錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

文字の大きさ
117 / 270
 第13章 魔法学院(マテーダ王女)編

1307.難病

しおりを挟む
 リンダとの思念伝達を終えた私は、何とか、授業に間に会った。

 「あら、テラ、ギリギリね。いつもの席はないよ」

 レイカが話しかけて来た。私は、教室の隅に目をやった。すると、この間、見かけたリューが、一人で、座っていた。彼は、この授業も受講していたんだな。

 上級教師のユーキの水魔法の初級講座は、13人が受講していた。シルバにこっそり教えて貰ったんだ。それで、気がつかなかったのだな。この講座が一番多くの生徒が受講している。次が、火魔法の初級講座で、12名だ。風魔法の初級講座は、9名とやや少なくなっている。

 私は、教室の隅のリューの隣に座った。

 「お早う。私は、テラ、よろしくね」

 「あっ、ぼく、リュー」

 「どこか痛いの? なんだか、辛そうな顔をしているよ」

 「うん。気にしないでね。いつものことなんだ」

 「関節が痛くなるんだ。でも、じっとしてると、少しはましになるよ」

 「そうか、私、治癒魔法が使えるよ。やってみてもいい?」

 「無駄だよ。治癒魔法が気かないんだ」

 「でも、やってもいいでしょ。無駄でも、私はいいよ」

 「それなら、やってみて。ぼくは、かまわないよ」

 私は、スキル鑑定で、リューを調べてみた。すると、血液の病と表示された。でも、軽い方みたいだ。このままでは、余命1年ほどのようだ。この世界で、治療薬が出来るのは、まだまだ先のことだろう。

 輸血もまだ行われていないようだから。医学の進歩は、まだまだ先だろう。魔法があるので、それに頼り切ってしまった結果、科学の発展が遅れているように思う。大抵の事は、魔法でもいいのだが、医学は、もっと、進歩して欲しい。

 「少し、出血しているみたいだね。それで、痛みがあるのだと思うよ」

 「そうなんだ。血が止まり難いんだ」

 「血よ止まれ。治癒魔法ヒール、少しは、効いたようだけど、これは、治療とは言えないね。ごめんね。ダメだったよ」

 「ううん。少し良くなったよ。痛みが少なくなったよ」

 私は、自分の力の無さを感じて、頭を下げた。すると、リューが頭を撫でてくれた。

 「テラ、ありがとう。無駄じゃなかったよ。だから、元気出してね」

 「うん。分かった」

 私は、その後も、授業に集中できなかった。リューのような素直な子が、後1年しか生きられない。何とか、出来ない物か。

 「そうか、土魔法と同じだ」

 「テラ、大丈夫? 急に大声を出して」

 私は、声を上げて叫んでいたようだ。まあ、立ち上がっていなかっただけ、ましだが。皆の視線がイタイ。

 魔法は、イメージが大切だ。イメージできない物は、発動しない。こんな簡単なことを忘れていたなんて。リューの治療の方向が少し見えて来た。でも、治療までにしなければならないことが多すぎる。

 やはり、チームを作らないとだめだ。私一人の知恵では、限りがある。誰か、居ないか?

 私は、授業が終わると、急いで、ミュー先生の所に行った。ミュー先生は、神殿で、神官として働いていたという。様々な患者を診て来たようだ。何か、参考になることが聞けるかもしれない。

 「コン、コン。テラです。入ってもいいですか?」

 「はい、いいですよ」

 「少し、相談があってきました」

 「何かしら」

 「噂ですが、ミュー先生は、神殿で働いていたことがあるって」

 「よく知っていますね。随分前の事ですが、神殿で、神官として働いていました」

 「それで、多くの患者の治療に携わっていたと聞いたんですが」

 「えぇ、そうですよ。その噂は、本当です」

 「それで、相談ですが、医学を勉強するのには、どうしたらいいですか?」

 「医学? 医者になりたいのですか?」

 「少し、違います。私は、医者になりたいのではないのです。病気を治したいだけです」

 「それって、医者じゃないの? 病気を治すことが、患者を治すことでしょ」

 「そうですが、少し、違うのです。私は、病気を治したいでけで、患者が治れば尚いいですけど」

 「まあ、いいわ。いくつか、書物があるから、それを読んでみたら? 色々な病気について理解が深まると思うわ。私が持っている本を貸すわ。一度、読んでみて」

 「はい、ありがとうございます」

 私は、ミュー先生に本を借りて、自分の部屋に戻った。ざっと目を通したが、私が思っていた物ではなかった。確かに、色々な症例と対処方法が載っていたが、科学とは言い難い。病気が雑多に載っているだけの様に思えた。

