錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

文字の大きさ
244 / 270
 第28章 魔大陸編

2806.勇者召喚

しおりを挟む
 カタリナから、意外な事実を聞かされた。既に、勇者が召喚されており、それが、私だということだ。俄かには、信じがたい。しかし、確かに、私は、テラjrとして召喚された。それは、確かだ。でも、勇者召喚ではないと思っていた。

 しかし、召喚した時期が悪かったのか、勇者召喚となっているようだ。私は、一度、テラjrと一体化して、今後の今後の事を決めることにした。直ぐに、転移魔法で、テラjrの城へ移動した。

 「テラjr、久しぶり」

 「随分長い間、ほったらかしだったね」

 「すまない。色々と、忙しかったんだ」

 「それで? どこでする?」

 「昔の地下牢前の工房は、どうかな?」

 「そうだね」

 私達は、賢者サビオに召喚された地下牢前の工房に転移魔法で移動した。そして、現在の状況を把握するために、思念伝達で、マリーに連絡を取った。

 「マリー、 赤の竜人ルーブロマ・ドラコの様子を報告しろ」

 「はい、ムーン様、以前と状況はあまり変わりはありません。転移先の遺跡で、魔物を撃退しているだけで、膠着状態です」

 「そうか。それで、大気のマナの濃度は変化しているか?」

 「正確な所は、分りませんが、少し、薄まって来た様に思います」

 「分かった。マリーは、テラjrを覚えているか?」

 「もちろんです。私が、出産に関わったのですから」

 「その話は、内密だぞ。思念伝達で、あろうと迂闊なことは言うな!」

 「はい、申し訳ありません」

 「今後の指示は、テラjrが出すことがある。心しておいてくれ」

 「はい、了解しました」

 私は、マリーとの思念伝達を切った。そして、私は、空いているケースの中に入り、ムーンの魂を土人形の身体から抜け出し、テラjrの身体に入って行った。

 「さて、どうしたものかな?」

 私は、赤の竜人ルーブロマ・ドラコと共に、魔王軍と戦うことも出来る。だが、まだ、勇者として動き出すには、早そうだ。魔火山の噴火は、まだ先になりそうだ。だが、薄いマナ濃度であっても、着実に魔火山に蓄積されているマナの総量は、増加しているはずだ。それが、閾値を超せば、噴火するだろう。

 「赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、魔王の存在を完治しているのだろうか?」

 私は、思わず、独り言を吐き出した。テラjrと一体化したことで、これまでの、テラjrの経験は、ムーンの経験と一体化しており、どちらの状況も把握できている。

 久しぶりに、スピアやレイカの様子を目の当たりにしてみたくなった。自分の部屋から出て、1階に降りて行った。直ぐに、侍女が現れ、声を掛けて来た。

 「テラjr様、何か、御用はありませんか?」

 「そうだな。レイカを応接間に呼んで来てくれ」

 「はい、わかりました」

 私は、侍女に指示を出しながら、1階の応接間に進んで行った。隣には、スピアが、私の腕を取って、嬉しそうに笑っている。

 「スピア、今日も元気そうだね」

 「テラjrも、元気?」

 「元気だよ」

 私も、もう、11才だ。そろそろ、社交界デビューも計画されている。だが、あまり、そのような場に出て行くことは好きではないから、できるだけ、先延ばしにしているが、限界かもしれない。

 「レイカも、すぐ、来るよ」

 「そうだね。3人で、お茶でも飲もうか?」

 「甘い物もね」

 「いいね」

 私は、傍に居る侍女に、ケーキを持ってくるように、指示を出した。

 応接間に入って、スピアと一緒にソファに座っていると、レイカが入って来た。

 「テラjr、何か、用事?」

 「まあ、こっちにきて、一緒にお茶を飲もう」

 レイカは、不思議そうな顔をして、私の右隣りに座った。私は、レイカの顔を覗き込み、両手で、ほほに触れた。

 「まあ、今日は、甘えたさんね」

 「たまには、いいだろ」

 「いつまでも、子供のままで、居て欲しいわ」

 「僕も、そうしたいな」

 暫くして、侍女がお茶とケーキを運んできた。私達は、笑いながら、それらを楽しく味わった。精巧に作った土人形であっても、やはり、生身の身体の感覚とは違う。久しぶりの生身の身体の五感を楽しんだ。

 「これは、内緒の事なのだけど、今、竜人族が魔王討伐を行っている。そして、いずれ、私も、それに参加するつもりだ」

 「スピア、一緒に行く」

 「ありがとう。お願いするよ」

 私は、スピアの身体を抱きしめて、頭を撫でてあげた。そして、もふもふの尻尾に顔を埋めた。

 「だめよ。そんなこと。テラjrが行く必要があるの?」

 「そうだね。多少は、危険だけど、私なら、多分大丈夫だよ」

 「相手は、魔王よ。無理よ」

 「でも、レイカ。私が、勇者なら、どうしたらいい?」

 「急に、何を言うの。テラjrは、私の子供よ。勇者は、召喚される者よ」

 「うーん、そうだね。勇者は、普通、召喚される者だね」

 「そうでしょ。それなら、何故、テラjrが勇者になるのよ」

 「でも、聖剣を持つことができるんだ。これも、内緒だけどね。私が聖剣を手に入れていることは誰にも言わないでね」

 「えっ、聖剣。勇者しか持てない物よ。それを手に入れたの?」

 「そうだよ。今、アイテムボックスに入っている」

 レイカは、困ったような顔をして、私を抱きしめた。

 「私は、テラjrを放したくないわ」

 「私は、大丈夫だよ。必ず、戻って来るよ」

 レイカは、更に強く、私を抱きしめた。いつまでも、このままで、居たいが、そうもいかないようだ。

 私は、3人の時間を楽しみながら、ガーベラに思念伝達で連絡を取り、現状を報告するために、会いたいと告げた。 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ 主人公はあまり戦ったりはしません。

没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~

namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。 かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。 海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。 そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。 それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。 そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。 対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。 「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」 アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。 ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。 やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。 揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

騎士団長のお抱え薬師

衣更月
ファンタジー
辺境の町ハノンで暮らすイヴは、四大元素の火、風、水、土の属性から弾かれたハズレ属性、聖属性持ちだ。 聖属性持ちは意外と多く、ハズレ属性と言われるだけあって飽和状態。聖属性持ちの女性は結婚に逃げがちだが、イヴの年齢では結婚はできない。家業があれば良かったのだが、平民で天涯孤独となった身の上である。 後ろ盾は一切なく、自分の身は自分で守らなければならない。 なのに、求人依頼に聖属性は殆ど出ない。 そんな折、獣人の国が聖属性を募集していると話を聞き、出国を決意する。 場所は隣国。 しかもハノンの隣。 迎えに来たのは見上げるほど背の高い美丈夫で、なぜかイヴに威圧的な騎士団長だった。 大きな事件は起きないし、意外と獣人は優しい。なのに、団長だけは怖い。 イヴの団長克服の日々が始まる―ー―。 ※84話「再訪のランス」~画像生成AIで挿絵挿入しています。 気分転換での画像生成なので不定期(今後あるかは不明ですが)挿絵の注意をしてます。

処理中です...