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第6章 神の器の奮闘記 ~王国復興編~
第87話 リオックという男 前半
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「そろそろ落ち着いたか?」
そろりそろりと会場に戻った俺たち。みんな酒が入ってわちゃわちゃ始まった頃だし、もう俺なんて眼中にないはず…だったのに。
「っは!あの男はさっきのリオックとか言うやつ!」
玄太が指差した若獅子は、いまだに俺を探す獣の眼光でキョロキョロとうろうろ。
「まずい。あの騎士まだ諦めてねえな」
「そうだ!いい事考えたっす!」
そう言って玄太も会場をキョロキョロと見回した。
「あ!いたっす!あそこなら安全っす!」
玄太が指差した先。そこには正装姿のラクターさんとコンバインさんがお偉いさん達と凄い迫力と重鎮オーラを放ってる!
「たしかにあそこの輪に入れば、なかなか近寄れないはず!」
「さ!てんぱい!あの大物グループに入って食いまくるっすよ!」
俺と玄太は、忍者のようにステルス性能全振りで会場のテーブルからテーブルへと縫うように進んでいく。いや、どっちかっていうと食い物狙って忍び込んだ野良猫二匹って感じか?
「間合い管理かんぺき!まだバレてないっすね、てんぱい」
「よし……良い立ち回り出来てる!このまま一気に突破するぞ」
しかし、油断というのは決まって「あと少し」と思った時に顔を出す。ようするに、一気に片を付けようとした瞬間――そこが一番危ない。
「おぉっ!?あの胸騒ぎの腰つきは!天貴殿、ついに見つけたぞ!」
後ろから太い声が飛んできた瞬間、俺は全身の毛が驚いた猫のように逆立った。
「てんぱい!もうこうなったらプランBっすよ!」
「とほほ……おれ、結局プランBばっかだぜ」
玄太が俺の手を引いて一気にロケットダッシュ。
「ラクターさーん!コンバインさーん!お助けぇぇぇ!」
うおおお!って、俺も叫びながら突撃!よっしゃ!聖域に突入だ!…って、あれ?今、リオックのやつニヤッとしたような?気のせいか?
「おう!どうした、天貴!」
「玄太も、なにをそんなに焦っている?」
俺たちは無事ラクターさんとコンバインさんの間に滑り込み、気がつくと目の前にはセス卿たちが目を丸くしてる。
「はっはっは!若人は元気が有り余ってるな!」
「ふむ!まだ戦い足りなかったか?」
セス卿にレミス卿、ルード老、そしてラクターさんとコンバインさんの重鎮鉄壁フォーメーション!これはもう、王宮の最終防衛ラインって言っても過言じゃねぇ。これなら流石の騎士団員も、おいそれと突っ込んではこれないはず!
「いえいえ!俺たち、皆様と一緒に楽しく食事でもと!」
「そうっす!飯食いながら皆様のお話でも聞きたいな~って!」
とりあえず、よく分からんけど愛想笑いフルパワーで誤魔化す俺と玄太。それにしても俺たち、庶民のクセに王宮の上流階級オーラ全開の中で浮きまくってないか?
「はっはっは!若いのに感心な事だ!」
「ふむ。では少し紹介しようか。我が王国が誇る騎士団も、君のような逸材には興味深いようだからね」
「しょ、紹介!?」
「騎士団って、まさか…ね?」
いやいや、逸材って!俺はただの人畜無害な農業男子ですよ!?あっ、でもラクターさんの顔がノリノリだ…これはもう止まらないやつ!
「えーっと。まずは腹減ってて」
そう言って腹を押さえる俺と玄太。なんかどう見ても、可哀想な野良猫って感じが情け無い。
「まずは飯だな!?ほら、たーんと食え!!」
ガッシャァン!!と飛び出たコンバインさんの皿には、肉と肉と肉!てんこ盛りすぎて、これだけで肉フェスが始まりそうな量なんですけど!?
「おぉぉ!玄太、ついに!」
「はいっ!さすがコンバインズ・チョイス!」
俺たちは飢えた野良猫の如く、眼前のご馳走に全力でガッついた!うん、我ながらはしたない!でも美味い!噛み応えが心地いい!胃袋に入る重みで癒される!
