけはいを感じた。
「だれだ?」
「眷属様、ご無事でしたか。」
といってきゃしゃな男が岩の影から恐れ戦き面をだすと、
「賊どもの征伐なら、もう終わった。」
といって鹿島はタブレットパソコンを閉めてバッグに戻した。
きゃしゃな男は大岩に登り、「賊はみんな死んだぞ!」と叫ぶと、松明の群れが走り出した。
一塊であった松明は、バラバラに走り出すとその数は百を超えていた。
岩場にたいまつが集まりだすと、岩場の惨劇に嘔吐するものが続出しだした。
鹿島はきゃしゃな男に、
「死体をこのままにしておけないだろうから、埋葬してやってくれ。」
と鹿島は静かに懇願した。
鹿島の脇で横になっている若者が咳と共に血を噴き出した。
「あ、こいつ、まだ生きてやがる!」
と鹿島の前を、松明を持って通り過ぎた男が叫んだ。
血反吐を吐いた若者の周りには、松明をかざした男たちが集まりだした。
松明をかざした男たちの目が血走っていることに気づいた鹿島は、
「この人は、賊どもが、集落を襲撃しないよう阻止したのだ。」
といって鹿島は松明の群を見回した。
「単なる、仲間割れだったかも、知れないでしょう!こやつを、この先も生かしておいたら、また悪さをするに決まっている。」
と、恰幅のいい女性が男たちの後ろから進み出てきた。
鹿島は、多くの松明に素顔を晒した恰幅のいい女性を冷静になった目で見つめた。
恰幅のいい女性の年齢は四十路を超えた壮年で有り、顔の形は三角おむすびにチッチャナ目と鼻が申し訳なさそうについていて、口は拳が入るぐらいに大きかった。
四十路の女性を鹿島から口説き抑え込んでいたなら、一度では済ませてもらえない悲惨な結果が起きただろうと思うと、鹿島は身が縮む思いの逸物に冷たい風が通り抜けた。
「この若者がなぜ、襲撃を阻止しようとしたのかの事情は分からないが、襲撃を阻止した事は、事実だ。」
といって鹿島は松明の前に立ちふさがった。
岩場にドローンがサーチライトを照らすと、C-003号機がゆっくりと降下してきた。
C-003号機から二人の修道士達が担架を担いで降りてきた。
二人の修道士は鹿島のそばに駆け寄り、聴診器を若者の首に当てた。
二人の修道士はテキパキと治療を始めた。
鹿島が驚いたのは、注射器を出して腕に差し込み、点滴袋をセットしたことであった。
「この治療方法は、いつから始まっていたのだ?」
「私たちは治療魔法訓練の一環として、教わりました。」
と、平然とした返事が返ってきた。
鹿島はここまで医学が進んでいるなど予想していなかったし、C-002号と兎亜人賢者は科学をどこまで発展させるのだと空恐ろしさを感じながらも、相反する便利な生活を送れるほのかな希望を感じた。
「お館様。患者をどこに運びますか?」
鹿島はこの集落に若者を残すことはできないと思い、
「C-003号機にいったん運んでくれ。」
と返事して鹿島もC-003号機に向かった。
タイガーと再度連絡すると、すでにタイガーたちの担当区域での盗伐は完了したとの連絡を受け、二人の修道士達を鹿島が預かる許可を求めると、タイガーは二つ返事で了解したが、
「たった今先、エントツ元帥からの要請で、トンズラコ領地都の防衛に赴くようにとの連絡を受けました。」
「トンズラコ領地都の防衛とは?」
「オハラ王国貴族領主軍三十万が、トンズラコ領地国境に集まりだしました。」
「で、イザベラ女王との連絡は?」
「すでにエントツ元帥との連絡は済んでいて、大量の火炎瓶なる物を送る算段をした、との連絡を受けました。」
「火炎瓶?」
「何でも、籠城戦で使うとの連絡を受けました。」
「籠城場所は?」
