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4篇目タイトル【蘇生の回廊】
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ジッとしていると恐怖が足元から這い上がってくるような気がして、淳平はヒエログリフの詩を咀嚼するのを止めて先へ歩き出す。
「おー、どうしたよ?」
「桑名さん?」
「いや、うん、そろそろバーベキューの時間だし」
真吾や奈々も慌てて追いかけてくるが、適当にごまかして部屋の方へと順回りに戻る。次の角を曲がると、さすがに二度あることは三度もなかった。
「……」
通気口があるのをのぞいてはまっさらな壁が続くだけなのを見て、淳平は安心した。真吾は、何もなかったことが拍子抜けしたのか口笛を吹いてついてくるだけ。
「回廊のことを指しているとして――」
奈々は未だに詩の意味を理解しようと試みている。
それでも最後の角を曲がったところで、タイミングよく呼びに来ていた行雄と遭遇する。
「おう、そろそろ始めるぞ。女子は野菜の処理、男は近くの沢まで道具を運んで火起こしだ」
「あいあいさ~」
「わかったよ」
また勝手に班分けを行われてしまうが、断る理由も思いつかないため従った。考えを巡らせると余計なことまで考えてしまいそうだったから。
そこそこに重たいバーベキューセットや炭の入った箱を500メートルほど離れた小さな川へと運んでいく。肉と飲み物の入ったクーラーボックスが一番重かったかもしれない。
暑さもあって、セッティングが終わるころにはクタクタになりかけていた。沢のどこかにあるバードギールに吹き込んでいく風の音も気にするヒマなどなかった。
「はぁ、はぁ……」
「今後バーベキューはしない!」
「おらぁ、まだ座り込んでいられないぞ。ほら扇げ扇げ!」
行雄はへたり込んでいた二人の尻を叩く。後は炭に火をつけるだけなのでウチワを手渡された。
不慣れな火を焚く作業をなんとか達成して、程よく炎が立ち上ってきたところで女子たちも到着する。
「おまたせしました」
「やっほー、そっち準備どう」
「これで足りるかな?」
タマネギにニンジン、ビーマン、シイタケ、トウモロコシと一般的にイメージするものを皿に盛って持ってきた。十分な量である。
「お、こっちもいいぜ」
「はぁ、やっと食べられる」
別に空腹の具合はそこまでではないが、疲労がエネルギーを欲させているのかもしれない。ただ、それでも食べ切れるかわからないほどの量だ。
オニギリまで用意されている。
「はは、食べきれないかも」
「夕飯の代わりに残しておけば良いでしょう。じゃあ、まずニンジンから」
淳平は大量の食材を前にもったいなさを感じる。奈々は母親みたいなことを言って野菜を焼き始めようとした。
「おー、どうしたよ?」
「桑名さん?」
「いや、うん、そろそろバーベキューの時間だし」
真吾や奈々も慌てて追いかけてくるが、適当にごまかして部屋の方へと順回りに戻る。次の角を曲がると、さすがに二度あることは三度もなかった。
「……」
通気口があるのをのぞいてはまっさらな壁が続くだけなのを見て、淳平は安心した。真吾は、何もなかったことが拍子抜けしたのか口笛を吹いてついてくるだけ。
「回廊のことを指しているとして――」
奈々は未だに詩の意味を理解しようと試みている。
それでも最後の角を曲がったところで、タイミングよく呼びに来ていた行雄と遭遇する。
「おう、そろそろ始めるぞ。女子は野菜の処理、男は近くの沢まで道具を運んで火起こしだ」
「あいあいさ~」
「わかったよ」
また勝手に班分けを行われてしまうが、断る理由も思いつかないため従った。考えを巡らせると余計なことまで考えてしまいそうだったから。
そこそこに重たいバーベキューセットや炭の入った箱を500メートルほど離れた小さな川へと運んでいく。肉と飲み物の入ったクーラーボックスが一番重かったかもしれない。
暑さもあって、セッティングが終わるころにはクタクタになりかけていた。沢のどこかにあるバードギールに吹き込んでいく風の音も気にするヒマなどなかった。
「はぁ、はぁ……」
「今後バーベキューはしない!」
「おらぁ、まだ座り込んでいられないぞ。ほら扇げ扇げ!」
行雄はへたり込んでいた二人の尻を叩く。後は炭に火をつけるだけなのでウチワを手渡された。
不慣れな火を焚く作業をなんとか達成して、程よく炎が立ち上ってきたところで女子たちも到着する。
「おまたせしました」
「やっほー、そっち準備どう」
「これで足りるかな?」
タマネギにニンジン、ビーマン、シイタケ、トウモロコシと一般的にイメージするものを皿に盛って持ってきた。十分な量である。
「お、こっちもいいぜ」
「はぁ、やっと食べられる」
別に空腹の具合はそこまでではないが、疲労がエネルギーを欲させているのかもしれない。ただ、それでも食べ切れるかわからないほどの量だ。
オニギリまで用意されている。
「はは、食べきれないかも」
「夕飯の代わりに残しておけば良いでしょう。じゃあ、まずニンジンから」
淳平は大量の食材を前にもったいなさを感じる。奈々は母親みたいなことを言って野菜を焼き始めようとした。
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