「ふむ、食いながらでいい!君達に紹介しよう!聖堂騎士団の将来の有望株だ!」
「狙った獲物は逃がさない、獅子のような男だ」
──へっ!?
なんて?自分の咀嚼音でちゃんと聞こえなかった。獅子のような男?俺たちの話じゃないよな?
「彼の名はリオック・ブラヴァル!若獅子の異名を持つ期待の精鋭だ!」
ってコラーー!よりによって逃げてきた相手の紹介来たァァ!
「天貴殿、ようやくですね」
すっと差し出される、デカい手のひらがフォークを持った俺の震える手を優雅に取る。
「これが神の器の御手。武具によってできたマメが素晴らしい。俺の理想に限りなく近い」
手の甲に額つけるな!カッコいい事言ってるけど、フォークの先にウィンナー刺さってるの見えてる!?
「いや、このマメはクワとスコップの持ち過ぎっ…!」
応援を期待して玄太を横目でチラッと見ると、コンバインさんと肉にがっつく予想通りの光景。
「この唐揚げ美味すぎっす!ガツガツ…うぉぉ!このビフカツも美味い!!」
こら、玄太!飯に負けるな!飯よりてんぱいを守るんじゃなかったのかよ!
「ラクター殿、ご紹介感謝致します。このリオックこの御恩は忘れませぬ」
「それは良かった!天貴は良い奴だ!良くしてやってくれ!」
「このリオックは騎士団の中でも誰より信仰に厚いのじゃ」
「騎士団きっての堅物も、器殿の前では恋する乙女の如しですなぁ」
いやセス卿さん、感心してる場合じゃねえし!
「いや、俺ただの農業男子ですから!朝は牛の世話に追われて、昼は畑で泥だらけだし!」
「普段は農に汗をし、世間を欺いておられたか。なお、愛おしい神の器よ!」
「ダメだこりゃ」
っていうかこのリオック。好感度MAX状態で突進してきてるけど、これ誰が止めてくれるの!?正直俺の受け皿、玄太でいっぱいいっぱいなんですけど!
「よし、リオック!このまま天貴たちと親交を深めるといい!」
「うむ。共に未来を築く者同士、今宵の出会いを大切にするのだ」
(いや、なんかこの人、普通の親睦と違うから!!)
「あぁ、天貴殿!立たせっぱなしでは申し訳無かった!」
リオックが俺の手をそっと放し、目下の椅子を引くとドシッとそこは座る。
「さぁどうぞ、ここへ!」
そう言ってポンポンッと、自分の太腿の上を叩いた。
……え?
ポンポンッ…!
……えぇぇぇ!??
「いや、ソレ太腿の上!どこが『どうぞ』の席だよ!?」
でも、リオックのキリッとした眼差しは真剣そのもの。まるで「俺の上以外に座る選択肢があるのか?」って顔してる!
あるわ!腐るほどあるだろ!空いてる椅子、横に三つもあるわ!!
「さぁ神の器の御座に、ぜひ我が腿を…」
「す、座るかぁぁぁ!」
叫びながら後ずさる俺!
「遠慮はいりませぬぞ器様!!我が太腿は、多少硬くとも誇り高き…」
「いや、その太腿にどんな伝説詰まってんだよぉぉ!」
ラクターさんが何故か感心した顔で「立派な聖騎士だ…」と頷き、コンバインさんは肉にがっつきながらニヤニヤと笑う。全員、空気が違う方向に転がってるんだけど!?
「お、おい玄太?そろそろお前の出番…」
「カレー!?異世界にもカレーあるの!?しかもビーフカレーだし!うぉぉぉぉ」
カレー!?マジ!?俺たち、安いチキンカレーばっかだったもんなぁ…って、こら玄太!俺の窮地も知らずにカレーに感心してんじゃねえ!ってか、俺もカレー食いてえ!
「ほら、玄太!これも食え!ミルク・チキンの照り照り焼きだ!」
「うひょぉぉ!ミルク・チキン柔らけぇぇ!照り照りが香ばしいぃぃぃ!」
ダメだ。玄太が完全に戦力外。面白がってるコンバインさんに完全に飯で買収されてる。
「付き人は食事に夢中。ならば今のうちにこのリオックと器様と親交を…!」
俺はフォーク片手に、逃げ場のない上流パーティ地獄の中心に取り残された。
ポンポンッ…!
