10 / 59
第10話 ホブゴブリン
しおりを挟む
「はぁ~……おいおいマジか。これで何度目だよ。俺って運だけはいいはずだよな」
またも行き止まりで立ち往生してしまい、俺は落胆とともに大きくため息をつく。
骸骨と出遭ってからもうかれこれ10時間近く、俺はダンジョン内をさまよっていた。
ダンジョンの中はだだっ広い空間もあれば、迷路のように入り組んだ通路もあるのだが、俺はそんな迷路のような通路に完全に迷い込んでしまっていたようだった。
「マズいぞ……このままだとマジで行き倒れになっちまう」
俺は焦りからくる汗なのか、疲れからくる汗なのか、どちらともわからない額の汗を手で拭うと唇を噛みしめる。
やみくもに歩き回っても体力を消耗するだけだし、かといって、ただじっとしているだけでは事態は何も変わらない。
まさしく八方ふさがりだった。
そんな中、追い打ちをかけるように、
ぺたん、ぺたん。と、どこからかモンスターの足音が聞こえてくる。
音はゆっくりとこちらに近付いてきているようだった。
俺はとっさに身構えた。
すると次の瞬間、通路の曲がり角から現れたのはこんぼうを手にしたホブゴブリンだった。
心身ともに疲れ果て、その上空腹である俺としては遭遇したくなかった相手だ。
というのも、ホブゴブリンはゴブリンより数段格上のモンスターだからだ。
レベルが164に上がっているとはいえ、最悪なコンディションで、初めて出遭ったモンスターと戦わなければいけない。
先手必勝。
どうせ戦わなければならないのならば、速攻で終わらせてやる!
俺はそう考え、ホブゴブリンが戦闘態勢に入る前に飛びかかっていった。
「うおおーっ!」
雄叫びをあげながら、こぶしを振りかぶる。
そしてホブゴブリンの顔面を思いきり打ち抜いた。
ドゴッ。
鈍い打撃音が響き渡り、ホブゴブリンは吹っ飛んでいくと壁に激突する。
さらに間髪入れず、追撃を加えるべく駆け寄ろうとしたその時――
パキッと小枝を踏んだような乾いた音が耳に届いた。
ハッとして振り向くと、反対側の通路からもう一体、ホブゴブリンがやってきていた。
ふざけるなよ。
俺の運の数値はとんでもなく高かったはずだぞ。
なのにどういうことなんだ。
全然ツイてないじゃないか……。
「……くそったれ!」
俺は悪態をつくと、もう一体のホブゴブリンに対して前蹴りを浴びせ後方に追いやり、その隙に一体目のホブゴブリンのとどめを刺すため、心臓部分に体重の乗ったパンチをお見舞いしてやった。
『ギャァッ……!』
胸に強い衝撃を受け、ホブゴブリンは膝から崩れ落ちるようにして地面に沈む。
さらにダメ押しとばかりに、俺はホブゴブリンの頭を踏み潰した。
それにより、ホブゴブリンは緑色の粒子となって霧散していく。
一体目のホブゴブリンの死を見届ける暇もなく、俺はもう一体のホブゴブリンに駆け寄り、
「次はお前だぁっ!」
全身全霊を込めた右ストレートをホブゴブリンのあごめがけて放った。
『ガァッ……!』
こぶしがヒットすると、ホブゴブリンの首は一瞬でおかしな方向に曲がった。
結局その一打が決め手となり、ホブゴブリンは塵となって消滅した。
またも行き止まりで立ち往生してしまい、俺は落胆とともに大きくため息をつく。
骸骨と出遭ってからもうかれこれ10時間近く、俺はダンジョン内をさまよっていた。
ダンジョンの中はだだっ広い空間もあれば、迷路のように入り組んだ通路もあるのだが、俺はそんな迷路のような通路に完全に迷い込んでしまっていたようだった。
「マズいぞ……このままだとマジで行き倒れになっちまう」
俺は焦りからくる汗なのか、疲れからくる汗なのか、どちらともわからない額の汗を手で拭うと唇を噛みしめる。
やみくもに歩き回っても体力を消耗するだけだし、かといって、ただじっとしているだけでは事態は何も変わらない。
まさしく八方ふさがりだった。
そんな中、追い打ちをかけるように、
ぺたん、ぺたん。と、どこからかモンスターの足音が聞こえてくる。
音はゆっくりとこちらに近付いてきているようだった。
俺はとっさに身構えた。
すると次の瞬間、通路の曲がり角から現れたのはこんぼうを手にしたホブゴブリンだった。
心身ともに疲れ果て、その上空腹である俺としては遭遇したくなかった相手だ。
というのも、ホブゴブリンはゴブリンより数段格上のモンスターだからだ。
レベルが164に上がっているとはいえ、最悪なコンディションで、初めて出遭ったモンスターと戦わなければいけない。
先手必勝。
どうせ戦わなければならないのならば、速攻で終わらせてやる!
俺はそう考え、ホブゴブリンが戦闘態勢に入る前に飛びかかっていった。
「うおおーっ!」
雄叫びをあげながら、こぶしを振りかぶる。
そしてホブゴブリンの顔面を思いきり打ち抜いた。
ドゴッ。
鈍い打撃音が響き渡り、ホブゴブリンは吹っ飛んでいくと壁に激突する。
さらに間髪入れず、追撃を加えるべく駆け寄ろうとしたその時――
パキッと小枝を踏んだような乾いた音が耳に届いた。
ハッとして振り向くと、反対側の通路からもう一体、ホブゴブリンがやってきていた。
ふざけるなよ。
俺の運の数値はとんでもなく高かったはずだぞ。
なのにどういうことなんだ。
全然ツイてないじゃないか……。
「……くそったれ!」
俺は悪態をつくと、もう一体のホブゴブリンに対して前蹴りを浴びせ後方に追いやり、その隙に一体目のホブゴブリンのとどめを刺すため、心臓部分に体重の乗ったパンチをお見舞いしてやった。
『ギャァッ……!』
胸に強い衝撃を受け、ホブゴブリンは膝から崩れ落ちるようにして地面に沈む。
さらにダメ押しとばかりに、俺はホブゴブリンの頭を踏み潰した。
それにより、ホブゴブリンは緑色の粒子となって霧散していく。
一体目のホブゴブリンの死を見届ける暇もなく、俺はもう一体のホブゴブリンに駆け寄り、
「次はお前だぁっ!」
全身全霊を込めた右ストレートをホブゴブリンのあごめがけて放った。
『ガァッ……!』
こぶしがヒットすると、ホブゴブリンの首は一瞬でおかしな方向に曲がった。
結局その一打が決め手となり、ホブゴブリンは塵となって消滅した。
194
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる