小っちゃくたって猛禽類!〜消えてしまえと言われたので家を出ます。父上母上兄上それから婚約者様ごめんなさい〜

れると

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第3章 強くなるために

1日で終了!?

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 とりあえず俺たちは急いで街に戻って、アレクの服を買いにお店を回っている。

 一応、今のアレクにはディーの服を貸しているけど、うん、ぶっかぶかだよねぇ。
 ディーが太ってるわけじゃない。むしろ筋肉質で恰幅がいいタイプだから、身長も横幅も足りないアレクが着ると、袖は余るし裾はズルズル。
 まるで服に着られてるみたいだ。

 本人曰く「歩きづらい」らしい。

「えー、俺中古服やだぁ」

「うるさいな。そもそも服に新品なんてお金が有り余ってる奴らくらいしか買わねぇの!文句言ってないで選んで!」

 文句を言うアレクに無理やり服を選ばせる。

「どれも微妙だなぁ」

「洗い替え用に上下3着ずつな!」

「はぁーい」

 渋々選んできた服をレジに持っていく。
 値段を見てディーが渋い顔をした。多分、思ったより高かったんだろう。一瞬動きが止まったが、そのまま会計してくれた。ホッと安心する。

「なー、次はー?」

「次は靴!」

 俺はアレクの手を引いて靴屋へ向かう。
 街の中ではずっとカバンの中だったから、外に興味津々なんだろう。キョロキョロふらふらしていて、すんごく危ない。見た目は15歳くらいなのに、行動が幼児なのだ。俺は背が低いし、ディーは多分積極的には探さない。だから迷子になられると困る。

「くつー??俺裸足が1番いいんだけど」

「ちょっとそういう事外で言わないで!」

 待ってなんでそんな野生児なの!?ってそうか今まで衣服なんて身に付けたことがない、生まれたままの姿で生きてきたんだった。靴なんて尚更か。
 でも、俺たちみたいにしてくれるんならそういう所もしっかり真似してくれないと困るんだけど!

 なんだか周りの視線を感じる。そりゃあこの歳で「裸足がいい!」なんて豪語するやつなんかいないでしょ。

 ディーをちらっと見ると"俺は他人です"みたいに知らんぷりしてる。……まぢかよ、ちょっとは助けてよ。

 靴もとりあえずディーのを借りているが「重い以外何もねぇ」って言ってたな。

 いつもは空飛んでて地面を歩かないアレクには分からないだろうけど、靴がないと足が傷だらけになっちゃうんだよ……いっそ買うだけ買って森に出たら裸足にさせてやろうか?そうすれば靴の有難みが分かるだろう。

「とりあえずほら!選ぶよ!」

 アレクを引っ張って靴屋に入った。

「ええっと、とりあえず……」

 俺は沢山ある靴の中から山歩き用の靴の前に立って、何個か選んでアレクに持っていく。

「とりあえず履いて!そして感想!」

「はぁ~い」

 アレクは俺が持ってきた靴を片っ端から履いて「これちょっと小さい」「これは重い」「軽い」「うん」等々感想を言ってくれる。……「うん」ってなんだ?

 とりあえず、アレクの好みも鑑みつつ、靴裏の滑り止めがしっかりしたヤツ、水を弾くもの、くるぶしが隠れるくらいのショートブーツを2足えらんだ。

「とりあえず履いて歩いてみて」

「おう」

 アレクはその場で足踏みしてから、店内を一周してきた。

「うん、分かんねぇ」

「だよな!」

 初めてなのに「これは滑らなそうだ」とか言われても逆にびっくりするからな。
 とりあえずその2足を買うことにした。

「なぁなぁ、この後森いく?」

 裸足がいいと豪語していた割には履き心地を森で試したいみたいだ。靴を抱えてワクワクしてるアレクはなんだかちょっと可愛い。

 アレクの問いに、俺はディーを見る。

「今日は一旦宿に帰る。明日、お前の身分証を作ってからだ」

 あ、そうだ忘れてた!身分証が無いと街から出るのは楽だけど、入る時に大変なことになる。

「アレクも冒険者登録でいいんだよね?待って、アレクは文字書ける!?冒険者登録する時には自分で署名しないとダメなんだよ」

「書いたことねぇ」

「せめて、名前と生年月日は書けるようにしないとじゃん!……アレクって何歳なんだ?」

「さあ?いくつに見える?」

 至極どうでもいいように返事をするアレク。
 いくつに見えるかって?大人と言うにはまだ早いと思う。

「え?え?えーと、15くらい?」

「じゃあそれで」

 やはり、どうでも良さげに答えるアレク。年齢に興味無いのかな。

 ……でも、それっていいの?いや俺も登録は実年齢じゃないけど、これは不服だから別問題として。適当過ぎない?いやそもそも自分でも分からないくらい生きてるとか?

 ……ま、いっか。

「じゃあとりあえず誕生日も考えないとなー」

「面倒だなぁ」

 初めて字を書くアレクの字は、なんていうか……ディーの味のある字をさらに魔物寄りにした感じだ。
 一応読めるけど、解読書レベル。
 犬耳のお姉さんも「……これは、名前……だよね?」って笑ってた。
 まぁ、初めてにしては上出来、か?

 まぁでもとりあえず身分証はゲット出来たし。俺の為に擬人化してくれたみたいだからしっかりと面倒は見よう……。

 あれ、そもそも従魔契約してるんだから元々俺が面倒見ないといけないんだっけ??
 なんだか前にディーに言われた気がするぞ?

「なぁ!元の姿に戻っていい?」

……前途多難だな。
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