しかし目の前にはまだ、リオックの大股がこっちに向いて開かれている。頼む誰か!席を!普通の席をくれぇぇぇ!
そろりそろりと会場に戻った俺たち。みんな酒が入ってわちゃわちゃ始まった頃だし、もう俺なんて眼中にないはず…だったのに。
「っは!あの男はさっきのリオックとか言うやつ!」
玄太が指差した若獅子は、いまだに俺を探す獣の眼光でキョロキョロとうろうろ。
「まずい。あの騎士まだ諦めてねえな」
「そうだ!いい事考えたっす!」
そう言って玄太も会場をキョロキョロと見回した。
「あ!いたっす!あそこなら安全っす!」
玄太が指差した先。そこには正装姿のラクターさんとコンバインさんがお偉いさん達と凄い迫力と重鎮オーラを放ってる!
「たしかにあそこの輪に入れば、なかなか近寄れないはず!」
「さ!てんぱい!あの大物グループに入って食いまくるっすよ!」
俺と玄太は、忍者のようにステルス性能全振りで会場のテーブルからテーブルへと縫うように進んでいく。いや、どっちかっていうと食い物狙って忍び込んだ野良猫二匹って感じか?
「間合い管理かんぺき!まだバレてないっすね、てんぱい」
「よし……良い立ち回り出来てる!このまま一気に突破するぞ」
しかし、油断というのは決まって「あと少し」と思った時に顔を出す。ようするに、一気に片を付けようとした瞬間――そこが一番危ない。
「おぉっ!?あの胸騒ぎの腰つきは!天貴殿、ついに見つけたぞ!」
後ろから太い声が飛んできた瞬間、俺は全身の毛が驚いた猫のように逆立った。
「てんぱい!もうこうなったらプランBっすよ!」
「とほほ……おれ、結局プランBばっかだぜ」
玄太が俺の手を引いて一気にロケットダッシュ。
「ラクターさーん!コンバインさーん!お助けぇぇぇ!」
うおおお!って、俺も叫びながら突撃!よっしゃ!聖域に突入だ!…って、あれ?今、リオックのやつニヤッとしたような?気のせいか?
「おう!どうした、天貴!」
「玄太も、なにをそんなに焦っている?」
俺たちは無事ラクターさんとコンバインさんの間に滑り込み、気がつくと目の前にはセス卿たちが目を丸くしてる。
「はっはっは!若人は元気が有り余ってるな!」
「ふむ!まだ戦い足りなかったか?」
セス卿にレミス卿、ルード老、そしてラクターさんとコンバインさんの重鎮鉄壁フォーメーション!これはもう、王宮の最終防衛ラインって言っても過言じゃねぇ。これなら流石の騎士団員も、おいそれと突っ込んではこれないはず!
「いえいえ!俺たち、皆様と一緒に楽しく食事でもと!」
「そうっす!飯食いながら皆様のお話でも聞きたいな~って!」
とりあえず、よく分からんけど愛想笑いフルパワーで誤魔化す俺と玄太。それにしても俺たち、庶民のクセに王宮の上流階級オーラ全開の中で浮きまくってないか?
「はっはっは!若いのに感心な事だ!」
「ふむ。では少し紹介しようか。我が王国が誇る騎士団も、君のような逸材には興味深いようだからね」
「しょ、紹介!?」
「騎士団って、まさか…ね?」
いやいや、逸材って!俺はただの人畜無害な農業男子ですよ!?あっ、でもラクターさんの顔がノリノリだ…これはもう止まらないやつ!
「えーっと。まずは腹減ってて」
そう言って腹を押さえる俺と玄太。なんかどう見ても、可哀想な野良猫って感じが情け無い。
「まずは飯だな!?ほら、たーんと食え!!」
ガッシャァン!!と飛び出たコンバインさんの皿には、肉と肉と肉!てんこ盛りすぎて、これだけで肉フェスが始まりそうな量なんですけど!?
「おぉぉ!玄太、ついに!」
「はいっ!さすがコンバインズ・チョイス!」
俺たちは飢えた野良猫の如く、眼前のご馳走に全力でガッついた!うん、我ながらはしたない!でも美味い!噛み応えが心地いい!胃袋に入る重みで癒される!