「トンズラコ領地都らしいです。」
鹿島は火炎瓶との言葉を聞いて、この戦いの戦略と戦術は、Z-999号の指示だろうと思えた。
タイガーとの会話中にエントツ元帥が割り込んできた。
「トンズラコ領地都には、火炎瓶だけでなく、弓矢と投石器も間もなく送ります。それよりも、オハラ王国十万の親衛隊が動き出しました。」
鹿島は時間を確認すると、
「動きが早いな。」
「敵本陣の突撃騎馬隊が丘を迂回して、やはりヒカリ王女様の軍横にいる傭兵部隊を襲うようです。」
「傭兵部隊が崩し易いとみたか。」
「ま、数は向こうが多いので、弱いところから順次、各個撃破で攻めるのが常套手段でしょう。」
「分かった。イザベラ女王への輸送は完璧に行い、そのまま待機していてくれ。」
「はい。待機しています。」
と、エントツ元帥は何故に張り切った返事をしたのだと、鹿島は違和感を受けた。
鹿島は岩場を一周しながら、
「俺が切り倒したやつらは、残酷な死に方だな。」
と、身二つになった死体と、倒れて居る若者が刺殺した六人を見比べていた。
鹿島は倒れている若者に近づいて腕を取り、脈拍を確認した。
若者がまだ生きているのを確認した鹿島は、腰のバッグから万能傷薬を取り出し若者の傷を探すが、多くの血のりの割には、若者の体にそれらしい傷はなかった。
「あ、これがよく時代劇で、血を噴き出す結核病か。」
と、鹿島は若者の口をまじまじと見つめた。
「確か?伝染病患者には、万能回復薬はだめだと言っていたな。」
と鎮守様とサニーとで、瘴気病を治療した時のことを思い出した。
鹿島は頭にかぶった無線機をセットし、
「C-003号機。タイガーと連絡したい。直ぐにつないでくれ。」
タイガーからはすぐに返事が来た。
「団長、何かありましたか?」
「そっちに、抗生物質薬は無いか?有るなら分けてくれ。」
「了解しました。少し間を置きます。」
と言って無線は切れた。
鹿島は立ち上がると、集落の方から多くのたいまつが岩場の方へ向かってくるのを確認した。
タイガーはよほど速く駆け出し、修道士を見つけ出したようで連絡は早かった。
「団長!一緒に同行してもらった修道士が、抗生物質薬も用意しているとのことです。」
「では、C-003号機を迎えに行かせる。」
「了解です。」
「では向かいます。」
と、間髪入れず返事したC-003号機は、鹿島の命令を確認しないで勝手に東の方へ飛行して行った。
鹿島は、集落と集落の間にある森にいる武装集団の動きを確認しようとタブレットパソコンを開いた。
森での武装集団の動きは、襲撃準備をしているのか活発であった。
ゴールドル伯爵領地での開戦予定時刻は一時間前になっていた。
鹿島は戦場予定地の画面を開くと、背後から静かに近寄る人のけはいを感じた。
「だれだ?」
「眷属様、ご無事でしたか。」
といってきゃしゃな男が岩の影から恐れ戦き面をだすと、
「賊どもの征伐なら、もう終わった。」
といって鹿島はタブレットパソコンを閉めてバッグに戻した。
きゃしゃな男は大岩に登り、「賊はみんな死んだぞ!」と叫ぶと、松明の群れが走り出した。
一塊であった松明は、バラバラに走り出すとその数は百を超えていた。
岩場にたいまつが集まりだすと、岩場の惨劇に嘔吐するものが続出しだした。
鹿島はきゃしゃな男に、
「死体をこのままにしておけないだろうから、埋葬してやってくれ。」
と鹿島は静かに懇願した。
鹿島の脇で横になっている若者が咳と共に血を噴き出した。
「あ、こいつ、まだ生きてやがる!」
と鹿島の前を、松明を持って通り過ぎた男が叫んだ。
血反吐を吐いた若者の周りには、松明をかざした男たちが集まりだした。
