【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

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第33話 一匹のキラージャッカル

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「しばきんぐ、わたしと一緒に村に行ってくれるのっ?」
「ああ、みくちゃんの家族を一緒に探してあげるよ」
「わぁーい! ありがとう、しばきんぐーっ」
みくちゃんは俺の腰の辺りにぎゅーっと抱きついてくる。

「あのさ、どうでもいいけどそのしばきんぐって俺のことだよね? ちょっと恥ずかしいんだけど。普通に柴木さんって呼んでくれないかな?」
「えーっ? なんでっ? しばきんぐってカッコイイじゃん!」
「うーん、カッコイイかなぁ?」
「カッコイイよっ。だからしばきんぐはしばきんぐねっ」
「あ、ああ」

笑顔のみくちゃんに俺はそれ以上何も返せなかった。
八才の少女に押し切られてしまうとは我ながら情けない。

「それで、みくちゃんの住んでる村はどこなの?」
「こっちだよっ。案内するからついてきてっ」
そう言ってみくちゃんは走り出す。

「あ、危ないって。俺から離れちゃ駄目だよっ」
「じゃあしばきんぐも早くっ」
家族のことがよほど心配なのだろう、みくちゃんは俺の忠告も聞かず走り続けた。
仕方なく俺はみくちゃんのあとを追いかける。


☆ ☆ ☆


木々を上手く避けながら走ること五分、とても小さな集落のようなものが前方に見えてきた。

「あそこがわたしたちの村だよっ」
それを指差し、みくちゃんが声を上げる。
正直お世辞にも村という立派なものなどには見えず、廃墟寸前のボロ屋が数軒集まっただけのように思えたが、さすがに口には出さないでおく。

みくちゃんはキラージャッカルがまだいるかもしれないと思い怖くなったのだろう、俺の手をぎゅっと握る。
そんなみくちゃんを安心させるように、小さな手を握り返すと俺は二人して村へと向かっていった。

村の入り口付近に着くと一匹のキラージャッカルが、白髪の男性の腕に噛みつきながら引きずっているところを目にする。
「あっ、博士っ!」
するとみくちゃんはそう叫んだ。
みくちゃんに博士と呼ばれた男性は意識がもうろうとしているようで「……あ、ああ……」と声にならない声を出している。

「しばきんぐ、博士を助けてあげてっ。お願いっ」
「わかった。みくちゃんはここにいて」
いうなり俺は駆け出すと、キラージャッカルめがけて蹴りをくらわせた。
その一撃で首の骨が折れたようでキラージャッカルが地面に沈む。そして消滅した。

ピピー、ピピー、ピピー!
キラージャッカルを倒した証としてスマホが鳴るが、今はそんなことに構っている暇はない。
俺は今にも意識を失いそうな白髪の男性に目を向ける。

「大丈夫ですかっ? しっかりしてくださいっ」
「博士、だいじょぶっ?」
気付けばみくちゃんも博士さんとやらのそばに駆けつけていた。

「……お、おお、みくちゃんか……無事だったんだね、よかった……」
「博士、モンスターに噛まれたのっ? 痛くないっ?」
「……あ、ああ……わしは平気だよ……」
声を震わせ答える博士さん。
言葉とは裏腹にあまり平気そうには見えない。
きっとみくちゃんを心配させまいとしているのだろう。

「あっ、博士、血が出てるよっ」
「……あ、ああ……」
「みくちゃん、ちょっとどいてくれるかな?」
俺は博士さんにそっと手を近付ける。

「しばきんぐ?」
「大丈夫だから、見てて」

俺は博士さんの体に手を当てて「キュア!」と唱えた。
その瞬間、博士さんの体を黄色い光が包んでいき、ものの数秒で博士さんの容態が回復する。

「……おっ? おおっ、な、なんだっ? い、痛みが消えたっ……!?」
「今のは回復呪文です」
「すごーい、しばきんぐっ。そんなこと出来るのっ?」
「ああ、まあね」
「か、回復呪文……き、きみは一体……?」
博士さんは目を見開き俺を見上げた。

「それよりも博士さんはさっきキラージャッカルに噛まれていましたよね? となると毒に侵されているはずです。俺の回復呪文では傷は治せても毒までは取り除けないので、とりあえずあなたをあなたの家に運びますよ」
「あ、ああ、すまないね……」
「しばきんぐ、わたしも手伝うっ」
「じゃあ博士さんの家まで案内してくれ」
「任せてっ」

こうして俺とみくちゃんは白髪の初老の男性、博士さんを家まで連れていくと布団に寝かせたのだった。
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