「ふむ、食いながらでいい!君達に紹介しよう!聖堂騎士団の将来の有望株だ!」
「狙った獲物は逃がさない、獅子のような男だ」
──へっ!?
なんて?自分の咀嚼音でちゃんと聞こえなかった。獅子のような男?俺たちの話じゃないよな?
「彼の名はリオック・ブラヴァル!若獅子の異名を持つ期待の精鋭だ!」
ってコラーー!よりによって逃げてきた相手の紹介来たァァ!
「天貴殿、ようやくですね」
すっと差し出される、デカい手のひらがフォークを持った俺の震える手を優雅に取る。
「これが神の器の御手。武具によってできたマメが素晴らしい。俺の理想に限りなく近い」
手の甲に額つけるな!カッコいい事言ってるけど、フォークの先にウィンナー刺さってるの見えてる!?
「いや、このマメはクワとスコップの持ち過ぎっ…!」
応援を期待して玄太を横目でチラッと見ると、コンバインさんと肉にがっつく予想通りの光景。
「この唐揚げ美味すぎっす!ガツガツ…うぉぉ!このビフカツも美味い!!」
こら、玄太!飯に負けるな!飯よりてんぱいを守るんじゃなかったのかよ!
「ラクター殿、ご紹介感謝致します。このリオックこの御恩は忘れませぬ」
「それは良かった!天貴は良い奴だ!良くしてやってくれ!」
「このリオックは騎士団の中でも誰より信仰に厚いのじゃ」
「騎士団きっての堅物も、器殿の前では恋する乙女の如しですなぁ」
いやセス卿さん、感心してる場合じゃねえし!
「いや、俺ただの農業男子ですから!朝は牛の世話に追われて、昼は畑で泥だらけだし!」
「普段は農に汗をし、世間を欺いておられたか。なお、愛おしい神の器よ!」
「ダメだこりゃ」
っていうかこのリオック。好感度MAX状態で突進してきてるけど、これ誰が止めてくれるの!?正直俺の受け皿、玄太でいっぱいいっぱいなんですけど!
「よし、リオック!このまま天貴たちと親交を深めるといい!」
「うむ。共に未来を築く者同士、今宵の出会いを大切にするのだ」
(いや、なんかこの人、普通の親睦と違うから!!)
「あぁ、天貴殿!立たせっぱなしでは申し訳無かった!」
リオックが俺の手をそっと放し、目下の椅子を引くとドシッとそこは座る。
「さぁどうぞ、ここへ!」
そう言ってポンポンッと、自分の太腿の上を叩いた。
……え?
ポンポンッ…!
……えぇぇぇ!??
「いや、ソレ太腿の上!どこが『どうぞ』の席だよ!?」
でも、リオックのキリッとした眼差しは真剣そのもの。まるで「俺の上以外に座る選択肢があるのか?」って顔してる!
あるわ!腐るほどあるだろ!空いてる椅子、横に三つもあるわ!!
「さぁ神の器の御座に、ぜひ我が腿を…」
「す、座るかぁぁぁ!」
叫びながら後ずさる俺!
「遠慮はいりませぬぞ器様!!我が太腿は、多少硬くとも誇り高き…」
「いや、その太腿にどんな伝説詰まってんだよぉぉ!」
ラクターさんが何故か感心した顔で「立派な聖騎士だ…」と頷き、コンバインさんは肉にがっつきながらニヤニヤと笑う。全員、空気が違う方向に転がってるんだけど!?
「お、おい玄太?そろそろお前の出番…」
「カレー!?異世界にもカレーあるの!?しかもビーフカレーだし!うぉぉぉぉ」
カレー!?マジ!?俺たち、安いチキンカレーばっかだったもんなぁ…って、こら玄太!俺の窮地も知らずにカレーに感心してんじゃねえ!ってか、俺もカレー食いてえ!
「ほら、玄太!これも食え!ミルク・チキンの照り照り焼きだ!」
「うひょぉぉ!ミルク・チキン柔らけぇぇ!照り照りが香ばしいぃぃぃ!」
ダメだ。玄太が完全に戦力外。面白がってるコンバインさんに完全に飯で買収されてる。
「付き人は食事に夢中。ならば今のうちにこのリオックと器様と親交を…!」
俺はフォーク片手に、逃げ場のない上流パーティ地獄の中心に取り残された。
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