松明をかざした男たちの目が血走っていることに気づいた鹿島は、
「この人は、賊どもが、集落を襲撃しないよう阻止したのだ。」
といって鹿島は松明の群を見回した。
「単なる、仲間割れだったかも、知れないでしょう!こやつを、この先も生かしておいたら、また悪さをするに決まっている。」
と、恰幅のいい女性が男たちの後ろから進み出てきた。
鹿島は、多くの松明に素顔を晒した恰幅のいい女性を冷静になった目で見つめた。
恰幅のいい女性の年齢は四十路を超えた壮年で有り、顔の形は三角おむすびにチッチャナ目と鼻が申し訳なさそうについていて、口は拳が入るぐらいに大きかった。
四十路の女性を鹿島から口説き抑え込んでいたなら、一度では済ませてもらえない悲惨な結果が起きただろうと思うと、鹿島は身が縮む思いの逸物に冷たい風が通り抜けた。
「この若者がなぜ、襲撃を阻止しようとしたのかの事情は分からないが、襲撃を阻止した事は、事実だ。」
といって鹿島は松明の前に立ちふさがった。
岩場にドローンがサーチライトを照らすと、C-003号機がゆっくりと降下してきた。
C-003号機から二人の修道士達が担架を担いで降りてきた。
二人の修道士は鹿島のそばに駆け寄り、聴診器を若者の首に当てた。
二人の修道士はテキパキと治療を始めた。
鹿島が驚いたのは、注射器を出して腕に差し込み、点滴袋をセットしたことであった。
「この治療方法は、いつから始まっていたのだ?」
「私たちは治療魔法訓練の一環として、教わりました。」
と、平然とした返事が返ってきた。
鹿島はここまで医学が進んでいるなど予想していなかったし、C-002号と兎亜人賢者は科学をどこまで発展させるのだと空恐ろしさを感じながらも、相反する便利な生活を送れるほのかな希望を感じた。
「お館様。患者をどこに運びますか?」
鹿島はこの集落に若者を残すことはできないと思い、
「C-003号機にいったん運んでくれ。」
と返事して鹿島もC-003号機に向かった。
タイガーと再度連絡すると、すでにタイガーたちの担当区域での盗伐は完了したとの連絡を受け、二人の修道士達を鹿島が預かる許可を求めると、タイガーは二つ返事で了解したが、
「たった今先、エントツ元帥からの要請で、トンズラコ領地都の防衛に赴くようにとの連絡を受けました。」
「トンズラコ領地都の防衛とは?」
「オハラ王国貴族領主軍三十万が、トンズラコ領地国境に集まりだしました。」
「で、イザベラ女王との連絡は?」
「すでにエントツ元帥との連絡は済んでいて、大量の火炎瓶なる物を送る算段をした、との連絡を受けました。」
「火炎瓶?」
「何でも、籠城戦で使うとの連絡を受けました。」
「籠城場所は?」
「トンズラコ領地都らしいです。」
鹿島は火炎瓶との言葉を聞いて、この戦いの戦略と戦術は、Z-999号の指示だろうと思えた。
タイガーとの会話中にエントツ元帥が割り込んできた。
「トンズラコ領地都には、火炎瓶だけでなく、弓矢と投石器も間もなく送ります。それよりも、オハラ王国十万の親衛隊が動き出しました。」
鹿島は時間を確認すると、
「動きが早いな。」
「敵本陣の突撃騎馬隊が丘を迂回して、やはりヒカリ王女様の軍横にいる傭兵部隊を襲うようです。」
「傭兵部隊が崩し易いとみたか。」
「ま、数は向こうが多いので、弱いところから順次、各個撃破で攻めるのが常套手段でしょう。」
「分かった。イザベラ女王への輸送は完璧に行い、そのまま待機していてくれ。」
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