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第3章 強くなるために
見習い冒険者の1日
しおりを挟む俺の朝は早い……たぶん。
いや、アレクが尻尾をぶんぶん振るから、勝手に起こされてるだけなんだけど。
日が昇る頃にしぶしぶ起きて、顔を洗いに行く。冷たい水でパシャっとやると、一気にシャキッとする。
部屋に戻ると、案の定アレクが「ごはん、ごはん」って催促してて、朝っぱらから魔力操作で疲れるのがもう日課になってる。
アレク曰く「まだまだだなぁ」とか言うけど、
俺的にはけっこう上手くなってると思うんだけどな!
ごはんを済ませたら、ディーと一緒に食堂で朝飯。
ディーはいつも俺より早く起きてて、既にひと汗かいてる。
なんであんな朝から動けるんだ……。あれか?熊ってみんなそうなのか?
朝ごはんのあと、少し部屋でダラッとする。
そうしてからギルドに行くと、ちょうど人が減ってる時間。
混んでるの嫌だし、人が多いと依頼板が見えないからこれくらいが丁度いい。決して俺の背が足りないわけではない。
ノルデンは討伐も採取も多い街だ。だから冒険者が自然と集まる。
森も深いし、薬になる草もたくさん生えてる。
見習いの俺は採取依頼。ディーはもちろん討伐。
これがいつもの流れ。
「ディーがいろんな依頼をやっとけ」って言うから、新しい草とか実とかが出たらできるだけ受けるようにしてる。
森で生き延びるには、武力より知識、らしい。
おかげで色々な薬草の知識は入ったと思う。でもやっぱり俺も討伐したい!冒険者といえば討伐!でもルールだから受けられない。ちきしょー。
そんで、森へ来たら先ずは昼飯のための狩り。と言っても罠を仕掛けるだけだけど。地面をよく見て小動物の足跡を探す。毎日やってればそりゃあ探すのも仕掛けるのも早くなる。ディーと2人で8個くらい仕掛ける。これで大体3~5匹捕れる。お昼に食いきれなかった分は肉屋に売る。これが結構いい値で売れるらしい。と言ってもお金は全部ディーの財布へ。因みにギルドで受ける見習い採取のお金もディーの財布へ。見習いは財布を持たないのが決まりなんだって。何故かと言うと見習いは依頼を受けてお金を持っているのが、すぐに周りにバレるから。良くない大人にとられるらしい。恐ろしいね。俺なら返り討ちにするけどね。
で、罠を仕掛けるのが終わったら俺は採取。アレクは森に着いた途端「探索してくる!」ってぴゃーっと飛んで行ってしまう。ディーは俺の様子を見ながら自分の依頼へと向かう。最初の頃はそれは監視されてるみたいにくっ付いてあーでもないこーでもないって言われてたけど、今は俺一人でも十二分に依頼をこなせるからな!
依頼をこなして、飯を食って、少し休憩したらディーと鍛錬。俺は本気でやらないと身体中が痣だらけになる。ディーにも攻撃を入れられるようになったけど、全然効いてないみたいでちょっと心が折れる。でも「お前は剣術と魔術」って言われたから、気にしないようにはしてる。でもやっぱり悔しい。種族の体格差は埋められないのは、理解してるんだけどな。
そうこうしてるとイディアがやってくる。
ここからは剣の訓練 。
最近ようやくイディアに剣を持たせることが出来た。ここまで長かった。一撃の最中に次の攻撃に移るっていうのが中々に難しくて。そしてイディアもディーと同じで当たり前のように投げたり蹴ったり殴ったりしてくる。……手加減して欲しい。
曰く「痛みがあるから避けようとするんじゃん」だそうだ。一時期ディーとイディアのせいで身体中が痣だらけだった。
それも少なくなってきたから成長してるんだよな!
そしてイディアの「しゅーりょー」っていう声とともに終わる。この時点で俺は疲れ果ててぐったりだ。
へろへろになりながらも宿に帰る。たまにイディアと夕飯に行く時もある。でも、イディアの酒癖が良くなくて、いつも仲間の人が迎えに来てくれる。毎回恋人欲しいって言ってるから本当に出来ないんだろうなぁ。なんでだろ?強くてかっこいいのに。
イディアに俺の先生やって貰うお返しにお金の他にたまに飯を奢るっていうのがあるらしい。だから遠慮なくイディアはタダ飯食いに来てるんだな!納得。
イディアと飯食いに行かない日は宿の食堂。その前に大体風呂に入る。ここで少し体力が回復するから風呂大事。風呂から戻るとアレクの飯コール。依頼と訓練でぐったりしてる中に魔術操作。もうヘロヘロ。でも最近魔力量多くなったなぁと思うのはこのお陰なのか、俺の天性の才能なのかは分からない。後者だとかっこいい。
最近はアレクに2~3個作らされる、と言っても作ってる最中に食われるから微妙な感じだけどね。魔力を塊にするのに燃やすのはいらねぇっていうのが理解できるけど出来ないんだ。とにかく難しすぎて「うわぁぁぁああ!」っなる時もある。こうなるとディー「寝ろ」って言われる。いや、飯は食いに行くけどな?食わないと回復しないし。
いつもはディーの風呂の時間をアレクの飯と、それで疲れた体の回復時間に費やす。本当はもっと休みたい。でもディー風呂から帰ってくるの早すぎだから。
疲れた体を叱咤して食堂へ。俺の今日のご褒美、飯時間。腹が減ったと欲のままに食うと腹を壊すことを知った俺は、食べる量にも気を使う。でもやっぱり肉!疲れた体には肉!野菜たっぷりスープと焼いた肉とパンは最高だ!
腹を満たしてベッドになだれ込めないのが残念なのだが。
ベッドの真ん中を占領してるアレクを移動してからベッドに沈む。……あれ、なんかでかくなってねぇか?
でも気にせず俺もベッド体を投げ出す。
俺は今日も一日頑張った!えらい!
よっしゃ明日も頑張るぞー!
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