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紅華
一
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次の日、雪は止み普通に山に登って櫻守の仕事ができるようになったが、その日から唐突に紅華と鬱金の会話ができなくなってしまった。
紅華はぶすっとした顔で薪を割り、食事を摂り、作業に明け暮れている。
山での仕事は、空腹ではちっとも作業にならないために、鬱金が市場で買ってきた食事もきちんと摂ってくれているのは幸いだが。
「あの……紅華、これ。今日の朝食と昼食だけれど……」
焼いた石で温めた弁当をふたつ差し出すと、不貞腐れた顔のままでも「ありがとう」と言って受け取る。鬱金はその表情に困り果てていたが、それを受け取る薄墨は短く「放っておけ」とだけ言った。
「で、でも……棟梁」
「放っておけ。あいつはたしかに大人げない態度を取っちゃいるが、これはなにもお前に八つ当たりしているだけじゃねえだろ」
そう言って、釣れない態度しか取らない紅華の背中を見る。結った髪を揺らしながら、仕事の準備をしている。その動きはいつもよりも丁寧に見えるのは、他に集中を散らしたくないせいなのか。
薄墨は顎を撫で上げながら続ける。
「あいつは自分自身に対して腹が立っているから、余計にお前とまともにしゃべれねえだけだから、放っておけ。俺の言うことを聞けないようだったら、しばらくは小屋の作業を命じておくけど、そうじゃないんだったら、山での作業でも命を落とすような真似はしやしないだろうさ。お前は自分のことだけに集中しろ」
そう言って薄墨は励ましてくれたが、このままでいいんだろうかとも鬱金は思う。たしかに山での作業にはなんの支障はないが、一緒に食事を摂り、蒲団を並べていても、ちくちくちくちくと刺されるようで、いたたまれない。
とうとうたまりかねた鬱金は、紅華に対して声をかける。
「あ、あの。紅華……?」
鬱金のおずおずとした声に、紅華は半眼を向ける。そして、ぷいっと視線を逸らしてしまった。
「さっさと作業に戻りな」
言外に「あんたとしゃべることなんてなにもない」と告げる紅華に、どうすることもできずに鬱金は俯いてしまった。
その日は、作業中にさっぱり物の怪が現れることはなかった。
裏庭で育てた若木の苗と肥料の入った樽を担いで山に登り、あちこちに植樹を施す。
もっとも、母樹が弱っているために、そこから取った種で育てた若木がどこまで育つかは、こちらは未知数だった。
穴を掘って、肥料を撒き、その中に若木を植える。単純作業ではあるが、延々と穴を掘る作業も若木を植える作業も腕の力を使う。延々と続けているうちに、腕も足もぱんぱんに張りつめてしまっていた。
食事休憩する中、紅華は立ち上がる。
「棟梁、あたしちょっと向こうで食べていいかい?」
今までは一緒に食事を摂っていたのに。鬱金がひとり血の気が引くのを感じている中、薄墨は渋い顔をする。
「あんまり遠くに行くのは感心しねえな。仮に物の怪が現れたときに、ひとりですぐ対処はできないだろ」
「ちゃんと物の怪避けの香は撒くさ。鵺より上の物の怪なんてそうそう出るもんじゃあるまいしさ……あたしがいると、食事だってまずくなるだろう?」
その言葉に、鬱金は俯いた。彼女が去っていくのを見ながら、鬱金は弁当を食べる。
焼けた石のおかげで昼になっても温かいままの弁当は出来立てのままの温度を維持していたが、それでも石を食べているように、なんだか味を感じなかった。
石の味しかしない弁当をなんとか飲み込んでいると、薄墨から「鬱金」と声をかけられる。薄墨はとっくの昔に弁当を食べ終えたようだった。
「棟梁?」
そのまま薄墨に小さく頭を下げられる。
「すまんな、紅華にひどく当たられてるみたいで」
「……ううん。ぼくが紅華を怒らせてしまったので。紅華は悪くないと思う」
「ありゃ説明が圧倒的に足りてねえんだ。言わなきゃ鬱金だってわからないだろ、そんなもんは」
前にも似たようなことを、薄墨は言っていた。
どうも薄墨は紅華がなにに対してそこまで怒っているのか、既に承知のようだった。
