【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

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第31話 一夜明けて

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「……うおっ!?」

昨夜は木の上で眠っていたということをすっかり忘れてしまっていた俺は、目を覚ました拍子にバランスを崩し危うく地面に落ちそうになる。

「あっぶねー」

別に地面に落下したところでDEF、つまり防御力の数値が桁違いに高い俺が致命的なダメージを負うことなどまずないのだが、それでも人間の本能だろうか、足がすくんでしまっていた。

「はぁ~あ……朝食にするか」


☆ ☆ ☆


軽く火であぶった<シン・ライギョの肉>に<魔物島わさび>をすり下ろしたものをひとつかみ乗せて、それを頬張る。

「うん、美味しいっ」

自慢ではないが、この組み合わせを発見した俺は天才かもしれない。
冗談抜きで今まで食べたどんな食べ物よりも美味しいのだからな。
母さんには申し訳ないけれど、家に無事帰れてからも食事だけはこの島のものを食べられないだろうか。

俺がシン・ライギョの肉に舌鼓を打っていると、何やら物音が近付いてくる。
モンスターが肉のにおいにでもつられてやってきたのか。
手にしていた最後のひと切れを豪快に口に押し込んでから俺はその場で立ち上がる。

口の中のものを咀嚼しつつじっと目を凝らしていると、
「だ、誰か……」
茂みの中から人影が現れた。

「あれ? きみは……」
「あ……し、しばきんぐ、だ……よ、かった……」
人影の正体は昨日会ったばかりの少女、たしか名前は――斉藤みくちゃん。
そのみくちゃんは俺の姿を見た途端、全身の力が抜けたように地面に倒れ込んでしまう。

「みくちゃんどうしたのっ、大丈夫っ?」
俺は慌てて駆け寄るが、
「……っ」
みくちゃんは苦しそうな表情で息も荒い。
顔色も悪く、さらによく見ると首の裏側に動物にでも噛まれたような跡がある。

「みくちゃん、何があったのっ? 喋れるっ?」
「……っ」
喋れる状態ではなさそうだった。

俺はみくちゃんの症状を見てなんらかの状態異常に陥っているのではないかと推察した。
状態異常には麻痺や混乱、毒などがあるが、それら状態異常の中で一番考えられるのは、
「毒か!」
そう思い至ると俺は、何かあった時のためにととっておいた残りストック1の毒消し草をスマホを操作し出現させる。
そしてみくちゃんの口の中にそれを入れた。

「みくちゃん、毒消し草だっ。食べてくれっ」
「……っ」
口を動かすみくちゃんだったが、もう毒消し草のような柔らかいものですら満足に噛むことが出来ないくらいに弱ってしまっている。

俺は魔物島の天然水を取り出すとそれをみくちゃんの口に流し入れた。
かなり強引だが時間との勝負だった。

「早く飲み込むんだっ、早くっ」
「…………がはぁっ、がはっ」
みくちゃんは涙とともに顔をゆがめている。
俺は心を鬼にしてみくちゃんの口を手で無理矢理動かした。
助けたいという一心で俺は必死にみくちゃんを介抱した。

すると――
「けほっ、けほっ……」
顔色が正常に戻ったみくちゃんは俺の顔を見るなり、
「し、しばきんぐ、うわぁーん、しばきんぐーっ!」
俺の胸に抱きついてきたのだった。
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