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第4話
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「ユフィーナ様、ジーク伯爵様からこのようなお手紙が届いておりますが…」
「なになに?」
婚約破棄を告げられた後、そのまま静かに自分が元いた場所に戻っていたユフィーナ。
そんな彼女の元に突然に届けられたのは、ジーク伯爵の直筆の手紙であった。
「いまさら何の話だろう…。私はもう用済みだからといってきたのは向こうのほうなのに…」
渡された手紙を預かったユフィーナは、そのまま手紙の内容に目を通していく。
そこには彼女も予想だにしていなかった、意外な言葉が書かれていた。
『ユフィーナ、君が出ていったことは間違いだったと思っている。君だって本心では、僕たちのところに戻ってきたく思っているのだろう?しかし君は意地になってしまって、その事を言い出せないでいる。そうなのだろう?だから僕の方からこの言葉を告げることにした。君には僕らの元に戻ってくるだけの資格がある。僕は広い心で君の事を受け止めようではないか。しかし、それにあたっては君にもきちんと僕らに謝罪の言葉を送ってもらわなければ釣り合わない。僕が一方的に君に寄り添うのは譲歩しすぎではないかと思っているからね。後は君の返事次第だ。素直に僕たちの婚約関係を再開しよう』
「……」
その手紙に書かれた全文を読み終えた時、ユフィーナは非常に不思議な感情をその心の中に湧き上がらせていた。
それはこの手紙がうれしいからでも、気持ちが悪いからでもない。
おかしくて仕方がなかったからだ。
「(伯爵様、自分の方から私の事を追い出しておきながら、今になって私の事が必要になったみたいな様子…。ほんとどこまでもわかりやすい性格…)」
その点がユフィーナには面白くてしかたがなかった。
自分が伯爵の元を出ていったことでもたらされる影響など小さなものであろうと思っていたのは彼女自身も同じことではあったが、いざそれが現実に起こったとなると笑いをこらえるのに必死になって仕方がなかった。
「(これがジーク伯爵様の本心なのか、それともレイアから言われてこうせざるを得なかったのか。どちらにしても、この上ないくらいにみっともない手紙…。私がこれに答えるとでも思っているのかしら…?)」
婚約破棄に当たってあのような言葉をかけておきながら、私がいまさら彼らの元に戻るはずがない。
それが一番大事なことであるというのに、その事に気づかないようでは私の気持ちを理解することなんてできるはずがない。
「(さて…お返事はなんて書くのがいいかしら…)」
私は返事の文面をいろいろと想像してみるけれど、この場においてどう書くのが最もふさわしいのかを考えあぐねていた。
けれど、すぐに一つの答えにたどり着く。
自分の思いをストレートにそのまま書くのが、良いのではないかと。
――ジーク伯爵視点――
「伯爵様、先日ユフィーナ様に向けてお送りしたお手紙のお返事が届けられました」
「なに!?かせっ!!」
ジークは部下からもたらされた手紙を勢いよくひったくると、その場でその内容をチェックしにかかる。
自らが求めるユフィーナからの返事はもちろん、婚約破棄の撤回に応じるというものであり、それに伴ってかつての婚約関係に二人の間柄を戻すというものである。
「さて、ユフィーナは何と言ってきている…?僕の言葉を断ることなどないだろうが、なにか条件を付けてきているか?それとも婚約関係の再開を泣いて喜ぶというものか?」
色々な期待を胸の中に抱きながら、ジークは手紙の内容に視線を移す。
…しかしそこに書かれていたのは、自らが期待していたものとは全く正反対の言葉であった。
『伯爵様、そのお誘いは丁重にお断りさせていただきます。そもそも私は、伯爵様との関係の継続を望んではいません。こうして手紙を送られることも迷惑でしかないので、もう私との関係は諦めてくださいませ』
「……」
非常にシンプルで短いその内容は、伯爵の心をかき乱すには十分なものであった。
婚約破棄の提示に応じるという言葉はまったく存在しておらず、それをにおわせるような雰囲気も全くない。
「じょ、条件さえ言ってこないだと…?僕は伯爵なんだぞ…?どう考えたって僕とのよりを戻した方が幸せになれるに決まっているじゃないか…!なのにどうしてここまで僕の事を拒絶するのだ…!」
それはすべて過去の自分の行いからくることなのだが、ジーク自身は結局その事に全く気付いていない様子。
それさえ改善されたならユフィーナもジークとの関係を見直すかもしれないというのに、それが最も大きな障壁であると言えた。
「まずいな…。このままでは本当に婚約破棄が取り返しのつかないことになってしまう…。そうなってしまったらレイアにどう説明すればいいのか…」
最後の最後までジークの行動原理はレイアであった。
…それもまたユフィーナとの関係改善における大きな障壁であることに間違いないのだが、彼自身その事を理解するにはまだまだ長い時間がかかりそうであった…。
「なになに?」
婚約破棄を告げられた後、そのまま静かに自分が元いた場所に戻っていたユフィーナ。
そんな彼女の元に突然に届けられたのは、ジーク伯爵の直筆の手紙であった。
「いまさら何の話だろう…。私はもう用済みだからといってきたのは向こうのほうなのに…」
渡された手紙を預かったユフィーナは、そのまま手紙の内容に目を通していく。
そこには彼女も予想だにしていなかった、意外な言葉が書かれていた。
『ユフィーナ、君が出ていったことは間違いだったと思っている。君だって本心では、僕たちのところに戻ってきたく思っているのだろう?しかし君は意地になってしまって、その事を言い出せないでいる。そうなのだろう?だから僕の方からこの言葉を告げることにした。君には僕らの元に戻ってくるだけの資格がある。僕は広い心で君の事を受け止めようではないか。しかし、それにあたっては君にもきちんと僕らに謝罪の言葉を送ってもらわなければ釣り合わない。僕が一方的に君に寄り添うのは譲歩しすぎではないかと思っているからね。後は君の返事次第だ。素直に僕たちの婚約関係を再開しよう』
「……」
その手紙に書かれた全文を読み終えた時、ユフィーナは非常に不思議な感情をその心の中に湧き上がらせていた。
それはこの手紙がうれしいからでも、気持ちが悪いからでもない。
おかしくて仕方がなかったからだ。
「(伯爵様、自分の方から私の事を追い出しておきながら、今になって私の事が必要になったみたいな様子…。ほんとどこまでもわかりやすい性格…)」
その点がユフィーナには面白くてしかたがなかった。
自分が伯爵の元を出ていったことでもたらされる影響など小さなものであろうと思っていたのは彼女自身も同じことではあったが、いざそれが現実に起こったとなると笑いをこらえるのに必死になって仕方がなかった。
「(これがジーク伯爵様の本心なのか、それともレイアから言われてこうせざるを得なかったのか。どちらにしても、この上ないくらいにみっともない手紙…。私がこれに答えるとでも思っているのかしら…?)」
婚約破棄に当たってあのような言葉をかけておきながら、私がいまさら彼らの元に戻るはずがない。
それが一番大事なことであるというのに、その事に気づかないようでは私の気持ちを理解することなんてできるはずがない。
「(さて…お返事はなんて書くのがいいかしら…)」
私は返事の文面をいろいろと想像してみるけれど、この場においてどう書くのが最もふさわしいのかを考えあぐねていた。
けれど、すぐに一つの答えにたどり着く。
自分の思いをストレートにそのまま書くのが、良いのではないかと。
――ジーク伯爵視点――
「伯爵様、先日ユフィーナ様に向けてお送りしたお手紙のお返事が届けられました」
「なに!?かせっ!!」
ジークは部下からもたらされた手紙を勢いよくひったくると、その場でその内容をチェックしにかかる。
自らが求めるユフィーナからの返事はもちろん、婚約破棄の撤回に応じるというものであり、それに伴ってかつての婚約関係に二人の間柄を戻すというものである。
「さて、ユフィーナは何と言ってきている…?僕の言葉を断ることなどないだろうが、なにか条件を付けてきているか?それとも婚約関係の再開を泣いて喜ぶというものか?」
色々な期待を胸の中に抱きながら、ジークは手紙の内容に視線を移す。
…しかしそこに書かれていたのは、自らが期待していたものとは全く正反対の言葉であった。
『伯爵様、そのお誘いは丁重にお断りさせていただきます。そもそも私は、伯爵様との関係の継続を望んではいません。こうして手紙を送られることも迷惑でしかないので、もう私との関係は諦めてくださいませ』
「……」
非常にシンプルで短いその内容は、伯爵の心をかき乱すには十分なものであった。
婚約破棄の提示に応じるという言葉はまったく存在しておらず、それをにおわせるような雰囲気も全くない。
「じょ、条件さえ言ってこないだと…?僕は伯爵なんだぞ…?どう考えたって僕とのよりを戻した方が幸せになれるに決まっているじゃないか…!なのにどうしてここまで僕の事を拒絶するのだ…!」
それはすべて過去の自分の行いからくることなのだが、ジーク自身は結局その事に全く気付いていない様子。
それさえ改善されたならユフィーナもジークとの関係を見直すかもしれないというのに、それが最も大きな障壁であると言えた。
「まずいな…。このままでは本当に婚約破棄が取り返しのつかないことになってしまう…。そうなってしまったらレイアにどう説明すればいいのか…」
最後の最後までジークの行動原理はレイアであった。
…それもまたユフィーナとの関係改善における大きな障壁であることに間違いないのだが、彼自身その事を理解するにはまだまだ長い時間がかかりそうであった…。
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