 「コン、コン。テラ、部屋にいるの?」

 「いるよ。誰?」

 「私よ。レイカよ。急いで教室を飛び出したけど、大丈夫?」

 「うん、大丈夫だよ。心配いらないよ」

 「ねえ、入ってもいい?」

 「あぁ、いいよ。入ってきて」

 私は、何だか、気怠くて、ベッドに横たわったまま、レイカを迎えた。

 「テラ、具合が悪いの?」

 「いや、横になっているだけだよ。どこも悪くないよ」

 「でも、気分がすぐれないのじゃない」

 「少し、横になっていれば、治るよ」

 「そう、疲れが出ているのね。さっき、ミュー先生の所へ行っていたけど。何か言われたの?」

 「あぁ、ミュー先生の所で、相談に乗って貰っていたんだ」

 「そう、呼び出されていたのじゃないのね」

 「どうして、私が呼び出されるの?」

 「だって、ミュー先生は、テラの担任でしょ。だから、呼ばれたんじゃないかって、思ったの」

 「そうだったね。忘れていた。レイカの担任もミュー先生だったね」

 「そうだけど、私、ミュー先生、嫌いよ」

 「どうして? 嫌いなの。優しい先生だよ」

 「それは、テラに優しいのだわ。私には、厳しいよ。だから、嫌い」

 「そんなことないよ。レイカの感違いじゃないの?」

 急にレイカが私に飛びついてきた。そして、私の胸を叩き始めた。

 「バカ、バカ、テラのバカ」

 「おい、おい、レイカ、痛いよ」

 「当たり前でしょ。叩いているんだから。テラのバカ」
 
 私は、レイカを抱きしめて、頭を撫でてあげた。髪の毛が艶やかで、手の感触がとても滑らかだ。私は、レイカの髪の毛をかき上げて、耳がみえるようにした。そして、耳元で、囁いた。
 
 「どうしたの? そんなに怒って」

 「テラが、私のこと無視するからよ。今日だって、私のこと無視したでしょ」

 「何、言っているの。無視なんて、してないよ」

 「だって、私の横を黙った通り抜けたよ。それに、変な男の子と授業中ずっとひそひそ話していたし。誰なの?」

 「彼は、リューと言って、たまたま、いつも私が座る席に座っていただけだよ」

 「最近は、私の横で授業を受けているのに。なぜ避けるの?」

 「ごめん。そんなつもりはないよ。怒らないでよ」

 私は、頭を撫でながら、レイカが鎮まるのを待った。今日は、一日このままかも。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

騎士団長のお抱え薬師

衣更月
ファンタジー
辺境の町ハノンで暮らすイヴは、四大元素の火、風、水、土の属性から弾かれたハズレ属性、聖属性持ちだ。 聖属性持ちは意外と多く、ハズレ属性と言われるだけあって飽和状態。聖属性持ちの女性は結婚に逃げがちだが、イヴの年齢では結婚はできない。家業があれば良かったのだが、平民で天涯孤独となった身の上である。 後ろ盾は一切なく、自分の身は自分で守らなければならない。 なのに、求人依頼に聖属性は殆ど出ない。 そんな折、獣人の国が聖属性を募集していると話を聞き、出国を決意する。 場所は隣国。 しかもハノンの隣。 迎えに来たのは見上げるほど背の高い美丈夫で、なぜかイヴに威圧的な騎士団長だった。 大きな事件は起きないし、意外と獣人は優しい。なのに、団長だけは怖い。 イヴの団長克服の日々が始まる―ー―。 ※84話「再訪のランス」~画像生成AIで挿絵挿入しています。 気分転換での画像生成なので不定期(今後あるかは不明ですが)挿絵の注意をしてます。

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 チートなんてない。 日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。 自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。 魔法?生活魔法しか使えませんけど。 物作り?こんな田舎で何ができるんだ。 狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。 そんな僕も15歳。成人の年になる。 何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。 こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。 になればいいと思っています。 皆様の感想。いただけたら嬉しいです。 面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。 よろしくお願いします! カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。 続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

ベテラン精霊王、虐げられ皇子の子育てに励みます

はんね
ファンタジー
 大陸で最も広大な領土と栄華を誇るアストラニア帝国。 その歴史は、初代皇帝ニコラスと精霊王バーティミアスが“疫病王ヴォラク”を討ち倒したことから始まった。ニコラスとバーティミアスは深い友情を結び、その魂を受け継ぐ皇子たちを永遠に見守り、守護する盟約を交わした。  バーティミアスは幾代もの皇帝を支え、帝国は長き繁栄を享受してきた。しかし、150年の眠りから目覚めた彼の前に現れた“次の皇帝候補”は、生まれたばかりの赤ん坊。しかもよりにもよって、十三番目の“虐げられ皇子”だった! 皮肉屋で老獪なベテラン精霊王と、世話焼きで過保護な月の精霊による、皇帝育成(?)奮闘記が、いま始まる——! 人物紹介 ◼︎バーティミアス 疫病王ヴォラクを倒し初代皇帝ニコラスと建国初期からアストラニア帝国に使える精霊。牡鹿の角をもつ。初代皇帝ニコラスの魂を受け継ぐ皇子を守護する契約をしている。 ◼︎ユミル 月の精霊。苦労人。バーティミアスとの勝負に負け、1000年間従属する契約を結びこき使われている。普段は使用人の姿に化けている。 ◼︎アルテミス アストラニア帝国の第13皇子。北方の辺境男爵家の娘と皇帝の息子。離宮に幽閉されている。 ◼︎ウィリアム・グレイ 第3皇子直属の白鷲騎士団で問題をおこし左遷されてきた騎士。堅物で真面目な性格。代々騎士を輩出するグレイ家の次男。 ◼︎アリス 平民出身の侍女。控えめで心優しいが、アルテミスのためなら大胆な行動に出る一面も持つ。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

処理中です...