「……紅華は本当に物の怪が嫌いみたいなのに、ぼくが余計なことを言ったみたいで」
「ああ……あれは物の怪に故郷を滅ぼされたからなあ……」
「……ええ?」
その話は初耳だった。でもそういえば。
紅華はときどき寝苦しそうに眠りながら「お母さん」と呼んでいたように思う。
彼女は戻れない過去に、ずっと苦しんでいたのではないのか。
薄墨は淡々と弁当を食べつつ、話を続けた。
「あいつの故郷は、元々桜の皮を使って染物を営んでいる郷だった。だから普通に櫻守とも親交が深く、櫻守から桜の皮を買い取って染物を行っていたんだがな……」
薄墨は遠くを見る。その視線は、ここではないどこか、もう過ぎ去った過去に向けているようだった。
「桜の皮目当てに、腹を減らした物の怪の群れに襲われて……ひと晩も待たずに滅んだ。さすがにまずいということで役所を通して朝廷にも救援要請を出したが、間に合わなかった」
それに鬱金は押し黙った。
彼女は明らかに物の怪を憎んでいたし、朝廷も信用していない。
どうして紅華が生き残ってしまったのかはわからないが、彼女がそれらを敵視しているのはしばらく一緒に生活していてよくわかった。
薄墨は続ける。
「たしかに千年花の代替わりを行えば、櫻花国の問題は解決できるだろうさ。本当にできるんだったらな。ただ、その前に失われたもんがある人間からしてみれば、大事の前の小事で切り捨てられた側からしてみれば、たまったもんじゃないだろうさ」
それに鬱金は俯いた。
鬱金はいつも物の怪を殺したくないと思っているし、未だに物の怪に対して木刀を向けることすら嫌がるが。そんな鬱金を紅華はいったいどんな目で見ていたのだろうと思う。
薄墨は思案する鬱金を見ながらも、言葉を続けた。
「紅華はそれをどうすればいいのかわからなくって、お前に当たってしまったんだろうさ……あいつを許せないんだったらそれでもいいが、そういうことがあったということだけは、知っといてくれないか」
「棟梁」
薄墨の言葉を、鬱金は遮った。
ひと月も手にかけてくれ、今はこうしてしゃべれないまでも面倒を見てくれているのが彼女だ。彼女の情に厚く優しい人となりは、もう説明されずとも十分に知っている。そして、彼女が物の怪を憎んでいる理由も、今知った。
「ぼくは紅華のこと、前も今も好きだよ。しゃべれないのはつらいけれど、全然嫌いにならないし、許せないって憤ってもいないよ……また、一緒にしゃべって仕事ができればいいなとは、思うけれども」
「……そうだな」
それ以上のことはなにも言えなかった。鬱金はできれば物の怪すら傷つけたくないと心から思ってはいるが、物の怪のせいで故郷を失った紅華に言ってはいけないことだったという、それだけの話だった。
ふたりの正しいと思うことがそれぞれ違うのに、どちらかに合わせるほうがおかしいために、薄墨はなにも助言することはできなかったのだ。
やがて食事を終えた紅華も合流し、食事を終えた三人は、再び荷物を背負って若木の植樹に向かうが。
「なんだい、このにおいは……」
鼻が曲がりそうなほどの異臭に、紅華はあからさまに顔をしかめる。
実際に肥料をつくっている作業場のようなにおいが、通っている道を漂っているのだ。
足早に到着した次の作業予定地で見たのは、大量の物の怪の死骸であった。殺せば脂が回るのだからさっさと火を点けて燃やすべきだし、鬱金のように火を扱うことができないなら、せめて埋めるべきだ。
どちらもせずに死骸を山にして積み上げる行為が一番馬鹿げているが、殺した犯人はその知識すらないようだった。
「……なに、これ……」
「なんだい! 殺したらさっさと焼いちまわないと、他の物の怪が来るじゃないか!」
物の怪は強い物の怪の死骸であったら、怖がって寄ってこないし、実際に物の怪避けの香は強い物の怪の死骸を燃やした灰を利用している。
だが強くない物の怪であったら、その死骸を食べてしまう。だから櫻守の中では、物の怪を始末したら、さっさと焼いて物の怪避けとして灰を撒いてしまうのが通例であった。
薄墨は溜息をつきながら指示を飛ばした。
「鬱金は若木を植えるための穴を掘っておけ。紅華はさっさと物の怪を燃やして灰を辺り一面に撒いておけ。俺は役所に報告上げるために、ちょっとこの死骸の周りを確認するから」
そう言い置いてから、薄墨は物の怪の死骸が積まれた辺りに屈み込んでしまった。
紅華はぶすっとした顔で薪を割り、食事を摂り、作業に明け暮れている。
山での仕事は、空腹ではちっとも作業にならないために、鬱金が市場で買ってきた食事もきちんと摂ってくれているのは幸いだが。
「あの……紅華、これ。今日の朝食と昼食だけれど……」
焼いた石で温めた弁当をふたつ差し出すと、不貞腐れた顔のままでも「ありがとう」と言って受け取る。鬱金はその表情に困り果てていたが、それを受け取る薄墨は短く「放っておけ」とだけ言った。
「で、でも……棟梁」
「放っておけ。あいつはたしかに大人げない態度を取っちゃいるが、これはなにもお前に八つ当たりしているだけじゃねえだろ」
そう言って、釣れない態度しか取らない紅華の背中を見る。結った髪を揺らしながら、仕事の準備をしている。その動きはいつもよりも丁寧に見えるのは、他に集中を散らしたくないせいなのか。
薄墨は顎を撫で上げながら続ける。
「あいつは自分自身に対して腹が立っているから、余計にお前とまともにしゃべれねえだけだから、放っておけ。俺の言うことを聞けないようだったら、しばらくは小屋の作業を命じておくけど、そうじゃないんだったら、山での作業でも命を落とすような真似はしやしないだろうさ。お前は自分のことだけに集中しろ」
そう言って薄墨は励ましてくれたが、このままでいいんだろうかとも鬱金は思う。たしかに山での作業にはなんの支障はないが、一緒に食事を摂り、蒲団を並べていても、ちくちくちくちくと刺されるようで、いたたまれない。
とうとうたまりかねた鬱金は、紅華に対して声をかける。
「あ、あの。紅華……?」
鬱金のおずおずとした声に、紅華は半眼を向ける。そして、ぷいっと視線を逸らしてしまった。
「さっさと作業に戻りな」
言外に「あんたとしゃべることなんてなにもない」と告げる紅華に、どうすることもできずに鬱金は俯いてしまった。
その日は、作業中にさっぱり物の怪が現れることはなかった。
裏庭で育てた若木の苗と肥料の入った樽を担いで山に登り、あちこちに植樹を施す。
もっとも、母樹が弱っているために、そこから取った種で育てた若木がどこまで育つかは、こちらは未知数だった。
穴を掘って、肥料を撒き、その中に若木を植える。単純作業ではあるが、延々と穴を掘る作業も若木を植える作業も腕の力を使う。延々と続けているうちに、腕も足もぱんぱんに張りつめてしまっていた。
食事休憩する中、紅華は立ち上がる。
「棟梁、あたしちょっと向こうで食べていいかい?」
今までは一緒に食事を摂っていたのに。鬱金がひとり血の気が引くのを感じている中、薄墨は渋い顔をする。
「あんまり遠くに行くのは感心しねえな。仮に物の怪が現れたときに、ひとりですぐ対処はできないだろ」
「ちゃんと物の怪避けの香は撒くさ。鵺より上の物の怪なんてそうそう出るもんじゃあるまいしさ……あたしがいると、食事だってまずくなるだろう?」
その言葉に、鬱金は俯いた。彼女が去っていくのを見ながら、鬱金は弁当を食べる。
焼けた石のおかげで昼になっても温かいままの弁当は出来立てのままの温度を維持していたが、それでも石を食べているように、なんだか味を感じなかった。
石の味しかしない弁当をなんとか飲み込んでいると、薄墨から「鬱金」と声をかけられる。薄墨はとっくの昔に弁当を食べ終えたようだった。
「棟梁?」
そのまま薄墨に小さく頭を下げられる。
「すまんな、紅華にひどく当たられてるみたいで」
「……ううん。ぼくが紅華を怒らせてしまったので。紅華は悪くないと思う」
「ありゃ説明が圧倒的に足りてねえんだ。言わなきゃ鬱金だってわからないだろ、そんなもんは」
前にも似たようなことを、薄墨は言っていた。
どうも薄墨は紅華がなにに対してそこまで怒っているのか、既に承知のようだった。
「……紅華は本当に物の怪が嫌いみたいなのに、ぼくが余計なことを言ったみたいで」
「ああ……あれは物の怪に故郷を滅ぼされたからなあ……」
「……ええ?」
その話は初耳だった。でもそういえば。
紅華はときどき寝苦しそうに眠りながら「お母さん」と呼んでいたように思う。
彼女は戻れない過去に、ずっと苦しんでいたのではないのか。
薄墨は淡々と弁当を食べつつ、話を続けた。
「あいつの故郷は、元々桜の皮を使って染物を営んでいる郷だった。だから普通に櫻守とも親交が深く、櫻守から桜の皮を買い取って染物を行っていたんだがな……」
薄墨は遠くを見る。その視線は、ここではないどこか、もう過ぎ去った過去に向けているようだった。
「桜の皮目当てに、腹を減らした物の怪の群れに襲われて……ひと晩も待たずに滅んだ。さすがにまずいということで役所を通して朝廷にも救援要請を出したが、間に合わなかった」
それに鬱金は押し黙った。
彼女は明らかに物の怪を憎んでいたし、朝廷も信用していない。
どうして紅華が生き残ってしまったのかはわからないが、彼女がそれらを敵視しているのはしばらく一緒に生活していてよくわかった。
薄墨は続ける。
「たしかに千年花の代替わりを行えば、櫻花国の問題は解決できるだろうさ。本当にできるんだったらな。ただ、その前に失われたもんがある人間からしてみれば、大事の前の小事で切り捨てられた側からしてみれば、たまったもんじゃないだろうさ」
それに鬱金は俯いた。
鬱金はいつも物の怪を殺したくないと思っているし、未だに物の怪に対して木刀を向けることすら嫌がるが。そんな鬱金を紅華はいったいどんな目で見ていたのだろうと思う。
薄墨は思案する鬱金を見ながらも、言葉を続けた。
「紅華はそれをどうすればいいのかわからなくって、お前に当たってしまったんだろうさ……あいつを許せないんだったらそれでもいいが、そういうことがあったということだけは、知っといてくれないか」
「棟梁」
薄墨の言葉を、鬱金は遮った。
ひと月も手にかけてくれ、今はこうしてしゃべれないまでも面倒を見てくれているのが彼女だ。彼女の情に厚く優しい人となりは、もう説明されずとも十分に知っている。そして、彼女が物の怪を憎んでいる理由も、今知った。
「ぼくは紅華のこと、前も今も好きだよ。しゃべれないのはつらいけれど、全然嫌いにならないし、許せないって憤ってもいないよ……また、一緒にしゃべって仕事ができればいいなとは、思うけれども」
「……そうだな」
それ以上のことはなにも言えなかった。鬱金はできれば物の怪すら傷つけたくないと心から思ってはいるが、物の怪のせいで故郷を失った紅華に言ってはいけないことだったという、それだけの話だった。
ふたりの正しいと思うことがそれぞれ違うのに、どちらかに合わせるほうがおかしいために、薄墨はなにも助言することはできなかったのだ。
やがて食事を終えた紅華も合流し、食事を終えた三人は、再び荷物を背負って若木の植樹に向かうが。
「なんだい、このにおいは……」
鼻が曲がりそうなほどの異臭に、紅華はあからさまに顔をしかめる。
実際に肥料をつくっている作業場のようなにおいが、通っている道を漂っているのだ。
足早に到着した次の作業予定地で見たのは、大量の物の怪の死骸であった。殺せば脂が回るのだからさっさと火を点けて燃やすべきだし、鬱金のように火を扱うことができないなら、せめて埋めるべきだ。
どちらもせずに死骸を山にして積み上げる行為が一番馬鹿げているが、殺した犯人はその知識すらないようだった。
「……なに、これ……」
「なんだい! 殺したらさっさと焼いちまわないと、他の物の怪が来るじゃないか!」
物の怪は強い物の怪の死骸であったら、怖がって寄ってこないし、実際に物の怪避けの香は強い物の怪の死骸を燃やした灰を利用している。
だが強くない物の怪であったら、その死骸を食べてしまう。だから櫻守の中では、物の怪を始末したら、さっさと焼いて物の怪避けとして灰を撒いてしまうのが通例であった。
薄墨は溜息をつきながら指示を飛ばした。
「鬱金は若木を植えるための穴を掘っておけ。紅華はさっさと物の怪を燃やして灰を辺り一面に撒いておけ。俺は役所に報告上げるために、ちょっとこの死骸の周りを確認するから」
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